銀鉱石積上和睦大作戦
銀鉱石積上和睦大作戦
とにかく絶対に避けなければのならないのが本間家同士の戦いだ。
俺の話を聞いて納得してくれたのか、貞兼様は河原田中に出動指令を出した。
「領内の男は全員、武器と銀鉱石を持って西三川へ向かえ!」と。
うちの村や周りの相川(とは呼ばれてないようだが…)側の村からも石花様が船を用意して村人を動員した。
領内の男たちは一度河原田城に集まって、何かしらの武器と銀鉱石を一個持って西三川に向かう。
(うちの村のみんなは俺が作っていた竹槍を持っている)
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我々河原田勢が西三川に着いた時には、いると思っていた沢根の軍勢がいないもので肩透かしをくらっていた羽茂の軍勢が、沢根に向けて行軍するのか、とりあえず西三川を取り返して「ヨシ」として砂金採り作業を再開するのか検討中のところだったようだ。
羽茂の軍勢、100〜150くらいだろうか…
河原田軍は倍程いる。
こちらの軍勢を見つけた羽茂軍から、誰かが声をあげた。
「羽茂本間三河守じゃ。沢根か?河原田を引き連れて来よったか?」
声をあげたのは羽茂本間家の三河守高信のようだ。
『三河守… 今の羽茂の領主かな?』
「貞兼様、俺が交渉してもよろしいですか?」と、俺がきくと、
「いや、儂が話そう。なに、ショーゴの言いたいことは理解したつもりじゃ。任せよ」と、貞兼様は言い、羽茂の軍勢の方に向けて、
「三河守、河原田本間佐渡守じゃ。此度は我が分家の沢根のもんが偉い迷惑をかけた。申し訳ない」
と、大声で詫びた。
「いきなり不意打ちで襲いかかって来よって、「申し訳ない」で済むか、バカダチがぁ」と、高信様。
「すまぬ、すまぬ。「申し訳ない」で済むとは思っておらぬ。詫びの印を持って来た。受け取ってくれ」と、貞兼様。
「詫びの印じゃと?何事じゃ…」と、高信様。
「シャベル部隊、おぬし、おぬし、おぬし…」
貞兼様は鶴子銀山探索隊《シャベル部隊》のうちの十人を指名して、河原田軍と羽茂軍の中間に行かせて、持って来た銀鉱石を置いていった。
「三河守、それを手にとって見てくれ」
貞兼様がそう言うと、今度は高信様が指示を出し、中間に置かれた銀鉱石を取りに行かせた。
取りに行かせた銀鉱石を手にとって見た高信様は、
「これは・・・」
「銀か?!」と言いかけた高信様は、その後、黙ってこちらを見ている。
「おぬし、おぬし、おぬし…」
貞兼様はまた鶴子銀山探索隊《シャベル部隊》のうちの十人を指名して、もう一度、河原田軍と羽茂軍の中間に行かせて、持って来た銀鉱石を置いていった。
「三河守、それもじゃ」と、貞兼様。
高信様はもう一度取りに行かせて、再度銀鉱石を手にとり、
「むう…」と黙り込む。
「おぬし、おぬし、おぬし…」
同じことを繰り返す貞兼様。
さらに十人、河原田軍と羽茂軍の中間に行かせて、持って来た銀鉱石を置いていった。
「三河守、少しお主と話がしたい。場を設けてくれ」
貞兼様は三十個の銀鉱石を羽茂に渡し、交渉の場を設けてくれと迫った。
三十個の銀鉱石を前に高信様は「これは何事か?」と考える。
そして、「とにかく話を聞かねばわからん」と結論し、
「しばし待て」
と、返事をした後、中間に陣幕を張るように指示をした。
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「儂と蔵人、お主も来たいか?」貞兼様が沢根様にきく。
「もちろんじゃ」と、沢根様。
「ショーゴには居ってもらわんといかんから四人じゃな」と、貞兼様。
「五郎三も入れてやってくだされ」と、藍原様。
「そうか、ならば五人五人で会うとするか」と、貞兼様。
陣幕が張られると、俺、貞兼様、沢根様、藍原様、石花様の五人で交渉の場に臨んだ。
しつこいようですが、登場人物については、パラレルファンタジーフィクションってことで、ツッコミはナシでお願いします、で御座候。




