第〇〇八二話 浸食するマフィアの魔の手とデータライブラリー
ラーゴが飼育小屋で両足蛇と話をする間、ミリンとパパも早めの昼食を済ませていたようだ。ユスカリオが指定したレシピを、ミリン経由でこの邸で作らせた、丁寧なおやつがラーゴたちのもとへ運ばれてくる。
そのころ高原球技場においては、ラゴンのゴルフも後半戦に入っていた。ほとんど身体調整も終わったため、しばらくはラゴンまかせでやらせておいても問題はないだろう。ミツもいるので、もしものときはアラームか、ミツからの直接連絡があることを期待する。
(─ 希望的観測にすぎないが、おそらく貴族二人の滞在している間は大丈夫だろうな。門のまわりを両家の私兵によって、ガードしてもらえてるから)
遠方からでも、その守備状況が見て取れるし、あちらも無駄に犠牲を増やしたくはないだろう。こんなただっぴろいところで寄り付いてはこないはずだ。
千里眼で邸宅内のミリンを探すと、すでに食事を終わらせた二人は他の部屋に移動して、二人っきりで話し始めている。王城では得難い、親子水入らずというやつに見えるとはいえ、この親子の場合は家庭団らんで済まないところだ。ラーゴはしばらく真剣に傍聴に集中する。
「ランチの席では、メイドの目などがあるからね。それで先ほどの続きは差し控えたが ── ミリン。実のところ事態はもっと深刻なのだよ」
「麻薬 ── のことですか?」
「そうだ。権力拡大のため国際マフィアを担ぎ入れたユニトータは、同時に麻薬ビジネスも引き込んでしまった」
「まあ‥‥」
この数年、魔族の台頭で手薄になった地方都市の、取り締まりに付け込んだマフィアは、着実に王国に手を伸ばそうとしてきていた。ただしメインの港町ボコボからの侵入は、魔族の脅威を嫌って避けて来たようだ。しかもそこでは、チンピラの集団ユニトータが勢力を拡大してきていたため、これを傀儡として活用してきたらしい。だが今回、魔王軍が消滅したとたん、本腰を入れて王国に乗り込み始めているという。その最たるものが、麻薬や魔法武器の流入であった。
「やつらは単に麻薬を拡販し、中毒者を増やすにとどまらない。国外ではその種を持ち込まれ、栽培場所として離散者の多い村を、利用された国も少なくないという。麻薬の種は畑を潰し、雑草地よろしく『耕す者がいないために至った荒れ地』を偽装して栽培される。実際には育成にある程度手間がかかるので、手を抜かれた主力穀物の作付けが減少して行くようだ」
「そうすると、農民たちも飢えてしまうのでは?」
「だが実際は穀物生産量が激減した村から、領主は年貢を十分にとることは叶わないだろう? 村人たちは、裏でまとまった金が入ってくるため、さらに麻薬畑の拡大に励む」
「まあ‥‥」
「このシステムを知って刃向かった貴族は、運が悪ければ暗殺される。そうでなくとも、脅しや金の力でマフィアのいいなりになる領主に変えられ、ついには国力が減衰して行くんだ。すでにそんな国があるのは間違いない。幸い僕の知るところで、国内に親交を結ぶ二十貴族は問題ないと考えているが、それ以外、あるいはその係累まではわからないね」
「貴族を領土内で暗殺、 ── などということが起こりえるのでしょうか?」
ミリンパパは、ますます深刻な顔だ。
「伝え聞く話では、まず幹部の暗殺団が、マフィアにたてついた王族や領主に連なるものを抹殺する。それをもって、自分たちに逆らうと恐ろしいぞ、と知らしめたことが何度もあった、と言われているんだ。我々も、気をつけなければ」
「その点、レオルド卿は要注意ですわ。単独行動が多くて、情報通ですから」
「そうかも知れないが、ミリンも気を付けるんだよ。やつらは貴族の至るところに間者を送り込んで、動向を絶えず監視しているという。王国にはまだ、そこまでの浸食の手は伸びてないと思うのだが‥‥」
「はい」
壁に耳ありというが、たいへんな話を立ち聞きしてしまったラーゴ。二人は、分厚い壁で意図的に遮音されたミリンパパの書斎であればと、安心して秘密の会話を続けている。しかし本当に、どこで盗聴されるかわからないものだ。
「今まではタオの組織が、王家飛び地にあるボコボの港での輸入審査に協力し、輸入麻薬の撲滅に特別尽力してもらえてきた。しかし、今やほとんどユニトータに取って代わられたらしい。今後どうなって行くか、とても心配なんだ」
「魔王島に近い、ボコボの港ですわね。王国の中でもっとも安全に、船での国外取り引きができるという重要地点。わたしはまだ、行ったことがございませんわ」
「そうだね、海外通商と魔王対策のため王家所有である地なだけで、王家のものもなかなか出向かない場所だ。とくにこれまでは魔族の勢力をきらって、そんなところからしか手を出せない王国の進出には、二の足を踏んでいたに違いない。だが、魔王の倒れたこれからは違う」
「他の国と、同様のことが起きてくるとお考えですのね?」
「だからこそタオのような、現場で働くしっかりした守り手が必要なんだが。相手との武力差が圧倒的、と思われるんだよ。その最たるものが、魔法銃だ」
「魔法銃?」
ラーゴには魔法銃が、昨日の殺人事件で利用された武器という認識はある。しかも、モモハデと名乗ったユニトータの幹部らしき乱入者が、所持する状況もすでに確認済であった。
形は違うが構造的にはピストルふうの飛び道具であり、魔法で着火した火薬によって、球状に加工された金属の弾を発射する銃器である。正確には爆発は火薬で起こすため、魔法は種火として使われるだけだ。単純な結界を張って、試し打ちをしてみたが、十分食い止められたので、破壊力についてはたいした脅威ではないのはおさえている。だが薄い金属製の鎧なら、突き破ってくるかも知れない。
似たような説明が、ミリンパパの知るところで行なわれた後、さらなる新情報も披露される。
「そして麻薬で人格が崩壊した人間を、命令によって殺人機械として利用する、麻薬強化体という存在があるらしい。これは一体一体が魔族のような圧倒的な強さを持つ。魔族よりさらに恐ろしいのは、痛みや恐れの感情も麻痺させられ、躊躇無く身を捨てて襲いかかってくるんだ。たとえ命令者が死んでも、敵と定められた者への攻撃はやめないと言われている、ともね」
それを聞いたミリンは、背筋に悪寒が走ったかのように首を振った。
「恐ろしい‥‥」
「さすがに魔王も恐れぬマーガレッタの敵ではないと思うが、後でヨセルハイに手紙を渡し、ゴードフロイにも情報を流してもらうよ」
(─ 不死身のマーガレッタでないと、倒せない麻薬強化人間か)
ラーゴも、強敵そうだと心に大きくメモしておく。今朝のならず者と違って、親衛隊たちでは苦戦するかも知れない。その場合は任務より、自己保身を優先するよう徹底しておく必要があるだろう。
それからミリンパパは、魔王城壊滅により、海外輸入が容易くなったため、最近手に入れることができた新道具を娘に披露した。その名は、記憶鉱物。噂では王国で生息するドワーフが開発したものの、逆輸入とも言われるらしいが ── と前置きしてそれを自慢げに紹介する。
それはマーガレッタの十字架に使われている、金属に特殊な細工を施して、データタンク化したものだという。ラーゴが聞き入ったのは、次の言葉だ。
「過去に呪文金属と言われたものは、呪文記録紙に代わって、膨大な呪文暗号が保存できることがわかった。以来階位の高い、多くの複雑な魔法道具にも利用されるようになる。それ以来、飛躍的にその方面の技術が進歩したのは知ってるかい?」
「それはマーガレッタの十字架を、包み込んでいるのと同じ金属ですか?」
「あれもそう、すべて魔法金属だね。他にも魔法道具の中に組み込まれて見えないが、活躍するものはたくさんあるようだ。しかし呪文記録紙や魔法金属に書かれる中身は、魔法呪文の記述様式でしか格納できない。もちろん魔法による技術でなければ読めないとされている。それを文書やデータのまま、収納できるように変えたのが記憶鉱物だ。呪文金属に、呪文暗号として記憶させるのと比べ、記憶鉱物の中には単なる情報が、はるかに高い効率で記録可能になった。書き込んだ情報はデータライブラリーというメタ形式で収められ、付属の一理眼鏡で、自由に閲覧できる優れものなんだよ」
この世界に活版印刷はなく、すべての本の複製は、高度な読み書きが可能な、学歴層の手書きによって行われる世界のようだ。それらの労テクに頼る必要なく、知識媒体を量産できる技術は画期的なのだろう。ミリンの目もキラキラし始めているのは、決して父に対する御愛想ではない。
さながらブックリーダー、あるいは電子辞書かと思うラーゴ。しかも脳裏に引っかかる単語があった。データライブラリーだ。
しかし続くミリンパパの解説によれば、これを活用するには大きな課題があるらしい。記憶鉱物はもともと何かの情報 ── データライブラリーを含んだものではなく、ただの入れものとして供給されていた。記憶させたいデータについては、そこへ自分で付加する必要がある。そのための道具 ── スキャンスティックで書籍などから読み取り、吸収させてやらないといけないそうだ。
「しかしそれには、スティックに保持できる魔力に対し、必要な魔力量が大きすぎてね。なかなか作業が進んでいないんだ」
「ということは、まるで宝の持ち腐れになりますわね」
なぜそんなに魔力が必要かと言うと、このデータライブラリーが、誌面を見た目どおり写し取るものではないからだ。本の中身、書かれた言葉を理解して、取り入れる過程で脈の力を大量に消費するらしい。その代わり、取り込まれたデータライブラリーは、一理眼で閲覧するときに、キーワードで検索することができるという。
(─ ── それはOCRじゃないか)
相続者として似たようなものを知っているが、そう思うだけで実は少し違うというか、実際にはまったく別物かも知れない。ただし結果的には資料をデータ化して、システムからのアクセスが可能になる点で同じだろう。つまりオートマトンの思考システムからの、検索も可能ということでもある。
「陛下にお願いすれば、効率よくできるのではないでしょうか?」
「そうかも知れんが、そんなことに王家の力を浪費させるわけには行かないだろう?」
「そうですね。陛下には、そんな時間もないですわ」
「実際のところ時間は必要ないのだが、王といえども脈の力の行使となれば、身体にかかる負担は大きいと思うんだ」
ミリンパパは引き込まれた聖泉から、魔力圧縮瓶へお抱えの魔術師に脈の力を充てんさせて、少しずつスキャン中らしい。魔力圧縮瓶を一本満タンにするのに三日かかるが、それで普通の本一冊を、なんとか取り込める程度だと溢した。実際のスキャン自体は単純なものだ。本の上に記憶鉱物を置いて、スティックで二度たたいた後呪文を唱えるだけであり、ほとんど魔力を持たない人間でも問題なくできる。薄い本なら、重ねてオーケーだ。
その後ミリンに書斎の奥にある、膨大な書物が集められた書庫が披露された。元はといえば領地の屋敷に収集していた蔵書を、すべてここに送って来たものらしい。この記憶鉱物にスキャンするのは、まだ聖泉に近い王都で行なうほうが効率的であるからだそうだ。
「蔵書と言ってもすべてに目を通せてはいないし、中には読もうとしても文字が隠された秘伝の書というものもあってね。まさに宝の持ち腐れなんだが、分野の広さと冊数の多さは王城図書館にも負けないんだよ」
(─ これは使えるかも知れない)
記憶鉱物には、ラゴンの中に記述され、今のところコメント化されていたワード、『データライブラリー』を記録可能という。
現在、動作や思考の呪文暗号をコピーできても、参照する知識や経験の記憶がないため、ラゴンの会話や技術的な動作がぎこちない。
だからチンピラ相手に手が届かなかったり、よけるのに倒れこんだりと散々だったのだ。一応体のほうは高原球技における試行錯誤で、独自のサイズや力加減をラゴンの記憶として叩き込めた。
それでも、思考や言葉の不自由さなどには、まったく見通しがたっていない。そういった部分の補完に一役かってくれる可能性が、大いにあるとラーゴは予想する。
その後ミリンたちの話題は、アレサンドロの状態の話に移るようだ。現在も邸の飼育小屋にあり、この話題についてだれよりもよく把握しているラーゴは、そちらでの傍聴をクラサビに委託する。話を聞いておき後で報告してくれるよう、あわせて終わりかけたら知らせてもらいたい。そう頼んで場所を教えると、飛んで行くクラサビを見送った。
後にそのクラサビによって伝えられる情報ながら、ミリンパパはマーガレッタから、相談されていることがあると話したらしい。それは『魔王城に行けばアレサンドロを復活させる手がかりが、何か見つけられるかも知れない』という中身である。
ミリンは、その話を、あてのない望みながら ── という前置き付きで聞かされたようだ。
そこへ高原球技場から一足早く王都へ戻り、市内で捜索に当たっていた聖能力耐性の能力持ち、クロスがやってきて挨拶を済ませた。
クロスは聖堂どころか、首輪の下に結界を張ってる自分と同様、おそらく脈の中でも問題ないように豪語する。一般的な魔族なら、たとえ結界で身を護れても、畏れの気持ちでそんなことはできないらしい。クラサビも結界を張って聖域に入れるが、それは鈍感なのであって彼女は精神力でコントロールできるのだそうだ。
(いや、それってそれほどの違いはないよね?)
「じゃあボクも鈍感なのかな?」
「いいえ、主様はお生まれになる前から、聖泉の忌避には耐性をお持ちでしょう。それどころか聖泉をわがものとできると予言されていたのですから、畏れの気持ちなどなくて当然でございます」
いや、そのトンデモ魔族は自分ではないからと思うものの、それはおくびにも出せない。
坑道に連れて行くに当たって調べると、クロスも聖泉の忌避は結界によって防いでいた。しかもクロスの生体呪文といえば、自分のそれと比べるとかなり荒削りな結界手続きしかないようだ。クラサビと違って他にまったく能力はないようで、スペースはクラサビよりもがら空きである。
そこで本人の許可を得て、自分のものから移植することにした。拡大縮小部分は膨大なので、やはりそのあたりは書き切れないし、消費エネルギーが大きすぎてクロス自身がたえきれない。だがこれで聖霊も騙せた魔族の正体隠しも有効だろう。ラーゴはそんなクロスにお願いして、実はすぐにもやりたいことがあった。
そこへクラサビの呼びかけに応え、少し離れた場所から飛んできたらしい、不屈の精神の使い手ナナコが到着したようだ。着いたばかりのナナコだが、申し訳ないとは思いつつ、いつミリンが会談を終わるか分からないため挨拶は保留。それでも忌避の影響もあって、ナナコを小屋内でずっと待たせるのはお勧めできない。安全を祈して、小屋の外での待機を命じておき、クロスには耳の中へ入ってもらった。
「多分大丈夫だと思うけど、結界をしっかり張って、しがみついててね」
「わかりました、主様」
飼育小屋に延びてきている聖泉を頼りに、ラーゴは聖霊の坑道まで、千里眼を走らせる。同時に、聖泉へ向けて語りかけた。
「ラーゴです。今からお邪魔しますね」
それだけ言うと、今見えている聖霊の坑道へ自分を送る。すぐに王城中庭の聖堂の地下深く、聖霊が棲むエリア、坑道についた。
「これはオフィサーどの、突然のお出ましは何事であろうか?」
チーフゴーストが、慌ててやってきて訪ねてくる。
「すいません。アレサンドロさんについてはまったく進んでいないのですが、今その知識を得られる、かも知れない場所を見つけたのです。それでご協力をお願いしにきました」
「おお、さすがオフィサーどの、早速動いていただいておることに感謝する」
およそそのあたりにいた聖霊の仲間たちが、いっせいに地面に手をついて最敬礼してきた。
(─ いや、いちいちそういうのはいいから)
そう思いながらも、とにかく話を前に進めたいラーゴである。
「それで、記憶鉱物というモノをご存知無いでしょうか?」
「ハッハッハ、ペイストボウドの次は記憶鉱物がご所望とはな。 ── よほどオフィサーラーゴどのは物好きとみえる」
と、しゃしゃり出てきたのはオンゴーストだ。
「ご存知なんですか、オンゴーストさん」
「吾を覚えていてくれたか。それは光栄。そう、あの古代魔法の遺物にこだわり続ける、ドワーフのメソポタが開発した無用の長物、記憶鉱物に目を付けられる。そんな奇特な御仁は、オフィサーラーゴ殿以外に無かろうと思ってな」
「なぜですか? なんか素晴らしい、道具のように感じるんですけど」
「ハッハッハ。最近ペスペクティーバの協力を得て海外委託開発まで行なった結果、ようやく読むほうについては実用化の域に達したかも知れん。だがそれに記憶させるためには、ちょっとやそっとの脈の力を投じても ── 。いや、そうか。オフィサーどのはその点無尽蔵。困ることなどなかったのだったな。よし、すぐにメソポタにはその言葉お伝えしよう。あやつ、感激してホイホイと飛んでくるに違いない」
「その、記憶鉱物をボクも手に入れたいんですが、なんとかなるでしょうか?」
「それはおまかせいただきたい。ドワーフには、聖霊が管理する触媒や鉱石などを提供するなど、積み上げてきた恩が山ほどある。必要な金属を融通してやるといえば、無償で作ってくれるはずですし、何より‥‥」
そう説明を始めたチーフゴーストから、なぜか笑いが漏れて言葉が止まる。
「どうかしました?」
それに応えるのは、やはり笑いをこらえきれない様子のオンゴーストだ。
「何よりじゃ、あやつのところには、売れ残っとる記憶鉱物が、山のようにあると思うのじゃ。ハッハッハ‥‥」
なるほど。ラーゴが評価するまで、世の中で認められていないということは理解できた。
「それでボクに連絡をとるために、助手の娘をおいておきたいんだけど、構いませんか」
快諾をいただくと、耳の中にいるクロスに出てきて挨拶するよう命令する。たちまちクロスはTPOをわきまえているのか、いい感じに聖女の服装に変身して現れた。おおげさでなく、聖霊たちは腰を抜かす。
「おおお、人間の女じゃ!」
(─ じゃあないんですけどね。良かった、やはりクロスなら見破られないし、ここにいても問題なさそうだ)
聖霊たちは、トカゲが出てくるとでも思っていたのかも知れない。ラーゴはクロスに簡単に説明し、なにかあったら連絡するよう、またそのドワーフが来てくれたら知らせるよう指示しておく。なぜか聖霊たちの顔がにやにやしているのは、あまり人間と会うことがないせいだろうか。いや年若いとはいえ、聖霊たちとはバランスのいい背格好で、しかも人間標準でいう、絶世の『美少女』だからかも知れなかった。
データライブラリーが手に入れば、ラゴンの自律活動が進んで行く可能性はある。こうやって別活動するのにも、幅ができるだろう。といっても、聖霊に嘘をついたわけではない。ミリンパパが秘蔵する人間には読めない秘本を紐解けば、なにかヒントがつかめるかも知れないと微かながら期待を抱いていた。
聖霊にお礼を言うと、クロスに別れを告げて坑道から元の場所へ戻ってくるラーゴ。
そのときちょうど、ミツから連絡が入る。予定はしていたが、いよいよ緊急事態発生となった。




