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文化祭にも参加してくださるという桃城くんのありがたーい申し出をうけ緑化委員会(仮)の部室へ彼を伴いやって来ました放課後。桃城くんの部活は雨のためお休みです。タイミングがいいのは日頃の行いですね!


で、婚約パーティ以来の顔合わせとなった黄金先輩と桃城くんをお互いに再度紹介し彼らのコミュニケーション能力の高さに感動しつつ、おやつの準備をしているところです。今日はいつぞやのサロンで出会った美味しいチョコレートの日です。しびれるほど甘くて滑らかな舌触りの外はパリッと中はとろーりのチョコレートは先月の新作ですよ。光は甘すぎると食べないので睦峰様が用意した抹茶のガトーショコラを食べるのでしょう。紅茶と一緒にコーヒーを準備しているみたいですね。


私と睦峰様のおやつタイムが一段落したところで、桃城くん達の方へ意識を向ければ、黄金先輩お気に入りの品々について解説を受けているところでした。


凄いとはしゃぐ桃城くんを黄金先輩は気に入ったみたいですね。とても仲良くなっています。パーティのときは二人の個性が控えめでしたから気が合ったようでよかったです。


「今日は木葉先輩たちは来ないみたいだね」

「そうですね、光も文化祭と掛け持ちしますか?」

「余裕があればそうしようかな」

「黄金せんぱーい!光も文化祭と掛け持ちになりましたー!」

「お!ええねええね!なんや1年生めっちゃやる気やん」



光が肘でつついてこようと、知ったことじゃないのです。コンセプトカフェという現状開封前のビックリ箱な出し物に、巻き添えは増やしていきたいですし。人数が増えれば私と睦峰様の苦労も減るはず。


「……」


睦峰様が携帯でどこかへメッセージを飛ばし始めましたね。すぐに返信を知らせる携帯を確認すると何やら満足げな様子で顔を上げた睦峰様と目が合いました。


「……二人追加」

「流石です」

「うわ二人して悪い顔してる」

「モモと優なんか似てきたか?」

「こうなると皐月たちもやりたがりそうやな~」


光と桃城くんが苦笑してようと睦峰様と私は構わずハイタッチを交わすのでした。


「ところで黄金さん!何のコンセプトでカフェを開くのか聞いてもいいっすか?」

「大樹クンええ質問や!今年の緑化委員会(仮)の出しもんはコスプレカフェやで!」


コスプレカフェ?ですか。首を傾げれば、隣の睦峰様と光も同様に傾げていたようで。


「またか、モモと優はともかく光まで!」

「ほんまウチの1年生かわええなぁ」

「僕も育った環境は桃華たちと変わらないからね?」


またか、というのはカラオケの件ですかね。そうは言っても少女漫画を知ったのも女の子達が貸してくださるようになったつい最近ですしまだまだ勉強不足なのです。ところで、コンセプトカフェに了承した赤城様も十中八九それが何か知らずに返事を返したのではないですか?松宮様はわかってて返事をされていそうですが。


「コスプレは仮装のことですよね?」

「仮装して飲食を提供するだけですか?」


光に続いて問う。語尾に隠されているのは、黄金先輩がそれだけで終わるのですか?という言葉ですかね。

その言葉に首を傾げたのは桃城くんで、黄金先輩は笑みを深くされました。そうですよね、それで終わりじゃないですよね。


「二人とも察しええなぁもちろんそれだけやないよ」


にっこにこですね。先日のノートパソコンを取り出し、プロジェクターまで持ってこられましたけど何を始めるつもりなのでしょう。あ、プレゼンテーションを行うのですね。映し出されるパワーポイントに合わせて黄金先輩の説明が始まります。資料ファイルの時も思いましたが、情報整理をするのがとても上手ですね。そういう教育を受けているのは黄金家としてはおかしい事じゃないですし私たちが知らない先輩の一面を垣間見たような気がします。


肝心の内容は、さすがと言いますか予算から利益予想、タイムスケジュールなどなど数字のデータから展示ブースの模型図まで素晴らしい出来栄えでした。


これは中々。当日が楽しみですね。

あ、もちろん普通のカフェではないですよ?個性溢れるビックリ箱のようなカフェになりそうです。




*******




「と、いうわけで皆さん参加されることになりました」


「「素敵ですわーー!!!」」

「皆様の仮装が見られるなんて!」

「桃華様と睦峰様に感謝ですわね!」

「はぁもぅ楽しみすぎます」

「本当に皆さん仲良しですわね」


翌日、皆さんに報告すればそれはもう大騒ぎになりましたとも。教室中どころか廊下を歩いていかれる方の視線まで独占中ですよ私たち。こうして伝言ゲーム式に宣伝効果を見込んで光から彼女たちに宣伝することを提案され、それを黄金先輩が許可し今に至るという流れですね。さすが光、考えることが効率的ですね。


桃城くんも男子の皆さんの真ん中で何かを話しているみたいですし、あっちも内容は同じでしょうね。盛り上がっている様子ですし、彼らも来てくださいますかね?っと、桃城くんと目が合いました。にこにこと手を振ってくださいましたから、こちらも笑顔で振り返すこととしましょう。


「ところで皆様なんの仮装をされるのですか?」


「それは、当日のお楽しみです」


お答えできないのは、私たちが自分が何の仮装をするのか分からないからなのですよ。そこはお楽しみというのは本当のことなのですがまだ決定していませんし、お教えするわけにはいきませんからね。


「ますます楽しみですわね」

「待ち遠しいですわ」


私も、なかなか楽しみですよ。

収穫祭まで私たちの部活動は変則的になりまして、植物と動物たちのお世話以外のことはせず準備に奔走することになります。衣装も自分たちで作りますよ!と、言ってもメインで作るのは木葉姉弟となりますが。先輩方のお家は有名なデザイナーの家系ですから、布の目利きとデザインには自信があるみたいです。


収穫祭の目的として、そういう事もあるのですよね。中等部の間は部活単位で参加するのが普通みたいですが高等部ともなるとそれぞれで出店したり手を組んだりとミニチュアな社会が出来上がりそこで成果を上げることがその後に直接関わってくるみたいですね。素材にこだわり仕入れ専門商家の子息とパイプ作りを行ったり経営技術に自信がなければそれを補う人員をスカウトしたりとこの時期は大騒ぎになるのだとか。


中等部の翌週に行われる高等部の学祭に向けてこの時期あちらは大荒れしているようです。

お兄様たち生徒会の方々は揉め事の解決に走り回っているみたいで、毎日お疲れのご様子ですお可哀そうに。


ちなみに『水無月桃華』は屋台村を開くのですが庶民感覚のヒロインと被るんですよ出し物が。色々と失敗するのはお察しですね。大赤字であっただろうということだけ書いておきましょう。

それを知っている私は、何をすることになるのでしょうかね。






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