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、ゲームへ  作者: ヒト
第ニ章 骨の髄まで
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「お前だけは」

「い·····いつから?」

「朝起こしに行った時にはもう·····。今施設内を探してるって」


糞っ、糞が!やられた。もっと早く行動すればよかった!

「雪がおらんようなったん?早く探さな!」

裕太の焦るような声が響く。


どうする?探そうにも何処を探す?まずは施設内を探すか?それとも俺と雪の前の家か?いや、教会?それともほかの何処か?もしかすると、もう·····


「手分けして探そ。私は商店街のほう行く。お姉ちゃんと裕太は施設いって。翔は教会のほう行って!」

真弓の声が、意識を現実に戻してくれた。


「わかったありがとう、行ってくる」

大丈夫、見つかるはずだ。例えコピーがいたとしても殺す。大丈夫だ、大丈夫·····。

俺は教会へと向かった。


           

        朝倉家 玄関前

 

翔が行ってしまった。やっぱりだいぶ焦っていたんだと思う。昨日から落ち着きがなかったし、あんなことがあったし·····もしかしたら昨日のが関係してる?駄目だ、わからない·····


でも今は雪ちゃんを探すのが先。

「まゆちゃん、私たちも行くわ。なんかあったら絶対連絡してね」

「うん、いってらっしゃい」

咲ねえと裕太が施設に行った。

私も早く商店街の方に行こう。


          

   

          加山商店街

      

商店街は冬休みだからだと思う、子ども達が多かった。

「あっ、まゆねえ!おはよう!」

近所に住んでる小学生たちに話しかけられた、みんなすっごく元気そう。でもそんなこと考えてる場合じゃない。


「おはよう、商店街で雪ちゃんみんかった?」

みんなは少し話し合っていた。目撃情報があればいいんだけど·····


「雪?みてないわ。なんかあったん?」

見てないかぁ·····

「今、雪ちゃんがおらんようなって探してんねん。協力してくれる?」

「うん!探す!」

「それじゃあ商店街もうちょっと探して!私は公園の方探しているから。なんかあったら連絡して!!!」


運良く少年たちに商店街を任せることができた。あとでなんかおごらないと。

私は全力で公園まで走った。


「おぉ、そこそこ雪積もってる·····」

公園に着いた。とりあえず子どもが遊びそうな遊具のある所へ行こう。


私は速歩きで向かった。公園はやけに静かだった。冬休みはいつも散歩している人がいて、子ども達が雪合戦してるのに·····


今日は全然いなかった。あたりは静寂で私が一人でいて。世界が凍っているみたいだった。

それは寂しくて凄く·····綺麗だった。


「ギュッギュッギュッ」

誰かが雪を踏む音が聞こえた。前に人影がある。挨拶がてら雪ちゃんのことを聞こうと思った。

「おはようございます〜」

「おはようございます!」


その人は笑顔で挨拶を返してくれた。凄く整った顔をしてて、とても綺麗な人だ。

そして、制服を着ていた。よく見ると私が通っている高校と同じ制服だった。


でも知らない人だ。こんな人いたっけ?そんなことを考えているとその人が言った。

「私、最近引っ越してきて·····ここの公園ってどうやって出るんですか?」


その子は体を震わせ、耳を真っ赤にして、ぎこちない笑顔で聞いてきた。

私は·····凄く可愛いと思った。


「えっ?もう3時間もいる?」

話を聞いていくと、名前はユルハちゃんで最近、関東の方から引っ越してきたらしい。


だいぶこの地域にも慣れてきて、編入した高校に書類を出しに行こうと思ったけど、学校が空いてなかったから散歩していたら迷子になったとのこと。


ドジっ子だな、と思いつつ、雪ちゃんの事を聞くことにした。

「そういえば、小学生ぐらいの女の子みんかった?私の胸の下ぐらいの身長で·····髪はロングで·····」


特徴を事細かに言っていくと、ユルハちゃんは、ん〜と言って考えていた。

するとはっとした顔をして

「みました!その子、奥の方の遊具にいました!」


「ほんま!?ほんっとありがとう!」

私はユルハちゃんの手を握って喜んだ。

「役に立てて良かったです!こうなったら私も探すの手伝います!」

目撃情報だけでなく、一緒に探してくれるなんて·····。

「本当にありがとう、ユルハちゃん!」

感謝も程々に私たちは奥の遊具に向かった。


奥の遊具までは結構あってここから10分ぐらいかかる。私たちは色々な話をしながら向かった。

お互いの食べ物の好みだったり、最近の出来事など色々なことを話した。ユルハちゃんの話は面白かった。


オチのつけ方がうまかったり何より表情が豊かだったので感情が分かりやすかった。

でも一つ気まずいところがあった。


それはちょっと笑顔がぎこちないところだった。ちょっとしか口角が上がっていなくて、私の目をまじまじと見ている。その笑顔は·····私を嗤っているように見えた。


ユルハちゃんがこんな話を始めた。

「私この町で生まれ6才までにいたんです。でも色んな事情で離れることになって·····」


なんと!ここの生まれだったのか。

「その時の思いでもとかはある?」

私は雪を踏みながら聞いた。


「全然ないんですけど、唯一覚えていることがあるんです。真っ暗な思い出の中から救ってくれた人がいるんです」

自慢げにユルハちゃんは語りだした。

私はもう誰かに踏まれた雪を踏み返しながら聞いた。


「その人は私を救ってくれたんです。ただ忘れるだけの日々を変えてくれたんです。でもその人にお礼も言えず私は引っ越してしまったので。私はその人を探しにここに戻ってきたんです」


ユルハちゃは、その人がどんな人か説明してくれた。

その人の話をしているユルハちゃんは本当に楽しそうだった。さっきの笑顔とは別物の笑顔も溢れていた。


そして、声は勢いは増して、気持ちが高ぶっていた。もうその人を崇拝しているくらいに熱弁してくれた。


ユルハちゃんの話を聞きながら私は違和感に気づいた。こんなに雪に踏まれた跡があるのに、人に一度も会っていない。しかも、さっきから何か臭いがする。獣?みたいな鼻にしつこく残るような臭いだ。


「ユルハちゃん·····なんかちょっと変じゃない?」

でもユルハちゃんはずっとその人のことを喋っている。

「ユルハちゃん〜·····ユルハちゃん〜ユルハ〜」

中々返事がない。少し強めに呼ぶかぁ·····。

「ユルハ!!!」

「は、はい!」


やっと私の声が届いた。かなりその人の話に夢中になっていたみたいだ。

とりあえず、私の気づい違和感を話した。


「そうなんですか、なんか怖いですね·····。大丈夫でしょうか?」

もしかしたら、熊が出てきたのかもしれない。

「とりあえず急ごう。早く雪ちゃんを見つけよう」

私達は速歩きで遊具へと向かった。


臭いが強くなってきた。鼻に残って気持ち悪くなってきた。臭いが正確になったからだろう。多分·····血の臭いだ。

本当にもしかしたら誰かが襲われたのかもしれない。雪ちゃんは大丈夫だろうか?


遊具が見えてくるのでもう少しペースをあげたころユルハちゃんが転んだ。

「ごめん、ペース速くしすぎた。大丈夫?痛くない?」


私はすぐに手を差し伸べた。

「大丈夫です。すいません転んじゃって」

私はユルハちゃんの服に赤いシミを見つけた。これは·····血だ!


「大丈夫じゃないやん!血でてる!どこ?」

私は怪我を探したが何処にも怪我はなかった。

「あれ?どこも怪我してない?」

私はユルハちゃんに尋ねた。

ユルハちゃんは私の質問には答えず歩いていった。


どんどん遊具に近づいていく。臭いは強くなっていき、鼻で呼吸できないくらいになった。ユルハちゃんはさっきから話しかけても反応してくれなくなった。何かまずいことしただろうか?


遊具がぼんやりだが見えてきた。赤色の遊具だ。

あれ?ここの遊具ってそんなに赤色だったっけ?もっと銀色とか黄色とかあったと思うけど·····。


遊具が少しハッキリ見えてきた。人が立っているのが見えた。何人もいるみたいだ。雪ちゃんもいるかもしれない!でも、公園でユルハちゃん以外の人を見たのは·····久し·····ぶり。


遊具がしっかり見えてきた。太陽の光が激しくて雪が赤色に見えた。

遊具が見えた。

そして私はここへ来たことを後悔した。


遊具には人の形をした黒いものがいる。辺りには·····大量の死体があった。

腕と足と半身と頭がそこら中に散らばっていた。


体がフリーズしたみたいに静かになった。

喉が締め付けられたような感じがして息ができなくなった。

「オェッ」

吐いた。


その瞬間フリーズが解けて私は自分の状況を理解した。

「ユ、ユルハ·····ちゃん?に、にげよ?」

体の全てに力が入らない。私はユルハちゃんに助けを求めるように言った。


でも、間違いだとすぐに分かった。

だってユルハちゃんは立っているから。ぎこちない笑顔じゃない、満面の笑みで。


「ありがとう!ここまで来てくれて。誰が来るかなと思ったけどまさかあのクソ魔女がくるなんて!やっぱりあの人には私がいいのよ!」

ユルハちゃんは喜びに満ちた声で言う。


「な、なにいってるん?」

今にも途切れそうな声で言った。

するとユルハちゃんはこっちにきて、私のお腹を蹴りはじめた。


「黙れよ喋りかけるなよ気持ち悪い。お前は何なんだよ。何も知らない癖に理解出来ない癖になんでお前が選ばれるんだよ。お前よりも私のほうがあの人のことを知ってるんだよ。愛してるんだよ!!!あの人のこと、ダーリンのことは私が一番愛してるんだよぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」


ユルハは思いっきり私のお腹を蹴り続けた。私のお腹は「ギュッ」っと変な音をたてていた。

「な、んで?オェッわた、しわるい、こと、した?」

私は朦朧とした意識で聞いた。答えはこうだった。


「お前が私のダーリンに·····翔に呪いをかけたから。誰よりも私が理解して受け止めてあげれて愛してぇ!愛してぇ!愛してぇ!愛してるダーリンに呪いをかけたから。お前は殺してやるよぉ!ダーリンの前で。そうしてダーリンにお前がかけた呪いを解くんだ!!!だからごめんね!」 


私は痛みと恐怖と絶望に堕ちた。体は動かない。意識が·····遠のいていく·····。

どうも、ヒトです。この作品を読んでいただきありがとうございます。良ければ感想やブックマークをしてくれると嬉しいです。誤字脱字もあったら報告していただけると助かります。

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