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、ゲームへ  作者: ヒト
第ニ章 骨の髄まで
3/33

「お前らは違う」

俺は家の前にいた。いつもの家だ。

「皆は·····無事なのか·····?」

俺は急いで玄関を開けリビングのドアの前に立った。


焦り、悲しみ、そして孤独。1人は嫌だ。

楽しかった日があんな·····

怖い。全員いるのか?生きてるのか?早く早く確認しないと。


震える手でドアを開けた。

「あっ、兄ちゃんやん!おかえり!」

「翔やん!おかえり」

「翔ちゃんおかえり!」

「ん?おぉ、翔!おかえり」


咲ねえも裕太も母さんも電話ごしだが父さんもいる。

「真弓は·····どこだ?」

「まゆちゃんなら風呂だけど·····翔ちゃんだいじょ·····あっ」


俺は急いで風呂場に行った。勢い良くドアを開けた。

「ん?誰·····って翔?!ちょ·····変態出てって!」

そこには真弓がいた。今にもぶん殴ってきそうなぐらい元気だ。


みんないる、無事だ。真っ二つになんかなってない。生きてる。

「良かった·····良かったぁ」

声は震えて弱々しい。俺はいつの間にか真弓を抱きしめならが泣いていた。


酷い顔をしていただろう。とにかく寂しかった。温もりが欲しかった。

「ちょっ、冷たっ·····翔?大丈夫?」

真弓は、最初は慌てていたが、そのうち優しく抱きしめてくれた。安心して全身から力が抜ける。

あたたかい。


「大丈夫、私がおるよ」

そう声をかけてくれた。

真弓の優しさに包まれ、俺は眠るように気を失った。


起きたら俺はベッドにいた。

「あっ、おはよう」

咲ねえが横にいた。

「大丈夫?なんかあったの?」


心配そうに聞いていれた。あの話をしようか迷った。

でも、あれを対処するには犠牲なしでは乗り越えられない。

危険なことに巻き込みたくない。またみんなの死体なんて見たくない。


だから·····

「大丈夫や、なんもない。それよりねえちゃんも疲れた顔してるで」

「ほんまに大丈夫?絶対?ほんまの絶対?」

心配そうに顔を覗き込んで聞いてくる。


「大丈夫や!」

やさしい笑みでそう言った。

「·····皆んな、下で待ってるから降りてきてな」

そう言って部屋を出た。


さあ、これからどうしよう。今、分かっていることは皆んな無事だということ。それから朝になると皆居なくなる。


寝る前には皆んな家にいた。ということは夜、攫っていったのかも。

それを止めればまずは皆が死ぬことはない。

「来るなら皆んな、寝てくらいか」

絶対死なせない。絶対守る。その為ならなんだってしてやる。あのときみたいに。


「おはよう、そんでただいま!心配かけた」

下には皆いてご飯を食べていた。

「翔!おかえり!大丈夫かぁ?急に泣き出したみたいやないか、裸の真弓に抱きついて」


「おはよう、兄ちゃん!びっくりしたでほんま。急に裸のまゆねえに抱きつくから」

そうだった。俺は真弓に抱きついたんだ。


裸の真弓に·····うんヤバい。終わったかもしれない·····。

「あのぉ〜真弓さん」

「なに?」

「この度は本当に申し訳ございませんでしたっ」

土下座をした。産まれて初めて本気の土下座だ。色々考えていたから忘れてた。俺はなんてことをしてしまったんだ·····しばかれると思った。


でも真弓の返事は意外だった。

「まぁ、恥ずかしかったけどいいよ。それより大丈夫?酷い顔してたけど·····」

心配そうに真弓そう言ってくれた。だから俺は笑みで答える。


「ほんまごめん。俺は全然大丈夫やから」

「·····わかった。おかえり翔」

やさしい笑顔で真弓は言ってくれた。


「そういえば、翔が寝てる間に雪ちゃんに会ってきたよ」

母さんが言ったことは、俺が本当にゲームに参加していることを実感させてくれた。体験版のときと同じ行動だったから·····。俺は知らないフリをする。


「ほんま!?雪どうやった?元気やった?」

「元気やったで。でも寂しそうやったで、翔に会えっくって」

「まあ、また明日会いに行くから楽しみにしとき」

明日雪に会いに行くためにも今日は絶対乗り切る。そう心に誓った。


「北海道ではどうなん?」

「北海道なぁ、クソ寒いし雪めっちゃ降るわ。大変やで」

また同じような会話をした。それでも楽しかった。皆んなの温もりを感じる。


幸せだ。

でも父さん、母さんと言った記憶、一緒に泣いた記憶は皆んなにはない。それが酷く悲しかった。


「今日は皆で一緒に寝てへん?久しぶりやし!」

皆にそう提案した。理由は、全員同じ場所にいる方が守りやすいし、久しぶりだし皆に甘えたくなった。


「おぉ、久しぶりやなぁ!皆で寝るん。リビングでええなぁ皆!」

「「「「おぉ!」」」」

流石父さん。ノリノリだ。皆んな、笑って幸せそうにしている。だから絶対に誰も死なせない。死なせてたまるか。


俺は武器になりそうな物を探した。元々、剣道部だったから竹刀や木刀もあったけど、それじゃだめだ。相手がどんな武器を持っているか分からないし、武器なら殺せるものがいい。包丁も良かったが倉庫にナタがあったのでそれにした。ナタを玄関に置き、準備完了。


「いやぁ、ほんま翔が気ぃ失ったときはどうなるか思ったけど良かったわ!元気そうで」


「心配かけたな。でももう元気やから」


「良かった。でも裸のまゆねえに抱きついたときはとうとう兄ちゃん我慢できんようなったかと思ったで〜」


「おい、裕太ぁ〜。俺聞いたでぇ〜。まだ、たまに咲ねえと風呂入ってるそうやないかぁ·····。まだまだおこちゃまやな!」


「うっさい!」


まあどうせ過保護な咲ねえが無理矢理入ったんだろ。そんな話をしながら布団を敷いた。


皆んな集まって、俺がいない間の出来事を話したりゲームをやったりした。

楽しかった。ずっとこれが続けばいい。が、そうもいかない。絶対守り抜いて幸せになってやる。


皆んなが寝静まったころ。俺は玄関に置いたナタ2本を持って外で待機していた。外は静かで寒い。俺1人しかいないみたいだ。こういうのも嫌いじゃない。1人で静かにいるのは好きだ。


そんなことを考えていると足音が聞こえた。しかも複数人。フードを被って、いかにも怪しく見える。

「来たか」

俺は身構えた。足音がどんどん近づいてくる。


俺が隠れている塀のすぐそばまで来た時だ。

足音が·····消えた?

道を見たが誰もいない。

もしかしてもう家に入ったのか!


急いで家の中を確認しようと玄関のドアまで来たとき、後に気配を感じた。それは殺気のようなものだった。


咄嗟にしゃがんだ。頭の上には包丁が玄関に刺さっていた。すぐふり返ってナタを振り下ろす。

しかし綺麗にかわされた。


「チッ あそこで死んだら楽やったのに!」

聞き覚えのある声がした。でも今考えている暇はない。敵は5人。かなり厳しい戦いだ。


「ご丁寧に頭狙ってくれてどうも。避けやすかったわ」

相手の強さは未知数だし複数人だ。全員ナイフやらスタンガンやら物騒な物を持ってる。


「ほんまに待ち伏せしてたんや!流石、翔。わかってるな。でも私たちのこと·····殺せる?」

そう言い1人が切りかかってきた。


攻撃を避ける。しかし他のやつらが追撃にくる。

「死んじゃうよ!翔」

「うっさいボケ」


俺は追撃に来た2人に、思いっきりナタを振り下ろし殺した。思ったよりも弱い?

それに、奇妙なことに死体は灰になって消えていった。


「あ〜あ。可哀想に。殺しちゃったね!」

突然、そう言ってそいつらはフードをとった。

そこには真弓、咲ねえ、裕太がいた。


「今殺したのはお母さんとお父さんやで。この白状もの」

怒りのこもった声でそいつは言った。

そうか。こいつらがコピー人間か。


「兄ちゃん·····なんでお母さんとお父さん殺したん?あんなに優しくしてたのに·····なんで?なんでそんなことできるん?」


コピー人間たちは、自分たちが「本当の家族」だと思っているようだ。

思わず笑ってしまった。


「ハハハハハっ!俺の家族は父さん、母さん、咲ねえ、真弓、裕太、雪や。それでお前らはただの真似事してる人形やろ?それになんで情なんてもん、かけなあかんねん」


コピー人間とわかっているなら躊躇なんて要らない。こいつらは俺の家族でも何でもない。

俺の反応を見て、コピー人間は驚いていた。


「そっか。翔にとって家族はそんな軽い存在やったんや。もういいわ、殺すで」

3人全員できた。俺は距離を取りながら攻撃したが、かわされる。コピー人間はかなり身体能力が高そうだ。

「あ〜、やっかいやなぁ。ならこれでどうや」

俺はナタを一本投げて懐にある銃を取り出した。


一気にコピー人間が引いたところに、俺は、逃げ遅れを狙った。

「兄ちゃんやめて助けっ」

「ガッ」

頭にナタを振り下ろした。


俺は、種明かしをする。

「この銃な〜エアガンや。本物なんて持ってるわけな

いやろ」

自分の頭にBB弾を撃ちながらそう言った。


「はぁ、もう2人かぁ。早いなぁ。ちょっと本気だそ。お姉ちゃん」

「そうやねまゆちゃん。一緒に殺そか」


多分、一番厄介なのは咲ねえのコピー人間だ。まずまず咲ねえが空手で全国大会優勝してる。戦闘も、威力も折り紙付きだ。


先に真弓のコピー人間がきた。包丁を乱暴に振り回している。かなり振りが速い。だから、振り終わりを狙いナタを振り下ろした。殺した、と思った。


でも俺は何故か遠くへ飛ばされていた。

「は?なんでゴボッ·····オェ」

胃の中身が全部出るぐらい吐いた。


鳩尾を殴られた。痛すぎて立ち上がれない。このまま殺される。

「翔ちゃん!ちゃんとお姉ちゃんのこと見とかないと!」

「結構粘ったと思うで?まぁもう終わりやけど。じゃあね翔。バイバイ」


コピー人間は包丁を振りかぶった。抵抗しようとしたが体が動かない。

ここで終わりか·····


それでも何とか体を動かそうとするが、力が入らない。俺は、コピー人間を睨みつけることしか出来なかった。そして、死を覚悟した。


でも俺は死ななかった。

そして目撃した。咲ねえが咲ねえの顔を殴り飛ばしている光景を。


「え?」

殴り飛ばされた咲ねえは灰になって消えていった。

どういうことだ?


「翔は絶対お姉ちゃんが守る」

そこには、本物の咲ねえがいた。

「な、ゴボッなんで咲ねえがいるんや?寝てたはずやろ?」


「翔の様子がおかしいからずっと起きててん!まさかこんなことになってるなんて·····しかも私が·····私がいる」

真弓もいた。


「え?真弓?なんで二人とも?」

幻覚かと思ったが、痛みのおかげでこれが現実なんだとわかる。


「翔!大丈夫?ごめん·····遅くなった」

「まゆちゃん、翔のことしっかり見ててね」

そういって咲ねえがコピー真弓に構えた。が、コピー真弓は諦めたように言った。


「はぁ、私もお姉ちゃんも来ちゃったかぁ。まあ目的は達成できたしいっか!それじゃあバイバイ」

コピー人間は消えるよう逃げていった。

俺は酷く安心した。

どうも、ヒトです。この作品を読んでいただきありがとうございます。良ければ感想やブックマークをしてくれると嬉しいです。誤字脱字もあったら報告していただけると助かります。

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