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第11話 俺はロリコンじゃない。断じて違う

更新遅くなってしまい申し訳ありません!

読んで頂きありがとうございます!





夜の住宅街にサンダルの足音が響く。季節はすっかり夏になり、日中は暑くて外出などしたくもないが、夜になれば涼しくて散歩に適している。


人通りもほとんどなくて、のんびり散歩していると街灯の下に蹲る小さな人影があった。近づくと10歳くらいの女の子だった。


おいおい、もう日付が変わるぞ……?いくら治安のいい国だからって危ないだろうが。声を掛けようと口を開くが、ふと思いとどまる。これ俺が声かけ犯として通報されたりしないよな……?今の俺は同性だし大丈夫だよな?


「ねえ君。こんな時間にひとりで居たら危ないよ?」


「女の子だから大丈夫だもん」


うーん?女の子だからこそ、より危ないと思うんだが。


「君みたいな可愛い女の子がひとりでこんなところに居たら変な人に声掛けられちゃうよ」


「じゃあお姉さんは変な人なの?」


「変な人……ではないけど。小さくて可愛い女の子が大好きな私みたいなのに、目つけられちゃうから早くお家に帰りな」


断じて俺はロリコンではないがこの子に危機感を持って貰うためには言わなければならないことだ。


「ふーん?私のお姉ちゃんとは大違いだね。お姉ちゃんは私の事嫌いだから。お姉さんが私のお姉ちゃんだったら良かったのに」


女の子は立ち上がり膝を払いながら呟いた。なるほど。姉妹で喧嘩して飛び出してきたって感じか。法が許すなら今日のところはこの子を家に泊めたいけど、誘拐犯として訴えられたら負けそうだし、この子の家まで送るしかないか。


「妹の事が嫌いなお姉ちゃんなんていないと思うけどな。もし喧嘩しちゃって帰りづらいなら私も一緒に行ってあげるから。お家帰ろ?」


女の子は小さく頷くと俺の手をとった。家の方向を聞くと分からなくなってしまったそうだ。とりあえず見覚えのある道を探して歩き始めた。


「そうだ。私は零って言うだけどお名前聞いてもいいかな?」


「奈々」


「奈々ちゃんか。苗字も聞いてもいい?」


「北山」


北山?どっかで聞いたことがあるような気がする。そうだ!美佳ちゃんの苗字も北山だったな。苗字が一緒なだけかもしれないが一応聞いておくか。


「奈々ちゃんのお姉ちゃんの名前って美佳だったりしない?」


「お姉ちゃんのこと知ってるの?」


本当にそうだったか!世間は狭いなぁ。スマホを取り出し美佳ちゃんに電話をかける。


「もしもし美佳ちゃん?零だけど」


「こんな時間になんの用?今忙しいんだけど」


美佳ちゃんは息を切らしているし、電話越しに車の通る音が聞こえることから、奈々ちゃんを探し回って居たのだろう。


「安心して。奈々ちゃんは今、私と一緒に居るよ」


「え?本当に?はぁーーー。よかった……。今どこにいるの?」


「○×商店街の入口のゲートの所」


「了解。悪いんだけど、もう少し奈々と一緒に居てあげてくれない?」


美佳ちゃんの声が優しい……妹の事がよほど大切なんだな。その優しさ俺にもちょっとだけ分けてくれたら嬉しいな。


奈々ちゃんと世間話をして待っていると、美佳ちゃんが走ってきて奈々ちゃんに抱きついた。


「奈々!どこいってたの!心配したんだよ?」


「ごめんなさい……」


おお……美佳ちゃんがお姉ちゃんしてるわ。いつもツンとした態度しか見てないから、なんか新鮮だな。


「雪村。本当に助かった。ありがとう」


「奈々ちゃんに何事も無くて良かったよ。それより私ともハグしてくれない?」


「えっ、しないけど」


くっ。流れで今なら行けると思ったんだけどな。


「お姉さんは小さくて可愛い女の子が好きなんだよね?奈々がハグしてあげる」


天使だ……。奈々ちゃんとギュっとハグすると美佳ちゃんが冷えた声で言った。


「えっと。雪村……奈々に何言ったの?ロリコン宣言?」


いや、美佳さん……これにはちゃんと理由が……


「10歳の子に私はロリコンですって言いながら近づく女、恐怖でしかないんだけど!?」


うーん。おっしゃる通りです……。


程なくして美佳ちゃんと奈々ちゃんは家に帰って行った。奈々ちゃんもきっと姉から嫌われてなんかいなくて、大切に思われていると分かった事だろう。





「雪村。昨日は本当に助かった」


翌日。美佳ちゃんが俺の所に来てお礼を言ってきた。


「小さい女の子ひとりで夜に外に出したらダメでしょ?ちゃんと見てあげなきゃ」


美佳ちゃんも分かってはいると思うが念を押しておく。


「雪村みたいなロリコンに見つかったら危ないもんね。肝に銘じとく」


「何もしてないから!YESロリータNOタッチだから!」


「何がYESなのさ。それに思いっきりタッチしてたでしょうが!」


やべっ。タッチしてたわ。


「安心して、本命は美佳ちゃんだから」


「どっちにしろ嫌なんだけど!?」


美佳ちゃんは溜息をつくと、手に持っていた紙袋を渡してきた。中を見るといい値段のしそうなお菓子の缶が入っていた。


「これ、昨日のお礼」


「お礼なんていいのに、私が勝手にしたことだし」


「持って帰ったらお母さんに何て言われるか……大人しく貰って」


これは貰わないほうが不親切か。奈々ちゃんにハグして貰ったから報酬は十分貰ってるんですけどね。


「じゃあ、ありがたく」



ーーーーー




もう10分はうじうじと考えている。なんて声を掛ければいいんだろう?


遅めの時間にシャー芯を買いに家を出たら道端で女の子が蹲っていた。


声を掛けたとしよう、そのあとはどうすればいいの?警察?家まで送る?僕だってあんまり遅い時間に外にいるのは危険だ。


そんなことを考えていると女の子に1人の女性が近づいて行った。


内心ほっとした。でも僕が勇気を出して声を掛けていれば、あの女の子はあと十分早く安心出来ていただろう。高校生にもなって情けない。


あの女性は誰だろうと目を凝らすと、零さんだと分かった。ラフな格好にサンダルを履いていて、なんとなく様になってる。


少し話すと2人は僕とは反対方向に進んで行った。


あぁ。失敗した。僕が勇気を出せていれば小さい子を助けている姿を零さんに見て貰えたのに!なんて思うのは性格悪いんだろうな。


僕の友達の蒼真くんや来人くんなら、すぐに声を掛けたんだろうな。これからも勇気を出せなくて、出遅れるような場面はきっとある。


それと……零さんに見合うような男になりたい。


次は絶対勇気を出すんだ。変わらなきゃ選ばれないから。


小さくなっていく零さんと女の子の背中を見ながら僕は心に決めた。




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