第10話 遠慮せず最初っから見とけば良かった……！
読んで頂きありがとうございます！
「あつい……しぬ……」
「しょうがないな……沙那、あおいであげるから生き返って」
学校につくと初夏の暑さで沙那ちゃんと美佳ちゃんが苦しんでいた。自分も暑いのに友達のことファイルで仰いであげる美佳ちゃんマジ天使。
「ありがとぉ美佳。はぁ。授業始まるまで前開けとこ」
沙那ちゃんがシャツのボタンを外し始めた。上のボタン二つくらいかと思いきや全部外したんだが！？美佳ちゃんも止めないし皆特に見向きもしない！？
「あ、おはよー零。ってなんで目隠してんの？」
「うぇ？いやー、見たら悪いかなって」
なんで動じないんだよ！恥じらえって！
「は？別に見たからどうって訳でもないし気にする必要なくない？」
「本当に？見たらお金払えって言わない？」
沙那ちゃんの下着を見る権利なんて一体幾ら払わなくちゃ行けないんだ！
「いやいや、女の下着姿なんて誰がお金払うのさ」
ガチか？見てもいいのか？
「待って雪村」
ビックリした。突然美佳ちゃんに目を隠していた両手を掴まれた。
「どうしたの美佳？」
「沙那の身が危ない気がしたから。雪村そのまま自分の席行って」
くっ！本人から許可を得たのに！ほら。美佳ちゃんのセリフで沙那ちゃんが青ざめながらボタン閉めちゃったじゃないか。
「雪村……おはよう……」
「ん？あぁ。おはよ」
自分の席に着くと隣の席の蒼真くんが声を掛けてきた。ボタンをカッチリしめているしベストを着ているからめちゃくちゃ暑そうだ。
「暑いならベスト脱いだら？」
「シャツだけだと肌着が汗で見えるかもしれないからな。ちょっと恥ずい」
はぁ？誰も見ないわ。男なら上裸……は流石にダメか。Tシャツ1枚でも別にいいだろ。
「何が恥ずいのさ……というかこんな暑いのにベストまで着てるのは見てるこっちが暑い」
「雪村のことだから他意は無いんだろうけど……分かった雪村がそういうなら脱ごう」
蒼真くんは顔を少し赤らめながらベストを脱いだ。いやいやどういうこと？いくら貞操観念逆転世界でもシャツ着てるんだから恥ずかしい要素ないだろが！
「ていうか、この前海パン1枚だったじゃん？あれはいいの？」
「なっ！？あれは水着だからいいんだよ！そういうもんだから！」
「あはは、ごめんって怒んないでよ」
珍しく蒼真くんが大声を出したからちょっとビックリした。
「蒼真くんは零さんに見せるために勇気出してあの水着着たんだよ。いないわけじゃないけど海パン1枚は結構攻めたスタイルだから……」
相沢くんが耳打ちしてきた。なんで俺にわざわざ攻めた水着見せるんだよ。
4限までの授業が終わり昼休みになると隣で蒼真くん相沢くん来人くんが飯を食べ始めた。
「蒼真が海パン一丁で姐……零さんを誘惑しようとしたって聞いたんだがホントか？」
来人くんの問いかけに、蒼真くんが飲んでたカフェオレを吹いて、めちゃくちゃむせてる。なんだよ誘惑って……
「ち、違う。そんな事してねぇから」
「そうだよ来人くん。蒼真くんはあの水着は攻めすぎたって反省しているんだからやめてあげてよ」
えぇ……この世界の水着の定義どうなってんだよ。海パンさんに謝れ。
「悪い悪い。だけどよ本当に攻めすぎだぜ。俺だって上着付きのセットアップの買ったぞ」
高身長、筋肉質で強面な来人くんが相沢くんの着ていたようなラッシュガードを着ているのを想像するとちょっと面白くて吹いた。
「くっ……ら、来人くんどんなの買ったの？」
「えっ！？姐さん見たいんですか！？」
「えっ？まぁ……？」
何故か後ろの二人、相沢くんと蒼真くんがショックを受けたような表情をしている。何故だ？それに対して来人くんは嬉しそうだ。
「じゃ、じゃあ、今度俺たち三人で海行こうって話してたんで零さんも一緒にどうですか？」
「海か……うん、いいね」
海！男女比が偏ったこの世界なら、可愛い女の子がいっぱいいるってことだ！しかもこいつらを連れてれば向こうからくるかもしれないじゃないか！ふっ悪いなお前ら、利用させてもらう！誘ったのはそっちからだからな！
「ホントか！詳しい日程は夏休み近くなったら決めますんで！」
にしても海なんて行くの何時ぶりだろう。前の世界で子供の頃に行ったきりかもしれないな。
「雪村、ちょっといい？」
まだ見ぬ海辺のお姉さんに思いを馳せていると、美佳ちゃんから声を掛けられた。
「ん？どうしたの？」
美佳ちゃんと共に廊下に出るとズイッと距離を詰められた。なになに、こんなに近いとドキドキしちゃう。
「あの三人と海行くんだって？」
「うん、そうだけど」
美佳ちゃんが何やら神妙な面持ちだ。
「お願いがあるんだけどさ……私と沙那も一緒に行ってもいい？」
「いいよ一緒に行こ！」
これは嬉しい申し出だ。美佳ちゃんと沙那ちゃんの水着も見れるとはな！あの三人にも見られるのは癪だが仕方ない。
「まぁ、普通断るよね。男三人のハーレム邪魔されたくないもんね」
「え？」
「え？」
断るわけないんだけど……逆に女の子から海一緒に行きたいって言われて断るやつなんて居るのか？居たら俺がビンタをお見舞いしてやろう。
「い、いいの？」
「もちろん、あの三人には私から伝えとくよ」
「ありがとう……」
美佳ちゃんが唖然としているがどうしたと言うのだろう？
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「美佳どうだった？やっぱダメだった？」
「いや、雪村OKだって」
私の言葉に机に突っ伏して顔だけあげていた沙那が勢いよく体を起こした。
「まじ？零、神過ぎない？」
「はぁ。モテ女の余裕ってやつなのかな」
悔しいが変わったあとの雪村は男子たちから人気がある。雪村には悪いが男子たちと仲を深めるために、この機会は最大限利用させてもらう。沙那が言っていた通り遠慮していたら彼氏なんて出来ないから。
少し離れた席で雪村が私と沙那も一緒に行ってもいいかと男子達に聞いていた。雪村は少し話した後こっちに歩いてきた。
「おっけーだって。いやー、美佳ちゃんと沙那ちゃんの水着楽しみだなー！はやく見てみたいな！」
こいつ本当に大丈夫か？どこの世界に女の水着楽しみにする女がいるんだよ……さっきも沙那の下着に過剰に反応してたし。いやいや、雪村なりの冗談だよね？
「やだなー零。女の水着なんて見てどうすんのさー」
「そりゃ、私がハッピーになるんだよ」
本当に冗談だよね……？
入れ替わって男女比普通の世界にやってきた零ちゃんのお話を不定期で後書きに書いていこうと思います。おまけなので軽い気持ちで読んで頂ければ幸いです。
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「んはっ！？」
意識飛んでた……えーと何やってたんだっけ？エロ本読んでたんだっけ？違う。そうだネット通販で黒魔術の本買ってそれで……
意識が覚醒してきて分かっちゃった。これ成功してるわ。見覚えのない部屋！これは勝ち確ですわ！枕元に置いてあったスマホを起動し内カメラで顔を確認する。
「男……男になってる！！しかもイケメン！！」
嬉しい誤算である。名前が同じだと因果が近いとかナントカ書いてあったから女になるかと思っていたが、まさか男になれるとは。
「男なら男に近づきやすいし、なんなら自分の身体触り放題やんけぇ！！」
突如として電話が鳴り響いた。ビックリしたけどとりあえず出てみる。
「もちもち、どちら様で？」
「羽原、お前どこにいるんだ？もうすぐ始業時間だぞ？」
男の人から電話！こんなのっ……はじめて……！
「おい、聞いてんのか？まさか今起きたのか？」
「モーニングコールってこんなに幸せなんですね、まさか入れ替わったらこんな素敵なおじ様が彼氏なんて……夢見たい」
「は……？ど、どうした羽原……？よ、よし、分かった、今日は休んでいいから。頭直してからで会社来るのはいいから」
おじ様が心配してくれるシチュエーションボイスなんて最高じゃないの。
まだこの身体がどんな境遇なのか分からないけど、これだけは言える。
「はぁーーー。最高か？」
