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国を揺るがせようとも日々は進んでいく。その1

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議事堂が僅かにだが揺れた。

他の方々は気付いていないようだがそんな気がした。

だが、今はそんな事を気にしてる場合ではない。

これから討論会が始まるのだから。

内容は私が出した全国民に教育を受けさせる法案。

これが通ればこの国はより良いものへとなる。

その為の根回しも済んだ。

女王と謁見し、好感を貰った。

そしてこの討論会の日に議事堂が爆破されるという噂を流した。

おかげでこの場には私の意見に賛同する同じ志の者と玉座よりこちらを見守る女王陛下、そして最大の障害になる宰相モーガン・マキーヴニーがいるのみだ。


「………………。」


マキーヴニー宰相は不気味にもただ静かに腕を組み椅子に座っている。

まるで何かを待っているかのように。

なんだ?そう疑問に思っていると議長が時間通りに入室して来た。


「これより討論会を始めます。内容とつきましては「待った。」」


議長の言葉を遮るようにマキーヴニー宰相の重厚感のある声が議事堂に響いた。


この場にいる皆はなんだという視線を彼にぶつける。

彼の仲間はこの場にはいない。

もし彼だけで戦うというのなら戦ってやろう。

そう決心したのを嘲笑うかのように突然マキーヴニー宰相が拍手を始めた。


なんだ?どういう事だ?そんな我々の疑問に答えるように彼は口を開いた。


「おめでとう!君の。いや、君たちの目論見は達成された!」


この場にいる皆は予想だにしていなかった展開に言葉を失う。


「君達の全国民に学習を義務付けさせる法案はこの場にて可決されるのは目に見えてる!この場に討論する時間がもったいない。」


そう拍手しながら話を続ける。


「君達の信念の勝ちだ!だが、私は負けたくない。」


彼は手を一際大きく叩いて場の空気を変える。

その発言にこの場にいた皆が動揺する。


「君達。私の派閥に加われ。さもなくば君達の法案は一生通らないだろう。」



彼の一方的な要求に私を含めた皆で抗議した。

議長のガベルを鳴らしながらの静粛にという声でなんとか落ち着いたが内心それどころではない。


「それはどういう事ですかな?」


私が皆を代表して尋ねる。


「何、言葉の通りだ。私が望めば法案を施行するまで何年でも審議に戻す事が出来る。そうだな。私の孫のその孫の世代までもな。」


「な、そんな横暴通る訳無いだろ!」


「出来るのだよ!何故なら私は女王陛下より宰相の地位を賜ったのだからな。そうでしょう。女王陛下。」


この場にいる皆が玉座に座る女王を見る。

彼女はただニッコリと笑いながら手を振るだけだ。

その様子はまるで人形のようだ。


「さぁ!どうするのかね?野党の諸君!」

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地面が震えた。


「アヤツ。やはり失敗したな。」


今、わしがいるのは議事堂地下の薄暗い場所にいる。

ここに爆弾を仕掛けて女王ごと奴らを吹き飛ばす。

全国民に学を付けさせるなんて間違っている。

知識とは選ばれた者だけが持てばいい。

それに勉強(遊んでる)間に誰が働くんだ。

そんな当たり前の事をモーガンや女王にも説明したが全然取り合わない。

なら国の為に私がやらなくてはならない。

ここに用意した爆弾を用いれば議事堂など木っ端微塵。


「オンズロー卿。準備が整いました。」


「よし!退避するぞ!」


「まだ仕事は残ってるわよ。」


聞き覚えの無い女の声。

振り返るとここの唯一の出入り口に1人の女性が立っていた。

後ろから光が照らしていて顔に陰が掛かっていて誰か分からないがそんなのどうでもいい。


「誰だ?見張りが居たはずだが?」


「あーおねんねして貰っているわ。」


「そうか。ひっ捕らえよ!奴は賊だ!」


わしの命令に2人の下働きが反応し女性に飛びかかるが女性は華麗な身のこなしと腰に下げた伸びる棒で鈍い音を立てながら下働き2人をすぐに地面に叩き伏せた。


「賊なんて酷いわねー。女王に反旗を翻してる賊はあんた達なのに。」


女性は笑うように手を口に当てる。


「だ、誰だ!貴様は!」


「私?こう言えば分かるかしら?」


女性は数歩歩みを進め顔に照明が当たる位置にまで近づく。


「緑の騎士と。」


そこには目元を仮面で隠した緑色の髪の女性が居た。


「お前が昔この街のゴロツキ共を相手に1人で戦ったという...!」


「あーまぁね。それよりちゃっちゃと仕事を片付けたいから大人しくしてくれる?」


「く、来るな!爆弾を爆発させるぞ!」


「じゃあ。そっちは頼んだ。」


「承った。」


聞き覚えのない若い男性の声が背後から聞こえて来た。

振り返ると緑の木の板を組み合わせたような仮面を被った男が爆弾の前に居た部下を地面に打ちのめしていた。


「後悔は被告人席で言いなさい!」


その声に振り返ると女性が襲いかかって来た。

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夕暮れ差し込むバーカウンターの1席。

そこで私はお気に入りの安酒を飲む。


「ふん。皆から恐れられる宰相殿が親友が逮捕された事に消沈か。」


その声に店の入り口に視線を向ける。

そこには長年の宿敵であるヒューゴ・レノックスがいた。


「……ヒューゴ。何のようだ。」


「何。あやつから無事仕事が終わったて聞いてな。今頃ここで一人寂しく酒でも飲んで感傷に浸っていると思ってな。」


そう言い私の側の席に座り琥珀酒を頼む。


「……放おっておけ。」


「そうですよ。それに一人ではありませんから。」


そう言いお手洗いからアール-皇国銀行代表取締役が戻って来た。


「なんじゃ。ケチなお前さんまでいたのか。」


「えぇ。この時、この場で飲んでないと損失は大きいですから。」


そう言い私の隣-ヒューゴと反対側に座った。


「まさか。儂ら問題児4人の中で最初にここに来れなくなるのは奴だとはな。」


「……あぁ。」


今回の議事堂爆破未遂事件は国家反逆罪で裁かれるだろう。

助けられない。

助けるべきではない。

奴の好きだった酒が氷と共に揺らす。


「我々は誓った。必ずこの国をより良い物にすると。」


私は酒を呷る。


「それよりヒューゴ。お前はどうなんだ?この前女王の反感を買っただろう。遠くない未来に処刑されるのでは?」


「……酒の席で不味くなるような事を言うな。ちゃんと始末を付けたわい。それに今後は各地に目を送っているから安心せい。」


「……ふん。頼んだぞ。」


それから夜の闇が深まりながら酒を呷っていく。

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