02話 豪華な昼食会
やっと、修正終わりました。
修正結果については、活動報告に載せてます。
入学式後、オズ様の誘いで俺達は昼を共にしていた。
「──そう言えば、今日の新入生挨拶はお見事でした、エド様」
今年は予想通り、エド様が新入生代表だった。
エド様とユーリと2人、新入生用の花を胸に付けている。
2人の制服姿が見慣れないせいか、何だか不思議だ。
「本当に? だったら、嬉しいんだけど。凄い緊張しちゃったから。上手く喋れた自信はないや……兄上やリュートもやったって聞いてたから、カッコ悪い所は見せないように頑張ったつもりだけど」
そう言って、少し照れたようにエド様は自分の頬をかいた。
「いえ、とても良かったと思います」
「ん、よかった……!」
オズ様の王たる威圧感みたいなものはなかったけれど、人を惹き付ける何かがあった。
これも王族の血がなせる業だろうか。
そのせいで、リリスが嫉妬で周囲に睨みをきかせていたが。
「俺も、中々、悪くなかったと思ったぞ。途中1回噛みそうになっていたが」
誉めておいて、最後にからかって意地の悪い笑みを浮かべる。
こういう所がオズ様らしい。
「うぅ……バレてました?」
「上手く誤魔化していたから、他の者には分かるまい。分かったのは、お前をよく知る俺達位だろう」
それでも、最後にちゃんとフォーローを入れるあたり、憎めない性格ではある。
エド様の髪をぐしゃぐしゃにかくと、温かい視線を向けていた。
挨拶だって、弟であるエド様の事をよく見ているから気付いたのだ。
俺様なとこもあるけど……いい兄貴だよな。
特に変態的でもないし。
家の兄様は時々ぶっ飛ぶから、こういう所は見習って欲しいものだ。
「…………ぐへへ、お兄様達の絡み、尊い!……ぅ、いたた、そんな悪い事言ってないのに、いてて、……ごめんなさい」
和んだ空気を一瞬で濁らせるような腐臭を横から感じたので、机の下で足を軽くつねった。
「殿下、そろそろTPO、学びましょうね?」
俺は満面の笑みで発生源に言った。
途端に、ユリアは首を何度も縦に振った。
俺が腐王女に気を取られている一方で────
「……その兎はどうしたんだ?」
アシュレイはユーリの腕に抱かれている兎に気を止めていた。
ぴくぴくと鼻が動いており、人形ではなく生きている。
「ん……このまえ、ひろった……らび」
「名前ですか? 可愛い名前ですね。それに青毛とは珍しい」
ロゼアンナはユーリの腕の中の兎をまじまじと見つめた。
青毛はよく手入れがされてるのか、ふわふわの艶々だ。
思わず抱き締めたくなるような愛らしさがある。
「ん!……らび……かわいい」
そう言って頬擦りする姿は、本人の容姿もあいまってまるで妖精のようだ。
「……あ、……」
「おっと……触り心地、いいな」
ぴょんっと、ユーリの腕から飛び出して、ラビが飛び込んだアシュレイの腕の中。
アシュレイは抱き止めた兎を興味深げに眺めて、少し覚束ない手つきでその滑らかな青毛を撫でた。
「ん! ふわふわ、きもちい!」
ユーリはアシュレイに同意するように何度も頷いた。
「このリボン、素敵ですね……チャームは魔石ですか?」
ロゼアンナは、アシュレイの腕に抱かれているラビのリボンを指先でなぞった。
チャームが部屋の電気に反射して、キラリと光る。
「りゅーと、といっしょ……つくった!」
前にプラネタリウムの魔導具を製作して以降、たまに2人で遊ぶ時に作っていた。
ラビのリボンもその時の作品だ。
「へぇ……上手いな」
ラビの青毛より更に深い青色のベロア生地のリボンの中心には、黄緑色の魔石があしらわれていた。
「ええ、手作りには見えません。どのような魔法が込められているのでしょうか?」
「まいご、ぼうし……と、けっかい」
迷子防止と結界、それがこの黄緑色の魔石に込められた魔法だった。
どちらもラビが危険な目に合わないようにと込められた魔法だ。
「──……リュート君、リュート君、あの2人、アシュレイ様とユーリ様のカプもありだと思わない?」
こそこそと声を潜めて、腐王女が言う。
ニヤニヤした口元が非常に気持ち悪い。
「いい加減、懲りろ!」
俺は腐王女の足を思い切りつねった。
制限を腐教活動だけにしたのは失敗かもしれない。
七章を最初の予定通り行くか、新しくプロットを組み直すか迷い中……ちょっとほのぼのコメディ寄りになる予定だったんですが、嫌がる人が出そうな気もする……うーん。




