荒野の砂漠の夕焼けの決闘と酒と女と泪と男と弾丸
ギニュー。
嫌な音を立ててウエスタンドアが
オープンとクローズをした。
ウエスタンなハットを帽子した、荒野の荒くれ者達が一斉にその音の発した方を見る。
そこには、日出ずる国よりこんにちは、
伊藤一刀斎景久
(いとういっとうさいかげひさ。)
その人の姿が。
腰には人を殺害するための表道具。
刀をはいている。
そして、その
伊藤一刀斎景久
(いとういっとうさいかげひさ。)
と仲良しにおててをつないで、ウエスタンなバーに入って来たのは
柳生新左衛門宗厳(やぎゅう しんざえもん むね
よし)。
店内を、するり、と一周見渡して、
伊藤一刀斎景久は、言った↓
『こんにちは。お久しぶりです。ていうのは、俺はこの恋愛の物語の登場人物でありながら、読者様に向けて挨拶をしている。こんな事をして許されるのだろうか? 知らない。 知らないけれど、挨拶は大切なので、もう一度しときます。
こんにちは。お久しぶりです。』
店内の荒くれ者ガンマン達が、舌打ちをする。
チッ。よそ者が。
みたいな雰囲気を、できるだけ伝わるように、頑張った。それはきちんと伝わったと信じたい。
『ヨシちゃん。ここ空いてる。ここ座ろう。』
『うん。ヒサちゃん。』
『ピザ食べる?』
『私、和食がいいな。』
あれえ?
なんかしばらく見ないうちに、
伊藤一刀斎景久
(いとういっとうさいかげひさ。)
は、
柳生新左衛門宗厳(やぎゅう しんざえもん むね
よし)
を、ヨシちゃんと呼び、
柳生新左衛門宗厳(やぎゅう しんざえもん むね
よし)
は、
伊藤一刀斎景久
(いとういっとうさいかげひさ。)を、
ヒサちゃんと呼ぶ。
そっかあ。
なんか、嬉しいよ。
チッ。
舌打ちしたのは、荒くれガンマンの人達で、
それは、せっかくこの乾燥した荒野の砂漠のお酒バーなんかで、西部の気持ちを味わっていたのに、突然現れた、ラブなよそ者な2人がその湿度をあちこちにばら撒いて、西部を湿らせる。
それちょっとイラっとしちゃう。なテイストになってしまい、そこはやっぱ荒くれ者なので、
とりあえず恐喝でもしてみっかな。だって俺は荒くれ者だから。うん。そうしよう。だった。
って。ヒサちゃん、ヨシちゃんのラブシートまで歩いてって、さっそく恐喝をスタートしてみた。
『よそ者があまりこの街で、でかいツラ……』
一閃。
?
荒くれ者は死にました。
抜く手も見せなければ、納刀する手も見せない。
瞬時に、
命を断つ。
虎。
鬼。
ヒサちゃん。
ええー? これ大丈夫なの?
って、ビビるのは、斬られなかった荒くれ者の残りの1人の人で、それはもうびびった。
ヒサちゃんは、そのビビる可哀想な人に向かってクールに言う。
『俺の女に手を出すな。手を出すのなら、斬る。とか言う前に斬っちゃった。だけどもそれは、斬る事を心に準備していたから。やれやれ。そんな事よりも、今、俺は、俺の女。みたいに言った。確かにそう言った。そう言えた事が本当に嬉しくて、この場に居合わせたみんなにお酒を奢ってあげたいくらいに嬉しいのです。俺は。愛するその人の事をついに、俺の、と言えるまでに愛を積み重ねた。お祝いをしなきゃね。みんな祝ってください。やれやれ。大好きすぎる。大好きがとめどもなく溢れて来て、とめられない。ここは西部なの? いつの間に? まあ。たとえそこが何処であれ、この愛は永遠だと伝えたい。伝えたいと思っているだけでは伝わらないはずなので、伝えよう。やれやれ。今、伝えます。』
ヒサちゃんは、ヨシちゃんの目を見て言った。
『永遠。』
ヨシちゃんの頬が、ぽわん。
と赤く染まる。
『……好きだよ。ヒサちゃん。』
今度は、ヒサちゃんの頬が
ぽわんと赤く染まる。
そんな恋愛真っ最中の
ぽわん的なふたりの頬の赤いのを見ながら、
ビビる荒くれ者さんは、
『夕焼けみたい』
とつぶやいた。
それだけでは足りない気がしたので、
『西部の砂漠の荒野に沈む、
あの赤い赤い夕焼けの太陽みたいだ。』
と言った。
言ってから、帰った。




