春の木漏れ日の放課後の図書館の本棚の前で……。
サラサラと——
放課後の図書館。
カーテン揺れる。
穏やかな春の日差しが木漏れ日。してる。
『んっ。……』
本棚の高い位置にある、本に手が届かないのは
この物語の主人公、
柳生新左衛門宗厳(やぎゅう しんざえもん むねよし)。
『んっ。もう少しなんだけどなあ。』
柳生新左衛門宗厳(やぎゅう しんざえもん むねよし)。 が困ったしていると、
スッ。
と、隣から誰かの手が伸びて、
届かなかった本をスマートに取ってくれた。
『あ……』
柳生新左衛門宗厳(やぎゅう しんざえもん むねよし)。
が、そのスマートで、魚みてえな長い指の持ち主を見たのと、同時に、スマートなその人は言った。
『やれやれ。相変わらず世話が焼けるなあ。
いつまでもちびっこなんだから、読みたい本、
例えばそれは小説なのか、絵画集なのか、写真集なのか、もしかしたら古い地図かも知れない、違うかも知れない。でもそれは俺には解らないし、解らないっっていうのは、あくまで現時点で、っていう事なんだけど、いつかは……そういったものを解る、つまり、お前の事を理解している、そして、俺の事も理解してくれている。という関係性になれるのなら、いいなあ、とは今はまだ内緒なんだよな。俺的には。昨日の夜に食べた雪見だいふくが忘れられない。やれやれ。そろそろ春ですね。お前の事が好きだなんてまだ言えない俺。やれやれ。』
と、言ったのは、
伊藤一刀斎景久(いとう いっとうさい かげひさ)。
柳生新左衛門宗厳(やぎゅう しんざえもん むねよし)。のクラスメイトで、
お家が隣同士で、
幼馴染で、スタイルが良くて、パッと見は細いけれど、実は結構、筋肉があって、
何よ、小さい頃は可愛かったのに、愛嬌があったのに、いつの間にかこんなに傲岸不遜な俺様キャラになっちゃって……いつもわたしのことを世話が焼けるぜなんて、からかってくる。
こんな奴に恋なんかしちゃったら、絶対にダメだよ、全国の皆様。
……でも……トゥクン……。
この胸の……
……異常心音は……
……なに?
。




