凪音編:5話 友人とのゴールデンウィーク(後編)
「よお、凪音、恭平。」
「てめぇ、伊崎!てめぇも押しに負けて、たけえデニム買ってこいよ!」
「…?なんの話だ?」
「俺だけ買わされたみたいで嫌なんだよ!」
いや、僕もネックレス買わされたけどな。
「伊崎、とりあえず中華料理屋に入ろう。そこで話す。」
「あ、あぁ…」
中華料理屋の中に入り、注文を済ませた。
「それで、何があったんだ?」
一連の話を伊崎にした。
「なるほど。それは悲惨だな。」
「伊崎様は、あの女子たちと何を話したんだよ?」
「俺はそうだな…。特に何も。」
「はぁ?」
「いや、あの女子たちの愚痴とか聞いていた。あと話題に上がったのは俺のタイプの女子がどんな子かって話だ。」
「伊崎のタイプの女子の想像がつかないな。」
「そうか?凪音はそう思うのか?」
「ああ。」
「俺のタイプはな…メガネをかけているような、静かな子がタイプだ。」
「……好きな髪型も聞いておこうか。」
「髪型?うーん。あ、セミロング。」
「………そうか。」
「どうした?凪音?意外だったか?」
「あぁ、まあ、うん。」
驚いた。伊崎って、うるさい女子がタイプだと勝手に思っていた。え?じゃあ、さっき、なんでナンパに乗り気だったんだ?と思っていたら恭平も同じことを思ったのだろう。こんなことを伊崎に聞いていた。
「じゃあ、伊崎。何でさっきナンパされた時、断らなかった?」
「それは…そうだな。お前らの反応が気になったから?」
「意地悪いなあ、お前。」
「そうか?」
伊崎は笑いながら聞き返した。
そうこうしていたら、注文した炒飯がきた。
「まあ、今回の件は俺も悪いからな。お前らの今日の昼飯代、俺が出す。」
「よっしゃあ!伊崎様、一生ついていきます!」
恭平、ドン引きするくらい手のひらクルクルだな。
「ありがとう、伊崎。」
「いいってことよ。」
さて、昼飯も食べ終わり、僕たちは栄周辺をほっつき歩いていた。恭平が近くにあったカフェを見て言った。
「あ、ここ有名なカフェだ。ここ寄ろうぜ。」
僕たちはおしゃれなカフェに入り、店員さんに案内された席に座った。
「お前ら、何にする?」
「僕はレモネードでいいよ。」
「何だ、凪音?パンケーキとか食べないのか?」
「食べたいけど…さっきのネックレスのせいで金欠だからな。」
「そうか。伊崎は?」
「俺はこの〈季節のフルーツのパンケーキ〜はちみつを添えて〜〉にする。」
「そうか。じゃあ俺もそれにするか。」
店員さんを呼び注文を済ませた。15分くらいで全員の注文の品が来た。
伊崎はパンケーキを食べながら僕に聞いてきた。
「そういえば、お前。三森さんと最近どうなの?」
「え、どうって…うーん。あんまり話してないかな?」
「何だよ、俺がせっかく隣の席にしといてやったのに。お前、もっと三森さんのこと知りたいって思わないのか?」
「思うけど…うーん。知ってもなあ…」
「いいか、凪音。恋愛っていうのはな、お互いを知ることから始まるんだ。」
恭平が言った。
「お互いを知るか…でも、知ろうとしてもわからないっていうか…」
「それは、お前が自分を知れていないからだ。」
「自分を知れていないから?」
「お前は今、三森さんのこと、どう思っている?」
「どうって…可愛いとは思ってるけど。」
「そうじゃない。お前の三森さんに対する気持ちだ。」
「僕の三森さんに対する気持ち…」
「そこが曖昧だとお前、いつまで経っても三森さんと仲良くできないぞ。」
僕は三森さんに対して、どう思っているんだ?好きなのか? わからない。
「今すぐに気持ちを知ろうとしても難しいだろう。だからちょっとずつでいい。ちょっとずつ、三森さんと話して、自分の気持ちに耳を傾けろ。そうすれば仲良くできるさ、きっと。」
「恭平、珍しくいいこと言うな。」
伊崎が言った。
「伊達に1年半付き合ってねえよ。」
三森さんのことを知るためには、自分のことを知らなければならない…そうか…
さて、カフェを出て、また栄をほっつき歩いていたら17時になっていたので帰ることにした。
帰りの電車で恭平が僕に聞いてきた。
「そういえば、凪音って恋愛したことあるのか?」
「恋愛か…まともにしたことがないし、いい思い出ではないな。」
本当にいい思い出ではない。
「そうか。もしかして恋愛が怖いのか?」
怖い?ああ、怖いかもな。いや、こいつらには、あのことを言った方がいいか。
「なあ、恭平、伊崎。僕は昔、恋愛で失敗をしたことがある。」
「それは何だ?」
伊崎が聞いてきた。
「もう2年の付き合いだ。お前らには話しておかなちゃくな。そうだな、あれは中1の頃だった…」
僕は話すことにした。
あの忘れたくても忘れられないことを………




