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剽軽な悪魔と出会い、泉に落ちる

俺はセルリアと拳を合わせると、サタンが部屋に開けた穴から外に出る。


さてどうやって追いかけるか、どうにかして足を手に入れないといけない。


「そこの通行人」


「どうしましたか」


「君が乗っている馬を貸してくれないか、ルナリアーナ王女をあ助けなければならない」


「アルバ王子の頼みとなれば断る理由がありません、是非私の愛馬をお使い下さい」


「本当か?!」


「必ずルナリアーナ王女を連れて帰って来て下さい、約束ですよ」


「ありがとう、恩にきるよ」


俺は馬に乗って走り出す。


馬に乗ってサタンが通ったであろう痕跡を追っていると知らない母親が燃え盛る家の前で泣いているのを見つける。


「どうしたんだ」


「家の中にまだ私の赤子が居るんです、どうかお助け下さい」


「安心してくれ、必ず助ける」


俺は異能力のフレイムのおかげで火には耐性があるからな、火だるまの家に入るぐらい問題ない。


火の手がまだまわっていない2階のリビングに赤子がいるのを見つけた。泣き叫ぶ赤子を抱き外に出る。


俺は赤ちゃんを母親に手渡した。


「ありがとうございます、このご恩は忘れません」


赤子を抱く母親は赤子よりもわんわんと泣いていた。


これも全てサタンの仕業だ、悪の元凶は俺が斬る。


「ところでルナリアーナ王女を見なかったか、この辺りでサタンの痕跡が消えていて捜索困難なんだ」


「ルナリアーナ様は見ていないですけれど、おぞましい姿をした悪魔がこの森の中へ入っていくのを見ましたわ」


母親が指差す方向は闇への入り口かと思うほど暗い森だった。


「感謝する」


「気をつけて下さい、その森へ入って帰って来たものはいませんので」


入る前に脅さないでくれよ、勇気づけてくれ。


森の中へ足を踏み入れると、部外者が入ってきた事を知らせるように木々がザワザワと揺れる。


夜目が効くとはいえ流石に暗すぎる。灯りをつけよう。


手に炎を発現させて周りを照らす。


さっきの街とは別世界だな、漂う空気が重い、鬼も邪も出てきそうだ。


取り敢えず前に進んでみよう、暫く進めば森から抜けられるかもしれない。


10分程歩いたが森を抜けられる気配がないな。


「森が深すぎて、何処に行ったのか、まるでわからないな」


俺が独り言を言うと木々の影から手のひらサイズの小悪魔が顔を見せ、話しかけてきた。


「そこの坊主、嫁を探しているんだろ、嫁の居るところまで、案内してやろうか?」


「悪魔に貸す耳はない」


「そうかいそうかい、好きにするこった」



小悪魔は何故か腕を頭の後ろで組み空を飛びながら俺の後ろをついてくる。小蠅みたいにブンブンとうるさいな


 


森を進むと泉を見つけた。

「美味そうな水じゃないか、少しお邪魔して水分補給でもしようぜ、ジミマイ様は喉が渇いて仕方がない」


小悪魔がご機嫌な様子で話しかけてきた。


「飲みたきゃ飲んでこい、俺は乾きを感じていない。それに俺の跡をついてくるな」


「このジミマイ様が居なきゃ、サタンのランチメニューの一品になっちまうぞ」


悪魔と話すのは疲れる、適当に相槌でも打っておこう。


悪魔の言う事聞きたくなさすぎて、痩せ我慢をしてしまった。本当は喉がカラカラだ。唇にヒビが入り出血している。


泉の様子を確認しよう。


ここからじゃ遠くてよく見えないが泉の周りに小さな生物飛び回っているのが見えるな。本当に飲める水なのか?


泉に近づいてみよう。


俺が泉に興味を持ち近づいていく様子を見ていたジミマイが口元に手を当ててほくそ笑んでいる。


手のひらサイズの妖精が水の掛け合いっこをしている。よく見ると妖精が掛け合いっこしている水は黄金だった。


黄金の水を美味しそうだと思うジミマイの感性は、人間とは少しズレているようだ。


透明な緑色の羽が綺麗だな、俺が小さな妖精に見惚れていると女の妖精が俺が泉を眺めている事に気がつき近寄ってきた。


妖精は俺の顔を見てウィンクしてくる。




この妖精はジミマイとは違い、羽の音も静かだ。人懐っこいみたいだし手を伸ばしたら、止まってくれたりするのかな。


手を伸ばすと妖精が腕に止まる。妖精は腕に止まるすぐに噛んできた。

噛まれたけど別に痛くないな。妖精なりの愛情表現か?


「あ、言い忘れてた!その妖精、毒持ってるからよ、ぜっったいに噛まれちゃいけないからな。噛まれたら幻覚・幻聴吐き気が襲ってくるぜ」


は?


なんでコイツは噛まれてから言うんだ。


振り返るとジミマイは嬉しそうに顔を歪ませている。


方向感覚がおかしくなってる。木々からゴブリンが狩りの時間がやってきたと言いたげに、続々と森から出てきた。


ジミマイの笑い声が脳に響く。


俺は頭を抱えてよろめきながら足を滑らせて、泉に落ちてしまった。水しぶきが高く上がり、冷たい水が俺の体に浸み込んだ。泉の中は青く光っている。泉の底に体をぶつける。


静かだ、さっきまでめまいがあったとは思えない程、冷静で心が落ち着いている。


まるでベッドで寝ているかのように心地が良い。まぶたが重い意識が遠くなる。


ジミマイは泉に沈むアルバを見る。


「泉に落ちたのは結果オーライかもなー」


「黄金の泉は落ちた人に試練を与える。試練を乗り越えたものは報酬として、欲しいものを一つ手に入れることができるぜ」


「何を願うことやら。楽しみに待っておきますか」


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