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          1 王子

 王子は婚約者の公爵令嬢に見向きもせず、マリエールとばかり談笑している。マリエールは王子に婚約者と談笑しないのかと苦言を呈した。

            1  王子


 転生というのはもっと劇的な物だと思っていた。女子大生が交通事故で死亡するのはある意味劇的かも知れないけど本人してみれば一瞬の出来事だ。転生先も穏やかな家庭だ。何の問題もない。あるとすれば今こうして将来王位を継ぐだろう王子と談笑している事かも知れない。別に深い意味があるわけがあるのではない。貴族院の授業と授業の間の短時間談笑して授業も隣の席に座る。王子の婚約者は斜め後に座る。3人は幼馴染だ。王子と公爵令嬢と伯爵令嬢、国王は王子の婚約者を公爵令嬢に決めた。引っ込み思案の公爵令嬢よりも私の方が話し易いのだろう。私は思いきって王子に告げた。

「王子様、私ばかり相手にせず、婚約者の相手をして下さい。私も婚約者のみえる王子様と相手するのは気が引けます。」

王子に向かって、公爵令嬢の前でそう言った。すると公爵令嬢が、

「マリエール、御免なさい。私が不甲斐ないばかりに。でも昔からこうゆう関係でしょう。今更関係を変えるのは難しいわ。」

王子も、

「私も、婚約者の事は重んじている。次期王妃だ。マリエールと一緒の時はどうしても昔からの癖でマリエールとばかり話してしまう。マリエールのいない時はちゃんと婚約者と話しているよ。」

その時は2人の話しを聞いてそう言ったものかと思ってそれまでにした。

 数日後父親の伯爵から、

「王子と公爵令嬢の関係が上手くいってないらしい。学院で気付いた事はないか。」

と言われたので先日の話しをした。

「公爵も王子はお前の方が好きなんだろうと言ってみえた。婚約解消して王子とお前が婚約しても構いまないそうだ。」

マリエールは構うし幼馴染みの婚約者を奪うなどしたくない。真っ平ごめんだわ。

 翌日、2人の前で、

「父から聞きました。お2人の関係が上手くいってないそうですね。私には関係ない事です。お2人が婚約解消しても私が王子と婚約する事はありません。」

と言ってのけた。

 しばらくして王子と公爵令嬢と仲間内のお食事会が開催された。王子は、

「私と公爵令嬢の仲が良くないと言う噂があったと聞く。私に至らぬところがあった故だと思う。これからは、2人で婚約者として相応しい態度で行動していくと誓う。」

マリエールは拍手した。拍手は広がった。2人は幸せそうだった。これが正しい姿だとマリエ―ルは思った。

 学院の生活は少し変わった。王子の横には公爵令嬢がいる。マリエールは他の学生といる。喧嘩したわけではない。これが婚約者としての正しい姿だ。今迄が変だった。今迄がそうだったにせよ婚約者には婚約者としてのあり方がある。女子の体育の時間公爵令嬢はマリエールのところに来て、

「ありがとう。」

と呟いた。

「どういたしまして。」

と呟き返す。公爵令嬢は幸せそうだ。公爵令嬢は、

「今度はあなたの番ね。」

マリエールは戸惑った。

「えぇ、どうゆうこと。」

公爵令嬢は、マリエールの肩を叩いて、

「あなたが幸せにならなかったら、私は許さないからね。」

珍しく公爵令嬢は息巻いた。

 伯爵から王子と公爵令嬢の仲が上手くいっていないようだと聞いた。マリエールは2人が婚約解消しても私は王子とは婚約しないと言った。

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