チョコの妖精とオレンジ姫
クルースの方を見ると、レモンはじっとクルースを見ました。そしてクルースの顔を見て驚きの表情をしました。そう、クルースは隣の国のお姫様ではありませんか。こんな奇跡があるでしょうか?レモンは咄嗟に頭を床に下げました。
「クルース様!こんなにお綺麗だなんて、うわぁぁ、こんな生で見れてしかも御伽の国で会えるなんて、私は幸せです。
ミミィちゃん、ミニィちゃん、こんなお姫様と知り合いだったの?」
「うん、でも、クルースさんは、そんなに敬語なんか使わなくたっていいよって言ってくれたの。だから偉い人だけど、ねえ、クルースさん?」
ミミィがクルースに聞くと、クルースはニコリと笑います。
するとミニィはコソコソとミミィに言います。どうやら2人のムードを壊してはいけないと思ったのでしょうか。
「ねえねえ、ルドルフ王子とクルース王女、2人だけでデートするから、私達は別行動にしようよ。レモンちゃんと3人で色々と遊ぼう。」
「そうだね。せっかくのデートを邪魔しちゃ悪いしさ。」
「ねえ、クルースさん、私達は別に遊んで来るから、ルドルフ王子と楽しんでね。ファイト!」
そう言うとミミィとミニィ、レモンの3人はクルースとルドルフに手を振りました。
「ミミィちゃん!ありがとう。ねえ、ルドルフ、ケーキフォレストに連れて行ってくれるかしら。私ね、以前聞いた事があったの。ケーキフォレストに行けば結ばれる運命が強まるって。ケーキフォレストには色々な不思議な生き物がいるんだって。例えばストロベリーの姿をした鳥とか。動くティーカップとか。」
「動くティーカップか、流石は絵本の世界だよ。不思議な生き物がいっぱいだ。なあクルース、グルータウンは氷のように冷たいけどこの世界は、お菓子の国だからとても暖かい空気が流れているね。」
「ねえ、だからルドルフも魔法の力を使っちゃ駄目よ。氷の魔法は周りの温度を寒くさせちゃうんだから。貴方の魔法は魅力的で私は好きなんだけどね。」
ルドルフの手を取るとクルースはルドルフの横に身体を寄せます。クルースはロマンチックな雰囲気になっていました。クルースはゆっくりとルドルフへと顔を近づけます。ルドルフもキスをしようとしたその時です。ルドルフの目の前にいちごの頭をした鳥が飛んできたのです。クワァぁと鳴くと口からストロベリージュースを吐いたのです。ストロベリージュースはルドルフにかかりました。
「なんて事だ。僕の洋服にイチゴジュースをかけるなんて、失礼ないちご鳥だな。」
「まあ、ルドルフ、大丈夫?失礼な鳥だこと。誰かこの国の者を呼んで、新しい洋服を用意しなければなりません。」
「待ちたまえ。クルース、僕に任せるんだ。僕の魔法の力でこの汚れを直してみせるよ。見てくれよ!」
すると不思議な事が起こりました。ルドルフが冷気を発生させるといちごジュースのシミが、洋服から剥がれていくではありませんか。クルースは拍手をします。そして動くティーカップが現れたのです。ティーカップはルドルフとクルースの前に現れるとこう言いました。
「ルドルフ様、クルース様、オレンジ姫様のお城までご案内致します。我が世界のジュース鳥が、ルドルフ様のお洋服を汚してしまうというとんだ失礼を致しました。私の中にお乗りください。」
ティーカップの壁が開くと、その壁の中にはなんと座席があるではありませんか。その座席の中に招待されるとルドルフとクルースは、その座席へゆっくりと腰をかけました。ドアが閉まるとティーカップはオレンジ姫がいると言うお城まで移動し始めました。
「まあティーカップの妖精さんなのね。オレンジ姫ってこの国のお姫様かしら。」
「聞いた事がある。この絵本の世界に住む、お菓子の国の王女様だよ。」
ミミィとミニィは、レモンに聞きました。
「ここを最初に紹介してくれたのもレモンちゃんだよね。」
「うーん、私ね、不思議な森に入ってしまったんだ。そこから急にワープしちゃって気がついたらここにいたって感じ。
でも何度かここに来ているうちにいつのまにか馴染んじゃって、暇があれば絵本の世界に遊びに来ているんだー。ミミィちゃん達は最初は迷い込んじゃったんだよね。でもね、不思議だよね。夜7時までに絵本の世界から出ないと、大変な事になっちゃうんだもん。」
「大変な事って?」
「オレンジの姫に捕まってめちゃくちゃイタズラされちゃうんだよ。」
「えー、嫌だぁ。そんなイタズラされちゃうのー。もしかして私達もお菓子にされちゃうのかなあ。今の時間は、12時だよね。だったら、後5時間は遊べちゃうぞー。」
3人はチョコレートライドへと向かって行きました。チョコレートライドは、チョコレートの妖精が管理をしている乗り物でチョコレートの川の上をクッキー生地の船が動いています。3人が走っていくとチョコレートの妖精が出迎えてくれました。白色をしたホワイトチョコの妖精です。
「ようこそ、チョコレートライドへ!チョコレートの川を下っていきオレンジの姫が楽しむティーパーティーへご案内致します!私は魔法が使えますので願い事を言ってください。」
ホワイトチョコの妖精を見るとミミィとミニィは目を輝かせました。
「「うわぁぁ!可愛い!ねえねえ、妖精さん、魔法の力でホワイトチョコの川に出来ないかなあ。無理なお願いを聞いてもらって良い?」」
ミミィとミニィがお願いをするとホワイトチョコの妖精は真っ直ぐに頷くと魔法の杖を振りました。するとチョコレートの川の色がみるみる変わっていくではありませんか。チョコレートの川はホワイトチョコの色になっていきます。ホワイトチョコの川にケーキの形をした船がやってきます。ケーキの船にミミィとミニィ、レモンの3人が乗ると遥か向こうにホワイトチョコの噴水が上がります。そして、陽気な音楽が流れ始めると妖精達が音楽を奏でます。すると虹がかかります。
「ねえねえ、何が始まるのかな?あれもしかしてお城だよね?オレンジ姫のお城じゃない?ミミィ、ミニィ!」
レモンが言います。ミミィとミニィが言われた方を見ると川の向こうのお城から頭がオレンジをした女性が現れたのです。オレンジ姫です。しかしオレンジ姫はお姫様に相応しいような性格が良い姫ではなかったのです。オレンジ姫はセンスで顔を隠していましたが、センスを取り下をじっと見つめるとミミィ、ミニィ、レモンが乗っているケーキの船が目につきました。
「何だい、あの招かれざる下僕達は、私の神聖なるカカオ川を汚すなんて捕まえてまいれ!」
すると、オレンジ姫の命令を聞いた音楽をかけていた妖精達が一斉に動き始めました。そして、どんどんと不機嫌になっていくではありませんか。そして不協和音のような不快で大きな音を立てるとホワイトチョコの川がうねり始めました。そしてホワイトチョコが渦になっていき船を襲います。船の中に渦が入り込んでいくとミミィ、ミニィ、レモンは渦に巻き込まれてしまいました。
「ちょっと何なのよ、これ?あのオレンジ姫、今度は一体何を?いやぁぁ!!!!」
「レモンちゃん、ミニィ、私に捕まって!大丈夫、こんなイタズラに負けるもんか!」
ミミィが叫ぶとホワイトチョコの渦に巻き込まれていくと、チョコレートの妖精達は渦の周辺に集まっていきます。そして輪になって踊ると「オレンジ姫を怒らせた。」「オレンジ姫を怒らせた」と何度も何度も歌い尽くすのです。ミミィ、ミニィ、レモンはホワイトチョコの渦に巻き込まれて今にも溺れそうになります。そしてそのままホワイトチョコの渦はオレンジ姫のいるお城までミミィ、ミニィ、レモンを攫っていきました。そしてオレンジ姫のいる牢屋に閉じ込められてしまいました。その頃、ルドルフとクルースはオレンジ姫のティーパーティーに参加していましたが、どうやら異変に気が付いたようです。
「クルース、何か起きたのかい?」
「わからないけど、ねえ、オレンジ姫?あなた一体何をしたの?ねえ、答えなさいよ!」
「あのうさぎ共は、妾のカカオ川を汚した。あのカカオ川を穢したものは死罪だ。」
(助けて、助けて)
その時ルドルフの心の中に声が響きました。それは、ミミィの声でした。ルドルフは、席を立ち上がりました。そして剣を出すとオレンジ姫に襲いかかります。剣から氷を出すと、オレンジ姫の首元に剣を突き立てました。
「貴様、ミミィ達に何をした?死罪だと。もしそんな事をするならば貴様の命もタダでは行かないぞ。」




