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ドラゴンと少女とさくら②

現在、文体的におかしいなと思う所を最初から調整したりしています。

文章を書くのは苦手ですが、少しでも良い物を見てもらいたいのでがんばります!

「ええと、だからそこの魔物……が怒っていたみたいなので」

「あぁ、ごめんねうるさかったよね」

『すまん』

「ひっ!?」


 龍也が頭を下げると少女は驚いて身を強張らせる。そりゃそうか、ここまで大きな魔物なんてダンジョンの中でもトロルくらいだし、ましてこの年齢じゃダンジョンなんて入ったこともないよね。


「まぁそんなに怖がらないであげてよ。ああやって謝ってくれてるわけだし」

「あや、まる?」

『……なぁ、もしかして俺の声ってさくらにしか聞こえてないんじゃない?』

「マジで?」


 そういえばさっきこの少女は「唸り声」で目を覚ましたんだっけ。私にはその唸り声っていうのが聞こえない。つまりは少女には龍也の声がずっとドラゴンの鳴き声に聞こえているかもしれないって事かな?


「もしかして、この魔物――ドラゴンの言葉わからない?」

「言葉を、喋っているんですか?」

『やっぱりか』


 どうやら私には日本語に聞こえるこの声が彼女には唸り声に聞こえているらしい。その理由はわからないけれど、やっぱり存在しないはずのドラゴンだからなんだろうか。

 私は人間としてここに来たから普通に言葉が通じていて、そんな事に違和感を覚えたことはなかったんだ。でも前にダンジョンで喋るトカゲを見たような……。


「取りあえず自己紹介しましょう? 私はさくら、こっちは龍也。えっと、貴女は?」


 少女は私と龍也を交互に見ると少し困った様に口を開く。


「わ、私はダリアといいます」

「ダリアね。ええと、その頭の角は種族的なものなの?」


 ダリアは驚いたように頭を触るとそこにあったはずの頭巾がなくなっていることに気付く。


「私この世界に詳しくないからよく分からないんだけど、角がある事は珍しい事なの? 何度か獣人のお客さんとも会ったしドワフやエルフのお客さんも居るけど角がある人には会った事がなくてね。こっちの大陸特有だったりするの?」


 私の矢継ぎ早な質問に彼女はどう答えたものかと迷っているような表情を見せる。その表情だけ見ればなんとなく触れられたくない事なんだろうなぁとは思うんだけど、私としてもダンジョンの中でドラゴンと追われる少女に出会うなんてイレギュラーには驚いているし、仮に助けるにしても気になる事は聞いておきたい……というかもし人間と敵対しているような種族なら連れて帰って私達が狙われることになるのは避けたい、というのが本音。


「わ、わかりません」

「わからない?」


 ダリアは不安そうに頷く。その顔は本当にわからないといった顔だ。

 そう、彼女の頭からは2本の角が生えている。丁度耳の上あたりだろうか、短い角が後ろへ向かって。お店をやっていると色んな人に会うけれど角の生えた人は見たことがない。私もこの世界を全て知っている訳じゃないし、獣人族のように最近になって交流が復活した種族もいるから知らない種族が居てもおかしくはないんだけど。


「母からは、この世界では見たことのない種族だと……。村では呪い子だといわれていたので……」

「なるほど」

「両親は人間でしたし、村も普通の人が暮らす村でした」

「両親ともに人間かぁ。突然変異、って言い方はあれだけど魔族とかこの世界にもいるのかなぁ」

『なんかアレだな、魔族ってより竜人って感じじゃないか? ほら俺にも小さいけど似たような角があるし』

「あ、本当だ。っていうかよく気が付いたねそんな小さな角」

『あぁ、さっき頭掻いた時に。まぁそんな事は良いとして、ここってどんな世界なんだ? っていうかさくらはどんな職業なんだ?』


 それからは私が龍也の話を翻訳しながらダリアとも状況の確認を行っていく。龍也は見たまま、何故かドラゴンの姿でこの世界に来てしまったという事しかわからなかった。ダリアにしてもさっき聞いた話以上の情報はなく、どちらかと言うと私がふたりに自分のやってきた事なんかを説明する形になってしまった。

 話を聞いていた龍也は頭を抱え、ダリアは食べ終わったお弁当の箱を持って座っている。龍也はともかくとしてダリアも村以外の事は知らなかったらしく興味深そうに話を聞いている。


『お前なぁ……人にチートが云々言っておきながら、どっちかと言うとお前の方がしっかり活用してるじゃん』

「てへ」

『にしても、この世界にはドラゴンが居ないってのは驚きだなぁ。異世界と言えばドラゴンみたいな風潮というか、そんな作品ばっかり見てきたからかな。なんて言うか違和感があるよ』

「私もだよ。想像してた異世界よりもなんて言うかリアルなんだよね。勿論驚く事も多いよ? 魔法にテレパシー、絶対切断とか壊れない武器や防具、ダンジョンから出るレアアイテムも多様だしね。でもステータスなんて唱えても出てこないし技能も詳しくはわからない。ギルドカードなんて万能なものがあるのに授かるスキルは選べないし」

『選べねぇの?』

「固有のスキルは勝手に与えられるみたいだよ。戦士だけど僧侶のスキルもってる人とかいたし。ただそれよりもダンジョンから出る武器や防具にずっと依存している気がする。スキルはその補助でしかないようなんだよね」

『定番の鑑定は?』

「あるよ。知り合いに結構高レベルの鑑定持ちの子がいるけど、それも使えば使う程レベルが上がるって訳じゃないみたい。最初に授かったレベルはあんまり上がったりしないんだって」

『それは……頑張り甲斐がないよな。俺たち自身のレベルは?』

「私はずっとレベル1のままだよ。もしかしたら異世界人はレベルが上がらないのかも」

『えー……なんだよそりゃ。なんていうか色々と中途半端な世界だな』

「あ、でも私のスキルレベルが上がってたなぁ」


 そんな話をしていると龍也がふいに視線を空洞の入り口に向ける。まるで何かを睨みつけるように黄金色の眼はじっと通路の奥を見ている。

 

『しまったな、ちょっと長居しすぎたかな』

「誰か来た?」

『あぁ。よく考えたら俺の噂がさくらのいる大陸にまで流れてたんなら、俺を探している奴は沢山いるんだろうし……それにさっきの奴らが珍しい魔物を見たとかで援軍位は連れてくるだろ。くっそー簡単な話じゃないか。異世界物の話は幾らでも読んでたはずなのにいざ自分の身に降りかかるとその知識も生かせないな』


 私は急いでダリアを抱きかかえるとスキルを使って扉を作ろうとする。その様子を見て龍也が制止する。


『悪いけどちょっと待ってくれるか? できればもう少し情報が欲しい。場所を変えるから良かったらついてきてくれよ』


 そういうと背を低くして背中に載れと合図してくる。


「それはいいんだけど、でもどうやって? その巨体じゃ通路は――」

『噂はどうして流れたと思う?』


 私は蔦で編んだロープを取り出しながら首を振った。そういえばこのダンジョンに誰も来てないのに誰がドラゴンの噂を流したのだろう、とはずっと不思議に思っていた。捜索が始まったのも数日の話じゃないしはずだし。

 私が考え込んでいると龍也は器用にロープに首を通し自信満々に天井を指さす。


『答えは、あれだ!』


 そこには空が見える穴の開いた天井があった。

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