第21話 信用
「この部屋汚くないですか?」
「……」
「ベッドは1つですし……」
「……」
「食堂もなかったですよね……」
「……」
「これで金貨3枚は高くないですか?」
ブチッ!
次の瞬間私は固め技を決められた。
「だったら野宿するの⁉︎この暗い町の片隅で犯罪に怯えながら寝られるの?ええ?」
「ギブギブ!ごめんなさーい!」
シルビアの腕をタップしてギブを伝えたが怒りが治らず私は気絶したのだった。
「とにかく、今日はここで寝るわよ。夜は何も食べず早めに寝る。明日はこの宿より良い宿を探す!良いわね!」
「……」
私は返事はしない……いや出来ない……なぜなら気絶してるのだから。それに気がついたシルビアは私を往復ビンタで叩き起こされた。
「返事は?」
「は、はい!」
返事をしないとまたビンタされる……私は首を縦に振って返事をすることしか出来なかった。
「体洗いたかったなー……」
「あぁん?」
「ひぃ!」
「ほら、タオルはあるから水で濡らして拭きなさい。私も使うからあんまり汚さないでよね。」
「はい。」
またビンタされると思ったけどそんなことはなくタオルを渡してきた。今のは許されたのか?やっぱり優しいのかもしれない。
「引っ叩かれないと動かないのかしら?」
「行ってきます!」
(前言撤回……やっぱり鬼だ!)
私はタオルを洗ってとりあえず髪を拭いていく。少し長くなったけど切ろうとは思わなかった。そして再びタオルを洗っては体を拭くのだった。
「シルビア様ー、返します……」
私が部屋に戻るとシルビアは眠っていた。それに私は違和感を覚える。いつもは私が寝るまで起きているのに寝ているシルビアに。まさかと思いおでこに手をあてた。
「やっぱり熱がある……」
私は走って部屋を出てお医者さんを探した。しかしもう夜だ。ほとんどのお店もしまっていて、それは病院も同じだった。
「嘘でしょ……」
目の前の現実は変わらない。私は宿に戻ってシルビアの看病をする事にした。
「なんで……何も言ってくれないの……」
私はシルビアのおでこに濡らしたタオルを置いて眠っているシルビアに問いかけた。答えが返ってくる事はないのに……
「私は……そんなに……頼りないですか?」
悔しくて……情け無くて……でも……仕方ない……私が頼りないからだ。本当は一緒にいるべきではない……けど……
「でも、あの日の恩を返さないと……」
私は看病してもらった。3日も寝込んでもそれをずっと見守ってくれてたんだ。
(私だけ逃げるわけにはいけないんだ!)
私は眠たい目を擦って起きて看病するのでした。
クレアが熱にうなされてたあの日……
「私のせいだ……」
「アンタのせいじゃないわ。」
私は泣いていた。クレアの異変に気が付かなかった自分を責めていた。それを聞いていた先生が否定した。
「でも……もっと早くに気がついていたら……」
「人の身体は分からないわよ。私たち医者だって病気を見落とす事もあるんだから。」
「……私、やっぱり信用されてないのかな?」
「ふーん……なんでそう思うの?」
「私たちはつい先日から一緒に旅を始めた……だからまだ信用していないのかも……」
「他にもあるんじゃない?」
「……」
「黙秘は時に肯定と捉えられるわよ。」
「……そうね。でも、言えない。これは秘密なので。」
私はクレアを夜通し看病した。しかしこの時はまさか3日も寝込むなんて思わなかった。
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