二十六話 旅立ちと買い出し
朝、小鳥の囀りとともに目覚めるエリック。だがその平穏は長くは続かない——リサの攻撃で一瞬にしてノックアウト。
朝食のハムエッグサンドで満たされ、買い出しも無事終了。街の人々の温かい視線を背に、エリックは仲間たちと小さく拳を合わせる。
「“いってきます”——生きて帰る、ただそれだけの約束。」
こうして、今日も三人と一本の剣の旅が始まる
——翌日
エリックは小鳥の囀りでゆっくりと目を覚ました。
「なんて素晴らしい朝だ。」
朝には強い。
エリックはすんなりと起き上がり、顔を洗う。
——パシャパシャ
そのまま下へ降り、ケトルに水を入れる。
(魔法じゃ温かみがないからね。)
湯気を待つ間に、宿屋の食堂に置かれていたインスタントコーヒーをカップへ入れた。
魔法の時代になっても、この味は変わらない。
「早いなエリック殿。」
背中を伸ばしながら、ルンタが階段を降りてくる。
「戦争の時、いつ襲われるかわかんなかったからさ。いつでも起きられるよう訓練されたんだ。」
「きつそうだな。」
『そんなのごーもんだろ!』
昨日仲間になったクサナギが、鞘からぴょこんと顔を出す。
ルンタは無言で押し込んだ。
『っで? 姐さんは?』
鞘の中からくぐもった声が響く。
「まだ寝てるのか? ……よし。」
エリックはどこからか水風船を取り出す。
(人生二度目の寝起きドッキリ。どんな反応するかな?)
口元が自然と緩む。
——パシャ
次の瞬間。
「っ!? な、何これ!?」
リサがベッドから跳ね起きた。
頭から水を被り、状況が理解できないまま固まる。
だが数秒遅れて寒さが襲った。
「寒い寒い寒い! 死ぬ!!」
慌てて日向へ避難する姿が、あまりにも必死だった。
エリックは肩を震わせる。
「っ、はは……反応おもしろすぎだろ……!」
リサは無言で拳を握った。
そして——振り抜く。
次の瞬間。
エリックの体がくの字に折れた。
「——ぁ゛」
声にならない。
ハイオークに肩を撃ち抜かれた時より痛い。
……たぶん人生で一番。
エリックはその場に崩れ落ち、低いうめき声を漏らした。
完全に沈黙したエリックを、リサは引きずって食堂へ放り投げる。
そのまま満足そうな顔で風呂へ向かった。
『大丈夫そう?』
「大丈夫……に見えるか……?」
——ドサ
手を投げ出したまま、しばらく動けない。
「ふんふん〜♪」
上機嫌な悪魔が風呂から戻ってくる。
「あれ? 何蹲ってるの? 早く朝ごはんにしよっ♪」
「あんたは悪魔か……。」
ようやく立ち上がったエリックは、痛みに顔を歪めながら席についた。
「今日は拙者特製、ハムエッグサンドだ。」
ルンタの作ったサンドイッチは、妙に優しい味がした。
騒がしい朝だったはずなのに、
一口食べるたび、不思議と落ち着いていく。
——これ本当に侍が作ったのかよ。
エリックは別の意味で感心した。
朝食を終えた三人は、分担して買い出しへ向かう。
ルンタは食料品と調理器具。
エリックと監視用のリサは、寝袋や防寒具、薬などを担当する。
「無駄遣いは禁止です。」
リサが釘を刺す。
「ゔっ。」
エリックは露骨に目を逸らした。
「そ、その前にギルドで換金しよう……。」
「そうね。」
すると突然、リサがエリックの手を握る。
「これで手は封じました。」
悪戯っぽく笑った。
「おい……急にやるとびっくりするだろ……。」
エリックは視線を逸らす。
「たまにはいいでしょ〜♪」
さらに距離を詰めてくるリサに、街の視線が集まる。
子供連れの母親が微笑み、
道行く商人が目を細めた。
まるで街そのものが、
二人を静かに応援しているようだった。
買い出しを終えたルンタと合流し、三人は街の出口へ向かう。
『なんで普通すぎる買い出しなんだよ!』
「逆にそれ以外の買い出しってなんだよ。」
クサナギが騒ぎ、
ルンタは流れるような動作で鞘に戻した。
「……出発する前にさ。」
エリックがふと立ち止まる。
「“いってきます”の意味って知ってる?」
「なんだろう?」
リサが首を傾げた。
「“生きて帰ってきます”だろ、エリック殿。」
ルンタは当然のように答える。
「正解。」
エリックは少し笑った。
「だから僕たちも、次この街に帰ってこよう。誰一人欠けずに。」
『当たり前だろ!』
朝日を背に、三人は街を後にした。
「第二章の開幕これでいいの?」
「リサ、あれは痛かった。」
「でも拙者が思うには、急に甘い展開が入ってきた気がする。」
「作者の嗜好がほぼ入ってる感じだな。」
「前も言った気がするけど、どこに向かってるの?」
「知らね。」
「作者が言ったらおしまいだろ。」
「と言うことで次回」
「「「聖剣の里とクサナギの過去」」」
『俺っちの過去はだいぶ壮大だぜ☆』
(意外とガチです。)
ここまで読んでくれてありがとう!この話が面白いと思ったら下の☆☆☆☆☆を★★★★★にしてくれると喜びで発狂します(笑)




