黄
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全く、世界は平和だな。そう思いながら鈴木哲也は嘲う。戦争や殺人、火事という物がなくなって早や200年。ニュースで取り上げられる事件の類はこういった自然災害しかなくなってしまった。そのため自然災害が起きると、祭りかと思うほど野次馬たちが集まる。
その時、教師が素行の悪い生徒を注意するかのように無線がなる。
「こちら上空班。目的地まであと約1時間です。作業に支障が出るものがないか再確認をお願いします。どうぞ」
「こちら管理班。了解。作業に支障が出るものがないか再確認します。どうぞ」
「こちら管理班。警備班は野次馬を後退させてください。」
辺りは木々が生い茂る森だ、鳥が居てもおかしくない。むしろ必ずいると考えた方がいいだろう。
「こちら地上班。保守班は野生動物を退けるために空砲を発砲してください。」
「これから回収作業を開始するにあたって、作業の障害となる野生動物たちを退けるために空砲を発砲します。大きな音ですのでご注意ください。」
鈴木哲也
「あ、この畜生。」
一匹の猿がポケットに入れていた手袋を奪っていった。
ヘリが来た。さっさとつなげてしまい、撤収するとしよう。
しまった、手袋。まぁいいか薄いけど予備を使うか。どうせすぐ終わる作業だ。
そう思いつつ岩に手を触れる。するとどうだろう。野次馬たちが居た辺りが白く光ったかと思うと、そこに辺りの山とは明らかに違う岩山がそびえたっていた。驚きあたりを確認する。さっきまで周りにいた作業員たちまでもが消えていた。いやいや、そんなわけないと思い、目をこすりもう一度野次馬たちが居た方を見てみる。なにも変わらない。鈴木哲也は味わったことのない感情が湧いた。後ろを見ると、1羽の鳥が飛んで―いや、空を飛ぶ人型の物が見て取れた。人型がこっちを見ている。目があったと思った次の瞬間、人型が何か投げてきた。条件反射的に顔を両手で覆う。変な声も出していただろう。声に気づいた同僚が心配をして声をかけて来た。いつの間にか地面に倒れていた。
「如何した変な声を出して。血がでているじゃないか。どこでやった。まさかこの岩じゃないだろうな。大事なサンプルだぞ。なにかあったら連帯責任なんだからな。それをリーダが起こしちゃぁ、問題だぞ。」
「ああ大丈夫だ。倒れた時にその辺の自然の岩で切ったんだろう。」
辺りは元の森り変わっていた。
疲れているのだろうかと目をこする。今日は早く帰って寝よう。




