第30話 最後の選択
スコアは2-2、会場全体が異様な緊張感に包まれていた、あと一本で優勝という状況から二本連続で奪われた神谷、対するエリックはアーサルへの変更から流れを完全に引き寄せていた、観客席もコメント欄もこのままエリックが押し切るのではないかという空気になり始めている。
「フルセット!!」
相馬優斗が叫ぶ。
「REVOLT MAJOR 2026最後の試合です!!」
コメント欄。
『頼む神谷』
『ここで決まる』
『どっちが勝つんだ』
『緊張する』
神谷は画面を見つめる。
REX。
ここまで戦い続けた相棒。
だが頭の中には別の考えがあった。
アーサル相手に二試合。
何もできなかった。
触れない。
近付けない。
読み合いにすら持ち込めない。
このまま続ければ同じ結果になる。
神谷は静かにキャラクターセレクトへ戻った。
その瞬間。
会場がどよめく。
「おおおおおっ!?」
相馬が立ち上がる。
「神谷選手もキャラ変更だぁぁぁ!!」
コメント欄。
『マジか』
『来た』
『神谷も変えるの!?』
『何出すんだ』
大原が静かに説明する。
「前の試合に敗北したので神谷選手にも変更権があります。」
会場中の視線がモニターへ集まる。
カーソルが動く。
そして。
止まる。
《Kai》
その瞬間だった。
会場が爆発する。
「うおおおおおおおおおおおおお!!」
相馬が絶叫する。
「Kaiだぁぁぁぁぁぁぁ!!」
コメント欄。
『来たあああああ』
『神谷のKai!!』
『マジかよ』
『切り札だ』
『鳥肌立った』
今大会。
神谷はずっとRexで戦ってきた。
だが最後の最後。
本当に追い詰められたこの場面で。
もう一人の相棒を呼び出した。
神谷は静かにレバーへ手を置く。
表情は変わらない。
だが迷いは消えていた。
向かい側のエリックも僅かに画面を見る。
初めて見る選択。
初めて見るカード。
会場の熱気は最高潮へ達する。
コメント欄。
『神谷信じるぞ』
『主人公だろこれ』
『最後にKaiは熱すぎる』
『勝てぇぇぇぇ』
画面中央に表示される。
KAI
VS
ARTHAL
REVOLT MAJOR 2026。
優勝を決める最後の試合。
神谷蓮は最後の切り札を手に、運命の舞台へ踏み出した。




