第21話 決勝進出者インタビュー②
「さあ!」
星乃ルナが笑顔でカメラへ向かう。
「続いてはもう一人の決勝進出者です!」
コメント欄が一気に加速した。
『来た』
『LETHAL』
『主人公』
『正体判明する?』
『楽しみ』
画面が切り替わる。
そこに座っていたのは黒髪の少年だった。
派手さはない。
どこにでもいそうな高校生。
だが、その目だけは違った。
静かで落ち着いている。
常に何かを観察しているような鋭さがあった。
制服ではなく私服。
年齢も若く見える。
コメント欄がざわつく。
『若くね?』
『え?』
『高校生?』
『マジ?』
ルナも少し驚いたように笑う。
「それでは改めまして、決勝進出おめでとうございます!」
「ありがとうございます」
神谷蓮――
プレイヤーネームLETHALは落ち着いた声で答えた。
コメント欄が流れる。
『声若いな』
『想像と違う』
『もっと年上かと思った』
ルナはまず視聴者が気になっていることから聞く。
「まず簡単に自己紹介をお願いしてもいいですか?」
「神谷蓮です」
「高校二年生です」
その瞬間。
コメント欄が爆発した。
『高校生!?』
『マジかよ』
『若っ』
『嘘だろ』
『化け物じゃん』
ルナも思わず笑う。
「やっぱり高校生だったんだ!」
「はい」
「ちなみに普段は配信とかされてるんですか?」
「してないです」
「プロチーム所属とかは?」
「ありません」
コメント欄がさらに盛り上がる。
『所属なし!?』
『野良最強かよ』
『意味分からん』
『本当に一般人なのか』
ルナも興味津々だった。
「大会経験は?」
「ほとんどありません」
『え???』
『待て待て待て』
『何言ってるんだ』
『決勝進出者だぞ』
ルナが思わず苦笑する。
「なんだか情報が出るほど謎が増えてる気がするんだけど!」
コメント欄も同意する。
『分かる』
『経歴バグってる』
『意味不明』
ルナは話を本題へ戻した。
「それでは準決勝について聞かせてください」
画面には白石凛との試合映像が流れる。
「白石選手との対戦はいかがでしたか?」
蓮は少し考えて答えた。
「強かったです」
短い言葉。
だが本心だった。
「対応力が高くて、試合中もどんどん修正してきました」
「こちらも考え続けないといけなかったので大変でした」
鬼塚が頷く。
「非常にLETHAL選手らしい評価ですね」
黒田も笑う。
「褒め方がプレイヤー目線だ」
コメント欄も流れる。
『分かる』
『お互い化け物だった』
『準決勝最高だった』
ルナが次の質問へ進む。
「そして決勝です!」
コメント欄が再び加速した。
『来た』
『桐生について』
『本題』
画面には桐生蒼真の試合映像。
《焔舞》による圧倒的な対応力。
国内トッププレイヤーの実力。
ルナが尋ねる。
「桐生選手についてはどんな印象を持っていますか?」
蓮は即答した。
「強いです」
コメント欄が笑う。
『知ってる』
『全員言う』
『それはそう』
だが蓮は続けた。
「試合中の修正能力が高いです」
「一度通した行動が次も通るとは思えない」
鬼塚が頷く。
「その通りですね」
「対応力では国内トップクラスだと思います」
蓮は映像を見ながら話す。
「だから長い試合になると思います」
コメント欄が盛り上がる。
『うおお』
『決勝楽しみ』
『熱すぎる』
ルナが笑う。
「では最後に決勝への意気込みをお願いします!」
蓮は少しだけ考えた。
そして答える。
「全力でやります」
短い言葉だった。
だが迷いはない。
「せっかくここまで来たので」
「優勝を目指します」
コメント欄が一気に流れる。
『おおおお』
『かっけえ』
『主人公だ』
『優勝しろ』
『決勝早く見たい』
ルナも満足そうに頷いた。
「ありがとうございました!」
配信画面には決勝カードが表示される。
桐生蒼真。
LETHAL。
優勝候補筆頭。
そして正体不明の新星。
ついに――
大会最後の試合が始まろうとしていた。




