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LETHAL -俺だけが見える勝利の一手-  作者: 龍崎
第一章 無名の高校生

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第19話 決勝進出

「Round 1――Fight!」


試合開始。


神崎結衣の《龍牙》と桐生蒼真の《焔舞》が向かい合う。


コメント欄が勢いよく流れる。


『始まった!』


『結衣頑張れ!』


『桐生いけ!』


『神試合期待!』


序盤。


まず主導権を握ろうとしたのは結衣だった。


飛び道具を軸に距離を管理する。


不用意に近付かず、相手の反応を探る。


慎重な立ち上がり。


準決勝らしい緊張感が漂う。


だが――。


「おっと!」


黒田が声を上げる。


「桐生選手、全く動じません!」


焔舞が静かに間合いを調整する。


無理に攻めない。


焦らない。


ただ相手を観察する。


結衣が踏み込んだ瞬間だった。


最小限の動き。


最短距離の差し返し。


カウンターヒット。


そこから正確なコンボが繋がる。


『うまっ』


『今の反応やばい』


『綺麗すぎる』


『無駄がない』


コメント欄がざわめく。


桐生のプレイは派手ではない。


しかし一つ一つが洗練されていた。


相手のミスを逃さない。


余計なリスクを背負わない。


そして一度触れれば確実にリターンを取る。


第一ラウンド。


勝者、桐生蒼真。


続く第二ラウンド。


結衣も簡単には崩れなかった。


攻めのテンポを変える。


飛び道具の使い方を変える。


近距離戦も仕掛ける。


準決勝まで勝ち上がった実力者らしく修正を重ねていく。


「神崎選手も対応しています!」


黒田が叫ぶ。


「さすがですね!」


「ええ」


鬼塚が頷く。


「非常にレベルが高いです」


実際、内容は悪くない。


結衣も十分強かった。


だが――。


桐生はそのさらに上にいた。


一度見た攻めは二度目で理解する。


二度目で理解したものは三度目で対策する。


そして四度目には咎める。


『適応早すぎる』


『何なんだこの人』


『判断力おかしい』


『完成度高いな』


試合が進むほど差が見えていく。


反応速度。


読み。


経験。


判断。


その全てが高水準だった。


「これが桐生選手の強さですね」


鬼塚が静かに語る。


「相手を理解する能力が非常に高い」


「だから試合が長引くほど強くなる」


「国内上位に居続ける理由がよく分かります」


終盤。


結衣も最後まで攻め続けた。


勝機を探す。


崩しを狙う。


だが桐生は崩れない。


冷静に対処する。


そして最後――。


結衣の踏み込みを読んだカウンター。


コンボ。


追撃。


体力が消える。


「K.O.!!」


試合終了。


コメント欄が爆発した。


『強えええええ!』


『桐生決勝!』


『優勝候補!』


『完成度高すぎる』


『マジで強い』


黒田が叫ぶ。


「決まりましたぁぁぁ!!」


「桐生蒼真選手、決勝進出です!!」


結衣は小さく息を吐いた。


悔しい。


だが納得もあった。


届かなかった。


相手がそれだけ強かった。


「完敗だな……」


思わず苦笑が漏れる。


一方。


桐生は静かにコントローラーを置いた。


大きく喜ぶことはない。


派手なパフォーマンスもない。


ただ一つ頷くだけ。


その姿には強者の余裕があった。


「素晴らしい試合でした」


鬼塚が言う。


「神崎選手も十分強かった」


「ですが桐生選手が一枚上手でしたね」


「さすが優勝候補です!」


黒田も興奮気味に続ける。


「決勝へ進む最後の一人が決まりました!」


配信画面に決勝カードが表示される。


コメント欄が一気に流れた。


『うおおおおお!』


『決勝きたあああ!』


『楽しみすぎる』


『どっちが勝つんだ』


『名勝負の予感』


黒田が声を張る。


「決勝で待ち受けるのはLETHAL選手!」


「そして挑戦するのは桐生蒼真選手です!」


鬼塚が静かに頷く。


「面白い組み合わせですね」


「今大会の優勝候補、桐生選手」


「そして――」


少し間を置く。


「突如として現れた新星、LETHAL選手です」


コメント欄が反応する。


『確かに謎なんだよな』


『どこの誰なんだ』


『情報少なすぎる』


『突然出てきたよな』


『でも強すぎる』


黒田も勢いよく続ける。


「経歴不明!」


「正体不明!」


「それでいて数々の強豪を倒してここまで勝ち上がってきた!」


「今大会最大の台風の目と言っても過言ではありません!」


鬼塚も頷いた。


「実力は間違いなく本物です」


「だからこそ楽しみですね」


優勝候補。


桐生蒼真。


そして――。


突如として現れた新星。


LETHAL。


頂点を決める最後の戦いが、いよいよ始まろうとしていた。

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