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【第二十三話:100年後の英雄たち】

 朝から、ゴールデンビーチに全員が集まった。


 留萌館に泊まっていたくま子たちも、砂浜に来ていた。


 秋の朝の海風が、全員の髪を揺らしている。



 ラビットが、全員の前に立った。



「ロリさんについて、お知らせがあります」



 全員が、ラビットを見た。



「現在、ロリさんは利島にいます。フェリーが欠航しており、制限時間内のゴールが物理的に不可能な状況です。本人からもコメントをいただいています」



 ラビットがスマホの画面を読み上げた。



「『日本一周旅に戻ります。皆さん、お先にどうぞ』以上です。ロリさんのリタイアが決定しました」



 砂浜が、静かになった。



 本田はビーチを見つめた。


 ロリに会えない。


 愛媛でフェリーの乗り方を教えてくれたロリに。


 ペナルティタイムを計算してくれたロリに。


 Twitterの投稿を見てこのレースを知った、あのロリに。



「会いたかったな……」



 呟いた。


 思ったより、声に出ていた。



 その瞬間だった。



 ケツに、強烈な一撃が来た。



「いっ!?」



 振り向くと、くま子が仁王立ちしていた。


 つま先で蹴り上げた体勢のまま、こちらを見ていた。



「ロリさんはフェリーが欠航しただけたい。バイクが壊れたわけじゃないし、諦めたわけでもないとよ」



 本田はくま子を見た。



「そうですね」



「ちゃんと見てみんね」



 くま子がスマホを指差した。


 本田はロリのTwitterを開いた。



 画面の中に、ロリがいた。


 利島の砂浜だ。


 大嵐の海が、後ろに広がっている。


 波しぶきが、すごい。


 ロリはびしょ濡れだった。


 島の子供たちと並んで、ずぶ濡れで、でっかい口を開けて笑っていた。



 ロリの見た目は、どう見ても小学生だ。


 島の子供たちと並ぶと、全員が同い年に見える。


 台風の中ではしゃぐ小学生たちの写真にしか見えない。



 本田は笑った。


 笑いが止まらなかった。



 ツイートには「次は小笠原!」と書いてあった。



(ロリさんは旅人に戻っただけだ)



 レーサーじゃなくて、旅人。


 最初からそうだったんだ。


 このレースも、ロリにとっては旅の一部に過ぎなかったんだ。


 みんながそれぞれの旅をしながら、同じゴールを目指していた。


 それでいい。


 それが、このレースだったんだ。



「ありがとう、くま子さん」



「喝を入れただけたい」



 くま子がそっぽを向いた。


 耳が少し赤かった。



   *



 その頃、ミーハーのところへ見知らぬ女性が近づいていた。



 四十代くらいだろうか。


 はきはきした雰囲気の、綺麗な女性だ。


 名刺を持っている。



「ミーハーさんですよね。私、FMもえるの局長をしております」



 ミーハーが名刺を受け取った。


 「FMもえる」という局名を確認した。



「道北にしか流れないローカル局なのですが、是非ミーハー様に『キラリ!るもい人』という番組に出演していただきたくて」



「もちろん良いですよ」



 ミーハーが当然のように答えた。


 「様」づけに、すでに慣れている。



「何分番組なの?」



「三十分です」



「二時間喋りましょうか。歌も歌えますし!」



 局長が固まった。


 隣でラビットが素早く割り込んだ。



「局長さん!三十分で結構ですよ!」



「あ、はい。三十分でお願いします」



 局長が安堵した顔をした。



   *



 本田がミーハーに声をかけた。



「ミーハーさん、これだけ有名になれば、もうこれで就職しなくても大丈夫じゃないんですか?」



 ミーハーの顔が、ぱっと輝いた。



「うん! お兄ちゃんもめっちゃ喜んでた!」



 就活費用として渡されていた資金を旅行に使い込んでしまったことが、全てチャラになったと言いたいらしい。


 ラビットが補足してくれた。



「実は運営の方に、芸能事務所などからの問い合わせが既に何件も来ています。ミーハーさんが地元に帰られると同時に、スカウト合戦になるかと思います」



 ミーハーがインフィニティチェアを少し起こして、優雅に頷いた。



「カワサキですから。当然よ」



 本田は思った。


 カワサキが芸能人を生んだのか。


 まあ、ミーハーらしい。



   *



 昼前だった。


 ゴールゲートの向こうに、聞き慣れた音が近づいてきた。



 ストマジの2stだ。



「鈴菌さん!」



 誰かが叫んだ。



 鈴菌のストリートマジックが、砂浜に突入してきた。


 鈴菌がヘルメットを脱いだ。


 疲れた顔をしている。


 でも、どこかすっきりした顔でもある。



「遅かったじゃないですか」



 本田が言うと、鈴菌は腕を組んだ。



「ルスツリゾートに寄った」



「チェックポイントですよね? 写真だけ撮ればよかったんじゃないですか?」



「入場した」



「え?」



「チケットを買って入った。遊び放題だと言われた。平日なので、アトラクションが全部並ばずに乗れた」



 全員が顔を見合わせた。



「一部は俺が声をかけてから動かしてくれるアトラクションまであった」



「それで閉園まで?」



「当然だろう」



 鈴菌が断言した。



「富士急ハイランドしか知らない人間が、ド田舎の遊園地に入ったとする。並ばずに全部乗れる。係員が自分のために動いてくれる。帰れると思うか?」



「思えない……ですね」



「そうだ。帰れない。吐くまでジェットコースターに乗ったのは初めてだ」



 鈴菌が誇らしげに言った。



「ちなみに、ここに寄らなかった諸君を、俺は少しだけ可哀想だと思っている」



 全員が爆笑した。



 鈴菌らしかった。


 SUZUKI信者で、OEMに詳しくて、理屈っぽくて、でも遊園地で吐くまでジェットコースターに乗る。


 それが鈴菌だった。



 チャンプがノートを出した。


 鈴菌の談話を、丁寧に書き留めていた。



   *



 午後だった。



 ゴールゲートの向こうに、三輪の音が近づいてきた。


 ジャイロXの、独特の走行音だ。



「ミルミルさん!」



 全員が立ち上がった。



 ジャイロXが、ゆっくりとゴールゲートをくぐった。


 ラビットがチェッカーフラッグを振った。



 ミルミルがヘルメットを脱いだ。


 目が、真っ赤だった。


 泣いていた。


 泣きながら、全員の顔を見渡していた。



 誰も何も言わなかった。


 ただ、拍手が起きた。


 砂浜に、拍手が響いた。


 波が、それを受け止めた。



 ミルミルが、口を押さえた。


 肩が、震えていた。



 本田は、拍手しながら思った。


 十七歳の自分が完走するのも、もしかすごいことかもしれない。


 でも、ミルミルが完走したことは、同じくらい、いや、もっとすごいことだと思った。


 子育てが終わって、旦那と会話がなくなって、何もすることがなくなった主婦が、ヤクルトレディを始めて、ジャイロXに乗って、日本縦断のレースに出て、最後の一人として、留萌まで来た。



 くま子がミルミルに駆け寄った。


 ミルミルの手を握った。



「おかえりなさい」



 ミルミルがまた泣いた。



 チャンプがミルミルにインタビューを始めた。



「ミルミルさん、最後になった理由を聞かせてください」



「ええ、実はね……」



 ミルミルが少し照れた顔をした。



「今日だけでも、石狩と増毛と留萌のヤクルト販売所に寄ってきたんです」



「ヤクルト販売所に?」



「ええ。挨拶回りで」



 全員が、一拍遅れて理解した。



「つまり……鹿児島からずっと?」



「そうなんです。各地のヤクルトレディさんに挨拶しながら来たものだから」



 全員の頭の中に、同じ映像が浮かんだ。


 全国の販売所で、ヤクルトのジャイロを止めて、地元のヤクルトレディたちと長いお茶会をしているミルミルの姿だ。


 何時間喋ったのだろう。


 何件寄ったのだろう。



「全国のヤクルトレディさんは、みなさん本当に元気で素敵な方ばかりで。お話が弾んでしまって」



「弾みましたね」



 チャンプが優しく言った。


 ノートに何かを書きながら、笑っていた。



 本田はアプリを見た。


 アプリが男はつらいよの聖地巡礼をしながら走ってきたことを思い出した。


 そして、ミルミルがヤクルト販売所に挨拶しながら走ってきたことを聞いた。


 鈴菌が遊園地で吐くまでジェットコースターに乗ったことを聞いた。



 みんながそれぞれの目的を持って、同じゴールを目指していた。


 誰も同じ旅をしていなかった。


 一人として、同じ旅をしていなかった。



(次は俺も何か目的を持って走ってみたい)



 ふと、そう思った。



 ラビットが全員の前に出た。



「ミルミルさんのゴールをもって、原付キャノンボールランは終了です」



 拍手が起きた。



「明日の予定をお伝えします。明日は全員で宗谷岬までマスツーリングを行います」



 本田の顔が、一気に明るくなった。



「ゴールは争わずに、みんなで走ります」



「最高だ……」



 本田が呟いた。


 マスツーリング。


 みんなで並んで走る。


 千里浜の夕日の日みたいに。



「宗谷岬で結果発表を行います。その後は稚内市内のライダーハウス、サガレンを貸切にしています。明日は全員そちらでお休みください」



 ライダーハウス、サガレン。


 ノシャップ岬の近くにある。


 旅人が集まる場所だ。



 本田はミルミルを見た。


 ミルミルがヤクルト1000を配り始めていた。


 いつもの通りだった。


 鹿児島からずっと、そうだった。



 原付キャノンボールランが、終わった。



   *



 夕方。


 全員がゴールデンビーチに座っていた。


 焚き火が起きている。


 ラビットがBluetoothスピーカーを砂浜に置いた。


 FMもえるに、チューニングした。



 軽快な音楽が流れてきた。


 曲が終わった。



「さて、本日は特別ゲストをお迎えしています。現在留萌で話題沸騰中の、ミーハーさんです!」



 砂浜で全員が身を乗り出した。


 ミーハーが自分のインフィニティチェアで偉そうに寝そべりながら、スピーカーに耳を傾けている。



「すっかり時の人ですねミーハーさん」



「今回は私がフューチャーされましたけど、完走した皆も本当に魅力的なんですよ」



「例えば?」



 スピーカーから、ミーハーの声が続いた。



「まずはアプリ。彼は最速なんですよ。もちろんバイクの性能も凄いんですけど、ストイックで、エンジンと完璧にシンクロしていて、手足のようにバイクを使いこなします。どうしてこんなにバイクを操れるのかと不思議だったんですが、彼は元乗馬のインストラクターなんですって。そりゃ馬を手懐けてたんだもん。バイクなんて簡単なんですよね。彼は誰もが憧れるライダーであり旅人なんです」



 全員がアプリを見た。


 アプリは焚き火を見ていた。


 表情は動かない。


 でも、少し耳が赤いような気がした。



「へぇ〜。そんなに凄い人とミーハーさんは戦っていたんですね〜」



「はい!私のカワサキなら楽勝ですもん!彼の乗るアププリン?だっけ?全然無名のメーカーですからね。カワサキが負ける要素が見当たりません!」



 砂浜で、くすくすと笑いが漏れた。


 アプリリアRS50を「アププリン」と呼ぶのはミーハーだけだ。


 イタリアのレーシングブランドが、アププリンになった。



「私はバイクには疎くて知らないんですがカワサキってやっぱり凄いメーカーなのですね!漫画でもよく出てきますもんね!あとはどんな参加者がいたんですか?」



「私が驚いたのはやっぱりくま子かな。ただのお嬢様だと思ってなめてたら、アプリに負けないような恐ろしいバイクに乗ってたの。それから、ここまで来るまでに全て宿泊してたのよ。ウサギとカメって童謡を全て覆したわ。ウサギ気質だから宿泊で皆よりサボってたくせにアプリと常に張り合ってた。あれが本来のウサギなのよね。カメでは絶対に勝てないのよ」



 くま子が「サボってたわけじゃないとよ!」と砂浜に向かって言った。


 でも、声は届かない。


 ラジオは一方通行だ。



「まあ、そんな勝ち組のくま子でも変な小さなバイクに乗ってたからね。意外とケチなのよ。実家は金持ちアピールしてたけど、あんなに小さなバイクしか買って貰えないんですから…」



「うちのモンキーは小さくてカッコいいとよ!」



 くま子が砂浜に向かって叫んだ。


 カワサキ以外のバイク全般を「変な小さなバイク」と評してるようにも聞こえて、本田は笑いをこらえた。



「個性的なのは鈴菌かな?言ってる言葉の意味がほとんどわからないの。カワサキの事を羨ましいのか知らないけどSUZUKIはおーいーえむ?とかなぞの呪文を唱え出してきて本当に変なやつ」



「OEMは呪文ではない」



 鈴菌が静かに言った。


 でも、ラジオは続く。



「個性的と言うか、崖っぷちと言うか、モト子って三十路の人がいるんだけど、キャノンボールに出るまではバイクに乗ったことすらなかったのよ。そんな命知らずは私は他に知らないわね。でも、レースが進んでいくうちにどんどん成長したの。皆が辛くてリタイヤする人が多い中、彼女は常に笑ってたわ。オーバースペックで持て余すバイクで絶対に疲れてるはずなのにレースを心から楽しんでたのよね。彼女にあのバイクを勧めたバイク屋さんが本当に凄いバイク屋さんだわ!はっきり言ってそのバイク屋さんがMVPだと思うの」



 モト子が目を細めた。


 少し、うるうるしている。


 ミーハーなりの、最大の賞賛だ。



「なるほど、バイク選びの段階で既に勝負は決まっているんですね」



「そうです。だから私はここまで来れました!カワサキですから!」



「そこまでカワサキが優れているのでしたら、参加者の皆さんもやはりカワサキが多いんでしょうね?」



「それが今回だけは何故か私一人なのよ」



「は?」



「今大会にカワサキは私一人なの」



「そ、それは何故?」



「さあ? 普通バイクに乗る人は全員カワサキを買うんですけどね〜。たぶん皆、目立ちたくて珍車で出たんじゃないのかなぁ?今回完走したVタックのスクーターもチャンプのスクーターも珍妙な形をしてましたからね。珍妙な形をしてるクセにバカみたく速いのよ」



 Vタックさんが苦笑した。


 チャンプがペンを止めて、遠い目をした。



「そんなに変なバイクなんですか?」



「はい。とてもこの世の物とも思えません!子供が描く下手くそな絵ってありますよね?まさにそれ!Vタックのスクーターもチャンプのスクーターもいびつでダサかったわ。だから、いつもあまり見ないようにしてあげてました。あまりジロジロ見たら可哀想でしょ?」



「確かにそうですね。ウケ狙いで出場したのにスベリ散らかしてたんですね!」



「はい! 明らかにスベってました。どうせウケ狙いならミルミルさんのようにヤクルトレディそのままのバイクで参加した方がウケてましたね」



 ミルミルが「あら、私はウケ狙いじゃないわよ」とジャイロXを撫でた。



「あぁ、あの三輪の!実は北海道のヤクルトレディは軽自動車なので、あまりあの三輪車は見ないんですよ。北海道はピザ屋さんも軽自動車なんです」



「なるほど。さすがのミルミルさんも北海道ではウケないんですね。北海道以外ではウケてたんですけどね〜」



「それでも主婦でここまで来たのは凄いんじゃないですか?」



「そうね。主婦に限らず、ここまで来れた人は本当に素敵。カワサキに頼らずにここまで来たんだからそこは賞賛されても良いと思ってます!それに、若干十七歳の少年も完走しました。ボロボロのプレスカブというTOYOTAのバイクで。あれ?TOYOTAで合ってたかしら……」



 全員が本田を見た。


 本田が「HONDAですよ……」と小さく言った。



「まあ、その少年はスタート前の前夜祭ではオドオドしてひ弱な少年だと思ってて、どうせすぐにリタイヤするだろうと思ってたら、どんどん逞しくなって、私がフェリーに乗る時に不安にしてたら、その少年がフェリー乗り場まで着いてきてくれてフェリーの乗り方をビシッと仕切ってくれたのよ。モト子もそうだったけど、この少年もどんどん成長して行ったわ。なんか青春していて眩しく見えるほどに……」



 本田は、砂浜を見た。


 波が来て、引いて、また来る。


 眩しい、という言葉が、胸のどこかに刺さった。



「十七歳だと深夜のネカフェにも泊まれないから大変だったでしょうね」



「あ、それは彼は貧乏なのでハナからネカフェには泊まれないのよ」



「貧乏?」



「はい。まだ十七歳で貧乏だから彼はなんと、三十年前のバイクに乗ってるのよ!三十年よ!三十年。新聞配達所からのお下がりなんですって。つまりタダ!」



「なるほど。それは不憫ですね〜」



 アプリが本田の肩を叩いた。


 慰めているのか、笑いをこらえているのかわからない叩き方だった。



「それではそろそろお時間が迫って参りました。最後にミーハーさん。これを聞いているリスナーに何かメッセージはありませんか?」



 砂浜が、静かになった。


 波の音だけが続く。



 スピーカーから、ミーハーの声が流れた。



「百年経てば無茶も無謀も、英雄譚に語り継がれる」



「それでは今夜はこの辺で〜」



 音楽が流れ始めた。



 砂浜が、しばらく静かだった。



 最初に口を開いたのは、アプリだった。



「パクりかよ」



「「「パクりかよ!」」」



 全員が同時に言った。



 チャンプが全員のインタビュー記事をタブレットに完成させていた事を、その場の全員が思い出していた。


 その記事の中のどこかに、あの言葉が書かれていたはずだ。


 後藤銅像の前で本田が呟いた言葉が。


 フェリーの夢の中で後藤が言った言葉が。


 ミーハーは読んでいたのだ。


 そして、最後のメッセージに使ったのだ。



「悪気はないんだよな」



 アプリが苦笑した。



「ないよ。絶対ない」



 くま子が断言した。



「ミーハーらしい」



 ミルミルが優しく言った。



 鈴菌が腕を組んだ。



「本人が最も自然に使える言葉だったということだ。それは本物ということだ」



 静かな言葉だった。


 でも、全員が頷いた。



 本田は、スピーカーを見た。


 音楽が、まだ流れている。


 FMもえるの電波が、留萌の夜空に広がっている。


 道北のどこかで、誰かがこのラジオを聴いている。


 その誰かの心に、あの言葉が届いている。



 百年経てば無茶も無謀も英雄譚に語り継がれる。



 後藤が吹雪の中で言った言葉が、北海道のラジオで流れた。


 いつかそれが、本当に百年後まで語り継がれるかもしれない。



 焚き火が揺れていた。


 波が来て、引いた。


 星が出ていた。


 明日は、宗谷岬まで、全員で走る。



 本田は焚き火を見つめながら、思った。



 まだ終わっていない。


 明日も走る。


 全員で。


 並んで。



 今から楽しみで、眠れそうになかった。



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