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一方アマトとメルは……

 カケル達が王都で馬を買っているその頃、アマトとメルはお城の中にある一室で暇をもて余していた。


 「ったく昨日、勝手に人を呼んどいて何がまた明日来てくれだよ! ふざけるな!」


 部屋の中で暴れているがメルは止めようとしない。いつもなら杖を使って頭を二、三発殴って無理にでも止めるのだが、今のメルの気持ちもアマトと同様なため、好きにさしているのだ。


 「ホント。明日にするのだったらもっと早く言ってほしいわ。これなら昨日、ハンデル村に帰るべきだったわ」


 タブレットの電子書籍を読みながらアマトの横暴を見ているとコンコンと、ドアを叩く音が聞こえる。


 「ああん! 誰だよ?」


 ガチャリとドアを開け、入ってきたのは全身に鎧を纏い鉄火面を被ったこの城の一般兵士だ。

 怒るアマトが恐いのかワナワナと体を震わせて、喋る言葉も途切れ途切れだ。


 「ア、アマト様にメル様……お、王様が早くえ、謁見の間に来るようにとのこ、ことです……」


 「そう……分かったわ。今すぐ行くからあなたは下がっていいわよ」


 魔族と一戦を繰り広げた後のように兵士はぐったりと疲れ、部屋から出ていった。


 「よーやく呼び出しか! にしても偉そうにしやがって……頭にくるな!」


 「そりゃあ……王様なんだから偉そうにするでしょ」


 同族嫌悪というやつだろうか……アマト同様、ここの王様もあまり態度はよろしくない。

 表向きは評判のよい、いい王様だが、実際は自分にとって都合の悪い人間を影で始末するといったとんでもない王様なのだ。

 もちろんアマトとメルも知っているが下手に逆らうと次は自分が消されるかもしれないため逆らえないのだ。

 

 「とっとと、謁見の間に行って、早くあの馬鹿王様と話をつけるぞ」


 「賛成~。私もこの城には長居したくないからね」


 珍しく、アマトが手を差し伸べてくれたので、ありがたくその手を取って立ち上がる。


 「基本的には俺が喋るがいざというときは……」


 「分かってるわよ。そのときは私が話すから」


 別に全部喋ってもいいのだが、それを提案すればアマトの勇者としてのプライドが許さないだろう。だから今ここで変な体力を使わず、素直に頷いていればいいのだ。


 「じゃあ行くぞ!」


 「うん……」


 怒り状態のまま部屋を出たアマトに頭を抱えながらメルも部屋を出た。

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