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異世界で手に入れた等価交換の力で俺がこの村を発展させてやる!!  作者: 松原太陽
異世界で過ごした一週間
23/76

決闘の夜は……

 神経衰弱の決闘が終わり早くも数時間経ち辺りが暗くなっているなか、メルとアマトはリーナの家に居た。


 「私達ホントにここに住んで大丈夫なのかな?」


 「いいんじゃねーか。リーナがいいって言ってんだし」


 何故この二人がリーナの家に居るのかというと、カケルとリーナの命令を聞き終わった後、二人は一度王都に帰ろうとしたのだがカケルが「これから一緒に村を発展するんだから一通り村を見ていけよ」と昼近くまで案内され、更には「どうせ一度王都に戻るなら明日の朝一緒に行こうぜ。ちょうどタオルを売るためにもう一つ足が必要だったし」と言われ、夕方近くまでカケルの出した移動式屋台にタオルを詰め込んでいたのだ。


 そのせいで辺りが暗くなり帰るに帰れなくなったメル達をリーナがしばらくの間家に泊まればいいという形になり今に至る。そのリーナとカケルはというと晩御飯を作りよる途中でメル達はダイニングにある椅子に座って晩御飯が出来るのを待っているのだ。


 「でも確かこの村の食糧って支給制だから私達がいたら食糧が足りなくなるんじゃ……」


 「知るかよそんなこと。リーナが住んでいたいいって言ってんだからその辺も大丈夫だろ」


 「はぁ~、何もフラれたからって私に当たらないでよ」


 「はぁ!? フラれてもなければ当たってもねーよ」


 わざとらしく声を上げて文句を言っている以上、まだアマトはリーナに言われた事を気にしているようだ。


 「はいはいそうですか」


 こういうアマトを相手にするとめんどくさいと分かっているためメルは適当に流す。


 「にしても異世界から来た人間に神から与えられた等価交換の力か……全くこの世はまだまだ私の知らないことばからね」 


 既にカケルからはある程度の話は聞いている。普通なら信じないのだが等価交換の力とか薄い板に入ってある大量の異世界の書物を見ているため信じざる終えなかった。


 「フフ、これからどうなっていくんだろう」


 全くの予想がつかないこれからの事を考えるとつい口元が緩んでしまう。


 「どうしたんだよいきなりニヤケやがって」


 「え、別にニヤケてないよ」


 「いやニヤケてた」


 「ニヤケてない」


 くだらない事で言い争いをする二人の所にキッチンからカケルとリーナが手に皿を持って出てきた。


 「二人供お待たせ」


 出来た料理を二往復で持ってくるとカケルはアマトのリーナはメルの隣に座る。


 「ん? この料理は一体なんだ?」


 アマトとメルは不思議そうに目の前に置かれた緑色の目玉焼きを見つめていた。


 「それはね目玉焼きって言ってカケルの世界の料理なの」


 「目玉焼き……だと……。貴様の世界はどうなっているんだ! 目玉を焼いて食うとは! 貴様ホントに人間か!」


 グイッと顔を近付け怒鳴るアマトにカケルは両手を突きだし待て待てと落ち着かせる。


 「勘違いだ。目玉焼きって言ってもこれは生き物の目を焼いたものじゃなくて卵を混ぜずにそのまま焼いただけの料理だ」


 「何?」


 「モグモグ……ホントだ卵の味がする」


 意外と好奇心の高いメルは早速目玉焼きを一口食べており、アマトもメルの反応を見て目玉焼きを一口食べてみた。


 「どうだ?」


 「……まぁまぁだな」


 そう言うわりには二口目も食べており気に入っているようにも見える。


 「ったく素直に美味しいって言っとけよ」


 二人の舌に異世界の料理が合ったことを確認したカケルとリーナも食べ始める。


 「食事中にすみませんがリーナに一つ聞きたいことがあるのですが……」


 「何?」


 「本当に私達はここに住んで良いのでしょうか? 食糧だってそんなに多くないはずだよね?」


 その時、一瞬だけこの空間の時が止まったかのように静かになる。メルもこのタイミングで聞くべきではなかったのではないかと悩んでいた。


 「別に心配しなくても大丈夫だよ。二人の部屋もあるし食糧だって明日には王都から食糧の補給もあるし……」


 「ですがそれでも食糧の減りが速くなるのには変わらないはずですよ」


 「そこも心配しなくても大丈夫だぜ。明日王都でタオルを売り終わった後、村のみんなの食糧を追加で買う予定だからその時に二人の分の食糧も買えば問題ないぜ」


 どや顔で言うカケルだがそれでもメルの不安が消えたわけではない。


 「それでもホントに良いのでしょうか? さすがにこれは甘えすぎなような……」


 俯くメルの両手を取って胸の高さまで持ち上げて握るリーナは優しく話し出す。


 「そんなに気にしなくても大丈夫だよ。私は全然迷惑だとか思ってないし、それにこうやって歳の近い友達とご飯を食べるのは楽しいしね」


 「リーナ……」


 リーナの言葉で不安な気持ちが消えたのかメルは少しだけ安心した顔をしていた。


 「あーでも見た目があれで歳が近いってもメルは実際、二百歳近くだからな」


 今まで喋らなかったアマトが喋った事がまさかのメルの年齢でカケルとリーナは驚きを隠せなかった。


 「適当なことを言わないでよ。私はまだ百八十二歳なんだから」


 それでも二百歳近くには変わりがなくリーナも何とも言えない顔をしている。


 「べ、別に私は魔女の中では若い方だし、人間で言うなら十八歳ってところよ」


 「それでも私より一つ歳が上なのね……」


 メルよりも歳が低くてちょっぴりショックのようなリーナだがカケルはメルの年齢よりもリーナが年下の方に驚いていた。

 自分の方が年上なのに一つ下のリーナの方がしっかりしているという事が地味に心にきていた。


 「ま、まぁそれでも私とメルが友達なのは変わらないからね」

 

 アマトのカミングアウトのせいで変な空気になったがそれを変えようと色々な世間話やカケルの世界の話などをしながら晩御飯を食べ終わった四人。


 リーナとメルが水浴びに行っている間にカケルと、覗きに行こうとしたアマトの二人は食器を洗うことにした。

 そして二人が水浴びから戻ってきた時、リーナがアマトとメルを自分の部屋の二つ右の部屋に案内し、四人は異様に長かった一日を終えたのだ。

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