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私のお金が欲しい伯爵様は離婚してくれません  作者: みみぢあん


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27話 受難


 アデルと離婚が成立したが。僕は最愛の恋人のシャルロットと結局、結婚することが出来なかった。



「すまないシャルロット。君を妻にしたいのに、バーンウッド伯爵家を守るために出来ないんだ!」


「そんなの嫌よ、ピエール! あなたが結婚してくれると言うから、私は何年も辛い日々を耐えてきたのよ⁉ お願い、ピエール! 私をあなたの妻にして! 今度こそあなたの本当の妻にして!」


 バーンウッド伯爵家の執務室で、僕の膝にすがりついてシャルロットは泣き崩れた。


「ごめんよ……シャルロット。君の兄ガストンがあんな失敗をしなければ……今頃、僕たちは幸せの中にいたはずなのに! あいつが肝心な時に……クソッ!!」

(ガストンがアデルを殺しそこねなければ……バスティアン・ガーメロウの遺産も、愛するシャルロットも、すべて僕のモノになっていたのに!)


 ――それに、あの忌々しい男。クロヴィスに見下されることも無かった。 


「どうしてなの? お兄様……ううっ……ガストンお兄様!」

「すまないシャルロット。僕を許してくれ……」

「ああっ……ピエール! こんなのあんまりだわ!」

「シャルロット……」


 シャルロットの兄ストナル子爵ガストンが、男たちを雇いアデルを襲撃させたが。銃で応戦されて襲撃は失敗に終わった。


 その時クロヴィスに脇腹を撃たれて逃げ出した主犯格の襲撃犯が、王都騎士団に捕まり自分たちは『ストナル子爵ガストンに雇われた』と自白した。

 ストナル子爵は襲撃犯たちを、金で殺人を唆(そそのか)した罪で捕まり投獄されている。


「ガストンが自分の罪を認めて、僕の名前を出さなかったから。僕たちまで罪に問われなかったことは幸運なんだよ。シャルロット……」


 ガストンは雇った男たちに自分が殺人を指示したことは、王都騎士団で自白したが。僕がアデルを殺して欲しいと頼んだことは、自白しなかった。

 妹のシャルロットのことを思い、僕を庇ったのだ。


 シャルロットの実家のストナル子爵家は、当主が重罪を犯して信用を失くし。領地で収穫した作物や家畜の売買さえ、今まで取引をしていた相手が手を引いてしまい、子爵家は収入が無くなった。


 完全に没落する前に、ストナル子爵家を引き継いだガストンの従弟は、土地や家屋敷をすべて売り払い、醜聞まみれの爵位を王家に返還した。


 ――だからシャルロットの身分は、子爵家の令嬢ではなくなり。今はただの平民となってしまった。


「シャルロット……」

(ガストンのおかげで、僕まで罪人にならなくて済んだが。……でも平民になったシャルロットとは結婚出来ない)


 僕は歴史ある名家の当主、バーンウッド伯爵だから。平民を妻には出来ない。


「クソッ!」

(今のシャルロットは、商人の孫だったアデルよりも身分が低いじゃないか! こんなはずではなかったのに……)


 アデルの祖父バスティアン・ガーメロウは、平民の商人だったが。バスティアンの息子で病死したアデルの父は、カノック男爵家へ婿入りしてアデルの母と結婚した。

 僕と結婚する前のアデルは、カノック男爵令嬢という身分だった。



「ごめんよシャルロット。……とにかく、今はダメなんだ」

(シャルロットと結婚できないなら、新しい妻が必要だ! また裕福な妻を見つけて結婚しよう。シャルロットは以前のように、愛人として可愛がってやるしかない)


「お願いピエール……私をこれ以上、待たせないで!」


 憐れな姿で懇願されても、今回ばかりはシャルロットの願いを叶えてあげることは出来ない。


「……そうだ、シャルロット! 今から君のドレスを注文しに行かないか? 宝石も新しいのを買ってあげるよ!」

(バスティアンの遺産は手に入らなかったが、ダイアモンド鉱山は手に入った。あれだけの収入があれば、今までどおり贅沢に暮らせるはずだ!)


「でもピエール……」

「さぁ、行こうシャルロット! 君に涙は似合わないよ?」


「……それなら、隣国で作られたレースと、真珠をたくさん使ったドレスが良いわ」

「ああ、ドレステーラーで見た、あのデザインだね?」

(他のドレスより一桁値段が上の高価なドレスだが……まぁ、シャルロットの機嫌が直るなら買ってやろう)


「ええ、そうよ。あのドレスが良いの」

「良いよ。シャルロットならきっと似合うだろうね」

「ふふふっ……」



 ――その数ヶ月後。事態が急激に悪化した。




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