表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/37

繋がり見つけた

 音がしない。視界も暗い。

 龍にまたがっている感覚は、勿論無い。

 背中と両腕両足には畳の感触。これは、きっと寝転んでいる。

 そして、なにかを被っている感覚が、頭にはある。

 陽菜は目深に被っていた兜を持ち上げると、シパシパと何度も瞬きをした。

 なかなか目が慣れない。

 目を細めて視野のピントを合わせると、薄暗い仏間に飾られている金太郎の武者人形が見えた。

 ということは、ここは家の仏間だ。


「いつ、戻って来たんだろ……」


 兜を外し、朧気な記憶の糸を辿る。

 鯉幟が龍に変身し、金太郎から「シッカリ目ぇ閉じてろよ!」と言われてからの、記憶が無い。

 どのタイミングで戻ってきたのか、サッパリだ。

 陽菜は飾ってあった場所に兜を戻し、キョロキョロと周囲を観察する。

 いつもの仏間。変わっている場所は、特に無い。


「そうだ、掛け軸!」


 汚れていた部分は、どうなっているだろう。

 陽菜は急いで床の間の前に移動する。

 出会った鍾馗と同じ、軸の中に描かれた鍾馗が着ているのは、黒い官人の衣装。閻魔大王のように蓄えられた長い髭。ギョロリと丸い大きな目と、ゲジゲジの眉毛。右手に両刃の刀を持ち、左手は逃げ出さないようにシッカリ小鬼を掴んでいた。

 鍾馗の掛け軸には、ちゃんと小鬼が居る。


「よかった……」


 全身から、ヘナヘナと力が抜けていく。


(夢じゃなかった)


 頬に触れれば、矢が掠ったときにできた怪我の感触もある。


(待って、もしかして……!)


 陽菜は急いで立ち上がり、玄関から靴を履いて外に出た。

 玄関横には、祖母と一緒に置いたはずの、菖蒲の葉とヨモギが無い。

 走って鯉幟と武者幟が立っている庭のほうに回ると、向こうの世界で陽菜がへたりこんだ位置に、菖蒲の葉とヨモギが落ちていた。


「やっぱり、繋がってるんだ」


 アッチとコッチの繋がりを見つけて、心臓がドキドキとうるさい。

 今、向こうではなにをしているだろう。

 男達だけで、バカ騒ぎでもしているだろうか。

 菖蒲の葉とヨモギを拾い、鯉幟が繋がれているポールを目で辿る。

 矢車はカラカラと回り、風になびく吹き流しと、色とりどりの鯉幟。

 陽菜が乗って帰って来たはずの黒い鯉幟は、何事も無かったかのように、悠々と澄み渡る空を泳いでいた。

読んでいただき、ありがとうございます。

この回で、端午の節句編はおしまいです。

次からは、七夕のお話になります。

またお付き合いくださいませ(*^^*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ