☆カイトの秘密
一度完結しましたが、ブラッシュアップしての1話目、【第零章】から再投稿です。内容もボリュームアップする予定。1話ずつ、ゆっくり投稿していきます。
完結してる作品なので、完結は必ずします。
「」人のセリフ
()心の声
『』通信などの機械音、ほかの人が言った言葉をそのまま入れるとき。
※私の小説のルールです。
楽しんでもらえると嬉しいです。
◆ルミナール号ブリッジ
恐竜の気配が完全に消え、船内は異様な静寂に包まれていた。
グリムは意識を失ったカイトを抱え、慎重にベッドへと寝かせる。
クルーたちは言葉少なに持ち場へ戻り、まるで後片付けのように静かに動き始めた。
ルビィは船内に戻るなり、その場に座り込む。
手の中には、小さな薬のケース。
じっと見つめたまま、呼吸が荒い。
あの“力”の余韻が、まだ体の奥に残っていた。
そのときだった。
バルンが静かに口を開く。
「ルナストンでは、稀に特別な力を持って生まれる者がいます」
わずかに間を置く。
「比率で言えば、五〇〇〇万人に一人ほど。カイトさんも、そのひとりです」
空気が変わる。
エアロの肩が、わずかに震えた。
(五〇〇〇万人に一人……)
頭の中で数字が反響する。
胸の奥がざわつき、血の温度が上がる。
ルビィは目を見開いたまま、声を絞り出した。
「カイトさん……あの力を……?」
バルンが静かに頷く。
「カイトさんは既に退職されていますが、ゼファー大統領の側近を一五年間務めていました」
視線を落とし、続ける。
「外見は普通ですが、サイコキネシス系能力者。目に見えない力で物を動かします」
結依が驚きに目を丸くする。
「あの落ち着いたおじさんが……?」
ガストが眉をひそめた。
「マジかよ、見た目と違いすぎる……」
グリムが低く息を吐く。
「信じられん……」
バルンはさらに言葉を重ねる。
「大統領はその力を知った上で、カイトさんを二〇年前に側近に置き、今回のミッションにも特別に同乗させました」
静かに結論を落とす。
「そして、戦場でその力が露呈したわけです」
ルビィは小さく息を吐いた。
心臓の鼓動が、まだ速い。
バルンは、わずかに視線を動かす。
「そして――」
一拍。
「そこのエアロさんは、カイトさんの孫娘です」
その瞬間。
全員の視線がエアロへと集まった。
アンデルが思わず声を張り上げる。
「えー!? 孫なの?」
ガストが口元を緩める。
「エアロ、顔似なくて良かったな」
ルビィが戸惑いながら呟いた。
「孫……。カイトさん、おじいちゃんなんだ……」
ざわめきの中でも、バルンは淡々としている。
「数値上では、同様の能力を持っていることが確認されています」
エアロに視線を向ける。
「ただし、まだ覚醒前か、あるいは異なる系統の力か……現時点では不明です」
さらに続ける。
「それと、カイトさんの力については年齢的に負担が大きい。能力の使用は命を削る可能性があるため、多用しないようにと――フェザーさんから報告を受けています」
エアロの視線が揺れる。
ふと、記憶が浮かび上がった。
〜回想〜
◆薄明かりの研究室
幼いエアロが椅子に座り、フェザーが測定器を操作している。
「カイト、エアロちゃんの反応はどう?」
フェザーが視線を向ける。
カイトは優しい目で、エアロの小さな手首に手を添えた。
「順調です。まだ力は眠っていますが、将来は……」
幼いエアロが無邪気に笑う。
「おじいちゃんみたいにできるの?」
カイトは柔らかく微笑んだ。
「そうなるかもしれないね」
フェザーは数値を見つめ、眉を寄せる。
「数値は出てる。でも覚醒は未知数。同じ力か、それとも別か……」
〜回想終わり〜
バルンが静かに補足した。
「カイトさんが退職する五年前まで、二人はフェザー研究所で何度も検査を受けていました」
ルビィは森の方角を見つめ、拳を握る。
エアロは何も言わず、眠るカイトを見つめていた。
そのとき――
「小型だがまた来やがった!」
アンデルの叫びが響く。
ガストがうんざりしたように天を仰ぐ。
「またかよ……」
休む間もなく、恐竜の襲撃が始まった。
クルーたちは再びスーツを装着し、ハッチの外へ踏み出す。
私からのお願いです。
もしも、気にっていただけたら
★★★★★の評価と、ブックマークなどお願い致します。
感想などもお待ちしてます。




