✮レヴロスト
更新
月曜〜土曜の朝6時に新エピソード1話
※日曜・祝日はお休みです。
――A班。
◆崩壊都市・昼区域
――ブォォォォォン……。
セグダの重低音が、崩壊した都市へ響いていた。
砕けた高架道路。
崩れたビル群。
昼の光に照らされた廃墟の街を、A班は走り抜けていく。
先頭を走るのは、テストのセグダ。
その後ろを、レオが運転するセグダが続く。後部座席には、サイモンが乗っていた。
さらに後方では、サンチェスのセグダが走る。後部座席にはアシュリー。
三台のセグダは、崩壊都市の道路を駆け抜けていった。
昼。この星では、比較的安全とされる時間帯。
だが――完全な安全ではない。
サイモンが周囲を見回しながら言う。
「昼はネメシス製の連中、あんま出てこねぇんだっけか?」
前を走るテストが短く答える。 「ああ」
「今の時間帯は、アイオーン側の勢力圏になる」
サンチェスが周りを警戒しつつ言う。
「まぁ、ネメシス製のサイボーグ連中は日差しがダメなだけで、建物の中にはいるぞ」
一拍。
「逆に、昼の外はアイオーンのレヴロストが出やすい」
レオが静かに聞き返す。
「レヴロストにも種類があるのか?」
アシュリーが頷く。
「現在確認されているのは、主に三種類です」
「標準型の“ヴェイル”」
「大型戦闘型の“グラン”」
「高速機動型の“レイス”」
一拍。
「レヴロストは、全部“人造人間”です」
アシュリーは静かに続ける。
「人間をベースに、他生物の遺伝子を組み込み、さらに肉体改造を施して作られた存在です」
サンチェスが付け足す。
「“グラン”は接近戦能力が高いだよ、正面戦闘は危険すぎるからな」
サイモンが苦笑する。
「昼も昼で面倒だな、この星」
そのときだった。
――ピタッ。
先頭を走っていたテストが、突然セグダを停止させた。
「止まれ」
全員が即座にブレーキを掛ける。
そして。前方の崩れた道路。
そこへ、三つの黒い影が静かに姿を現した。
黒い装甲。
鋭い赤い光学眼。
人間に近いシルエット。
だが、その背後から伸びる長い尾が、人ではない事を物語っていた。
一体は細身。 尾の先端には刃のような発光部位。
残る二体は、ひと回り大きい。 重装甲。
両腕には巨大な武装が装着されていた。
アシュリーが低く呟く。
「……グラン二体」
「レイス一体」
レオとサイモンが目を細める。
そして。中央のレヴロストが、一歩前へ出た。
「武装を解除しろ」
低い声。無機質な発音。
その瞬間、サイモンの表情が変わった。
「……喋った?」
「言葉、分かるぞ?」
レオが静かに呟く。
「翻訳デバイスだな」
アシュリーが小さく頷く。
「アイオーンもネメシスも、言語自体は私たちと同じなので」
レヴロストは続ける。
「抵抗を確認」
「武装解除を要求する」
一拍。
「安全と食料は保証する」
静かな声だった。まるで、本当に保護するつもりであるかのように。
だが。
テストは静かに言った。
「……投降はしない」
次の瞬間。
――キィィィィン……。
レヴロスト・レイスの両腕から、青白いレーザー短剣が展開される。
グラン二体も、ゆっくりと構えを取った。
テストはセグダから降りながら言う。
「セグダを壊されたら困る」
一拍。
「降りて戦うぞ」
レオとサイモンも即座に降車。
サンチェスとアシュリーは後方へ下がり、援護位置へ移動する。
そして。
――バンッ!!
戦闘開始と同時に、サンチェスのライフルが火を吹いた。
銃弾は、真正面のグランの頭部へ直撃。
――ギィンッ!!
火花。
グランが一瞬だけ仰け反る。
その瞬間。
テストが地面を蹴った。
凄まじい速度で接近し――。
――ドゴォッ!!
拳が、中央のグランの顔面へ直撃した。
重い衝撃音。
グランの巨体が、数メートル吹き飛ぶ。
そして。
黒き人型兵器――レヴロストとの戦いが、始まった。
――そのころ、B班。
◆旧管理区域・外周道路
荒れた道路を、セグダとバイクが走り抜けていく。
崩れた高層ビル群。
割れた道路。
静まり返った都市。
アイダの大型セグダの後ろで、ダイヤがふと口を開いた。
「へぇー。レヴロストって三種類いるんだ」
前方を走るアイダが答える。 「前に港で、お前たちが戦ってたのは“ヴェイル”標準型だ」
一拍。
「この前、アビスモウが出た時にいたのは“レイス”が二体だった」
結依が少し考える。
「小さい高速型でしたっけ?」
「そうだ」
アイダは短く答えた。
ルビィが小さく首を傾げた。
「じゃあ、まだ見てないのはグラン?」
アイダは腕を組み、わずかに顔をしかめる。
「グランは、真正面から殴り合うタイプだ」
一拍置き、低く付け加えた。
「正直、会いたくない」
その言葉に、場の空気がわずかに重くなる。
すると、ルビィが苦笑する。 「グランって、なんかサイモンさんっぽいですよね」
結依が吹き出す。
「分かる」
「絶対、殴り合い強いやつ」
ルビィも頷く。
「私、サイモンさんとは殴り合いたくないもんね」
結依が不安そうに口を開いた。
「レヴロストって……夜でも動けるんですよね?」
その瞬間だった。
「きゅうっ」
ルビィの前へ乗っていたフェザーが、小さく鳴く。
同時に、後方バイクのアストラが静かに告げた。
『生体反応を確認しました』
全員の表情が変わる。
『前方ビル群内部。複数です』
アイダが即座に減速した。
「止まるぞ」
セグダとバイクが、廃車群の陰へ停止する。
アストラが周囲を警戒しながら言う。
『私はフェザーと待機します』
「お願い」
ルビィが頷いた。
その後。
アイダ、ルビィ、ダイヤの三人は、反応があった崩れたビル内部へ静かに侵入し、音のする方へ向かう。
◆旧管理区域・崩壊ビル内部
薄暗い空間。
割れた窓。
崩落した床。
埃の舞う廃墟。
三人は物陰へ身を潜め――そして見た。
黒い兵隊が四体。
レヴロスト・ヴェイル。
青白いレーザー短剣。
尾のように伸びた機械肢。
黒い装甲。
その四体が、巨大な異形を包囲していた。
「……あれ何?」
ルビィが息を呑む。
巨大な鋏。
赤黒い装甲。
複数の脚。
巨大なサソリ型だった。
アイダが小声で答える。
「あれはスティング、ネメシス製のサイボーグ」
だが。スティングは明らかに動きが鈍い。
日差しを避けるように、崩れた壁際へ移動している。
一方。ヴェイルたちは、周囲の壁を破壊。
――ガガン!!
崩れた外壁から、強い光が差し込んだ。
その瞬間。
スティングの装甲から白煙が上がる。
「昼だからだ」
アイダが低く呟く。
一拍。
「夜のスティングは、あんなもんじゃない」
ヴェイルの一体が、高速で接近。
青白い閃光。
――ズバァッ!!
スティングの脚が切断される。
さらに別個体。
レーザー射撃。
最後の一体が背後へ回り込み――。
赤黒い巨体が、崩れ落ちた。
五体目のスティングも沈黙する。
静寂。
そして。
ヴェイルの頭部センサーが、一斉に発光した。
ギュィン――。
黒いヴェイルの視線が。
物陰へ隠れていた、ルビィたちへ向けられる。
「……気づかれたな」
アイダが静かに呟く。
廃墟の奥。
青白い光が、ゆっくり揺れた。
昼の支配者と、夜の支配者。
二つの勢力は、すでに、この星で殺し合っていた――。
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