☆外交
一度完結しましたが、ブラッシュアップしての1話目、【第零章】から再投稿です。内容もボリュームアップする予定。1話ずつ、ゆっくり投稿していきます。
完結してる作品なので、完結は必ずします。
「」人のセリフ
()心の声
『』通信などの機械音、ほかの人が言った言葉をそのまま入れるとき。
※私の小説のルールです。
代表恐竜は、ダイヤから視線を外し、ゆっくりと首を巡らせた。
その動きに合わせて、群れの全体が見渡せる。
幼体は中央に集められ、動きの鈍い個体は岩陰へ。
外縁には、常に周囲を警戒する成体が配置されていた。
偶然ではない。
明確な秩序があった。
恐竜たちは、ただ集まっているわけではない。
それぞれが、自分の役割を理解している。
クラウドが目を細めて観察しながら言う。
「隊列じゃない。配置だねぇ〜」
フェザーが腕を組み直しながら言う。
「しかも、無駄がない。守る個体と守られる個体が、自然に分かれてる」
ダイヤは、代表恐竜の立ち位置に注目した。
最前線ではない。
かといって、後方でもない。
全体を把握できる位置。
ダイヤは、意図的に一歩、横へ動いた。
代表恐竜は動かない。
だが――
外縁にいた別の恐竜が、即座に位置をずらし、空白を埋めた。
反射ではない。
判断の連鎖だ。
ダイヤは呼吸を整え、プロトコルを使った。
(あなたは、戦うために前に立ってるんじゃない)
代表恐竜の喉から、低い音が漏れる。
否定ではない。
肯定でもない。
聞いている。
ダイヤは視線を逸らさずに続ける。
(決めるために、そこにいる)
代表恐竜の目が、わずかに細くなる。
ダイヤは、プロトコルの出力を微調整しながら、群れの外側へ視線を向けた。
そして、言葉を混ぜてプロトコルを使い始める。
ダイヤが落ち着いた声で言う。
「外の警戒は、あなたの役割じゃない」
その直後。
外周にいた恐竜が、一歩前に出る。
代表恐竜は、動かない。
フェザーが驚きを押し殺して呟く。
「リーダーって言葉じゃ、足りないね」
クラウドが端末を握ったまま言う。
「管理者だねぇ〜。群れ全体の動きを把握してるよぉ〜」
ダイヤは膝をつき、地面に指で簡単な図を描いた。
円を三つ。
中心。
その周囲。
さらに外側。
ダイヤは指で中心を示し、静かに伝える。
(守る範囲)
次に、その周囲をなぞる。
ダイヤが呼吸を合わせる。
(責任の重さ)
代表恐竜が、地面を一度だけ、強く踏み鳴らした。
重く、短い音。
それを合図に、群れ全体が一斉に動きを止める。
完全な静止。
勝手に動かない。
クラウドが小さく声を震わせる。
「命令じゃないのぉ〜?」
フェザーはゆっくりと首を振る。
「“従ってる”んじゃない。“理解してる”んだ」
ダイヤは、ゆっくりと立ち上がった。
確信が、形になる。
ダイヤはまた声を出しながら、プロトコルを使った。
「あなたは、仲間を支配してない」
代表恐竜と、正面から視線を合わせる。
ダイヤが一歩踏み込み、言い切る。
「仲間の行動と結果を、全部を自分の責任として、引き受けてる」
代表恐竜は、しばらく沈黙したあと、首をわずかに下げた。
威嚇でも、服従でもない。
それは、責任を負う者同士の合図だった。
胸の奥に、ひとつの答えが定まる。
ダイヤが落ち着いた声で言う。
「なら、話は簡単だ」
胸に手を当て、決意を自分に刻むようにした。
ダイヤがはっきりと宣言する。
「人間側にも、同じ役割を持つ代表が必要になる」
一拍置く。
視線は、外さない。
ダイヤがまっすぐ言い切る。
「私が、その一人になる」
代表恐竜の尾が、わずかに揺れた。
群れは、動かない。
だが――拒絶は、なかった。
フェザーが無線を握りしめたまま、呟く。
「ダイヤ……これ、もう調査じゃ済まないわよ」
ダイヤは、代表恐竜から視線を外さず、答える。
「うん」
一言、噛みしめるように。
そして――
ダイヤがはっきりと告げる。
「外交だ」
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