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女神たちには敵わない -The goddess's march-  作者: まるずし
第二章 新しき仲間達
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第61話 新しい仲間

 ちょっとダラダラ長くなってしまいました(汗)



「ネル、大丈夫かしらねえ……」


 いま僕たちは、ネルの館の近くに『空間裂狭邸館(コモド・アルベルゴ)』を設置して、様子を窺いながら過ごしている。

 ネルの許婚であるヴォルク・リュコスという狼人が、僕らを王様の館から追い出すように強く要請したからだ。


 王様は、気にせずに泊まってくれと言ってくれたんだけど、これ以上こじらせたくは無かったので、僕らが自主的にお暇することにした。

 その代わり、ネルの部屋に警護を付けて貰えるように王様にはお願いをした。ヴォルクが僕らを排除したのには、何か意図があるように思えるのだ。


「あのヴォルクってヤツの反応、絶対におかしいよね」

「そうね。何か焦っているように見えたわ」

「ネルさんが自分のことを憶えているんじゃないかと、不安なのではないでしょうか」


 ネルは自分の目を潰した犯人(ヴォルク)を憶えていた。いや正確には、犯人と目が似ているというあやふやな記憶ではあるのだが。

 ネルが憶えているということにヴォルクが気付いているかは分からないが、自分が不利になるような状況は一刻も早く修正したいだろう。

 ネルに何かする可能性は充分高いと思っている。


 王様も僕らの願い出に応じてくれて、王国の四獣士をネルの護衛に付けてくれた。

 本当はヴォルクが怪しいということも伝えておきたかったけど、まだネルの記憶以外の証拠が無い。

 まさかの記憶違いも考えられるので、おいそれと迂闊な報告はしたく無かった。

 部外者である僕らが、王国を担う人達の関係を掻き乱すわけにはいかない。


 そもそも虎人族とヴォルクの狼人族はあまり仲が良くなく、獣人国の王が虎人なのにも狼人は不満があるらしかった。

 その両族の架け橋としてネルとヴォルクは許婚となったみたいだけど、正直名前だけの許婚という感じで、両者にそれらしい交流は無い。ヴォルクにも本当に結婚する意志があるのか不明だけど、口だけは頻繁に出すようだ。


 王様も、ネルが本当にイヤなら許婚は解消させるつもりらしいけど、この関係のおかげで、狼人との対立が減ったのも確からしい。

 ようやく良い関係になりつつあったというのに、突然ヴォルクが激高したので驚いてるとのこと。


 この全ての繋がりを考えて、やはりヴォルクには何かあると思っている。



「ん? 待って、何か変な音が聞こえるわ!」


 リンの『超感覚(スーパーセンシティブ)』が、何かの反応を捉えたようだ。

 もちろん、僕には変わった様子は分からない。恐らく、この世界で最高の聴力を持つ、リンだけが分かる変化だ。


「まずいわ、もう戦闘になってる! 早いっ、コイツかなりのヤツよ!」

「しまった、想定外だ! こんなに強引に来るなんて!」


 敵はもっと慎重な行動に出るかと思っていたんだけど、どうやら相手に取っても、もはや悠長なことは言ってられない状況らしい。

 ここまで大胆な手に出てくるとは……。


「僕たちも行こう!」


 急いで『空間裂狭邸館(コモド・アルベルゴ)』から出て、僕らも騒動の場所へと向かった。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 あの四獣士たちが警護に居るなら、そう簡単に危険な状況にはならないはず。

 そう願って僕らは現場に急いだけど、そこに居たのは、重傷を負った四獣士たちだった。

 彼らがこんなにあっさりとやられるなんて……。


「リン、侵入者の気配は1人なんだよね?」

「そのはずよ。でも、ちょっと人間とは思えないような感じだったけど……むしろ、魔物に近い気配だったわ」

「多分ネルを襲ったヤツだ! 人間じゃ無かったと言ってたのは本当だった!」


 僕は四獣士たちに回復魔法を掛ける。

 かなりの重傷なため、さすがに全快とまではいかないが、応急処置としては充分なはずだ。


「皆さん、大丈夫ですか?」

「うう、有り難う、助かった……」

「何があったんですか?」

「……怪物だ、怪物がネル様を攫っていった!」


 まずいっ、すでにネルは攫われていたのか!


「怪物は裏庭の方へ行ったようだが、王もすぐに追っていった。怪物とはいえ、ネル様を抱えては、そうは簡単に王からは逃げ切れまい。頼む、ネル様たちを助けてくれ」

「任せて下さい。すぐに追います!」


 僕らは裏庭の方へと急いだ。



 ◇◇◇



「な、なんなのコレ?」

「えっ、どっちが敵!?」

「よく見れば分かりますよ、虎柄なのは王様の野獣化(ビーストモード)です!」


 リンと麗子が驚くのも無理はなかった。

 何せ、僕らが裏庭に行ってみると、2mほどもある2匹の怪物(・・)が対峙していたのだ。ただ、一方の虎柄は傷だらけで、もう一方はネルを片腕に抱えている。


 虎柄の方は王様だ。

 確かに、一見怪物のように見えるが、よく見れば全身の筋肉が肥大化し、体毛がより長くなっただけの状態で、元は人間だというのはハッキリ分かる。

 破けているが服も残っているし、顔もそのまま王様だ。


 対してもう一方の怪物は、全身が完全に深い毛で覆われ、骨格自体も人間のそれでは無くなっている。

 衣服は一切身に着けず、顔も人間では無い。そう、突き出した顎と、大きく裂けた口からは、狼に似ているような……まさかこれがヴォルク!?



野獣化(ビーストモード)は獣人族の中でも、より野性が強い者が使える特殊なスキルで、戦闘能力が大幅に上がる技です」


 友美が王様の状態を説明してくれる。

知識の書(ラジエール)』の能力を持つ友美は、今までに得た知識を全て憶えている。

 様々な資料を読み込んだ友美の知識量は、この世界でも随一だろう。


「そして、王様の相手をしているのが……」

「『先祖返り』、つまり人狼(ワーウルフ)だ! ヤツがヴォルクだ!!」


 野獣化(ビーストモード)している王様が叫ぶ。


「ヴォルクよ、そんな姿をしていても私には分かるぞ! 正体がバレたお前はもう終わりだ。観念してネルを離せっ!」


 激しく人狼(ヴォルク)を恫喝する王様だけど、その全身の傷は浅くは無いようで、かなり呼吸を乱している。

 それは、ネルを抱えた不利な状況でいながら、人狼(ヴォルク)が一方的に王様を攻撃していたということであった。

 通常でも王様からは並外れた力を感じていたのに、野獣化(ビーストモード)の王様をここまで圧倒するなんて、人狼(ヴォルク)は一体どれほどの戦闘力を持つというのか。



「今はもう絶滅したと思われている人狼ですが、その力は、最強の魔族『吸血鬼(ヴァンパイア)』に次ぐと言われています。そして真の力を解放すれば、さらに上の存在にもなれるとか……」


 友美の説明が続く。

 真の力? ひょっとして、ヴォルクの目的は……。


「ふふん、そこのメスガキ、なかなか詳しいじゃないか。なら話は早いな。リオン王、お前の一族に伝わる『進化の秘薬(エクセリクシ)』を渡せ!」


「お前の目的はやはりそれだったのか」


「ここにあることは突きとめたのだが、宝物庫では見つからなくてな。ずっとチャンスを窺っていたんだが、さっぱりと場所が分からん。一体どこに隠した?」


「お前が最初にネルに近づいた時、万が一のことも考えて移動させたのだ。許婚を申し出たのも、これが目的だったわけだな」


「まさか移動されてたとはな……勘のいいヤツだ。アレは人狼のみが使える秘宝だ。お前が持っていても仕方あるまい。早く渡せ」



 ようやく話が見えた。

 絶滅同然の『先祖返り』人狼として生まれたヴォルクは、自分の真の力を解放するため、王様が持つ秘宝を狙っていたんだ。

 王様たち虎人としては、争いの種になりそうな『進化の秘薬(エクセリクシ)』を、狼人には渡したくない。万が一、人狼に渡れば、力関係は大きく崩れ、戦争さえ起こり得るからだ。


「ネルには利用価値があると思って殺さなかったが、正解だったな。こうして人質として役立ってくれるとは。本当は穏便に事を済ませたかったのだが、まあ仕方ないな」


 ネルが人質になっていて、僕たちも手が出せない。

 何より凄い闘気だ。能力解放(リベレーション)をしないと、全く相手にならないだろう。


「ふふん、そこのガキ、お前も動くなよ。お前が尋常でない強さなのはよく分かる。お前は覇王の存在だ。だが、オレが真の力に目覚めれば、お前すら敵では無いだろう」


 人狼が真の力を得れば、そこまでの存在になるのか?

 この駆け引き、一体どうすればいいんだ!?



「……ネルを離せ。お前が欲しがっている秘薬は私が持っている」


 王様が小さなビンを取りだした。


「肌身離さず持っていたのだ。ネルを離せばお前に渡そう」


「なるほど、探しても見つからぬはずだ。先にそれを渡せ。そうすればネルは離してやる」


「父さま、渡さないで! ネルはどうなってもいいのです、渡したらみんな殺されます!」


 ネルが必死に叫ぶ。

 確かに、ネルの言う通りだろう。ヴォルクが大人しく従うとは思えない。

 きっと真の力を手に入れたら、この場の全員を皆殺しにするだろう。


「どうしよう、ヒロ?」

「一か八か、ネルを手放した瞬間に片を付ける……しか無いかも知れない」


 主導権はヴォルクにある。

 秘薬を手に入れたら、本当にこのまま去ってくれる可能性もある。手に入らなければ、ネルを殺して逃げてしまう可能性だってある。

 僕はただひたすら、ヴォルクの隙を待つだけだった。



「……分かった、秘薬を投げる。それと同時にネルを離せ、いいな!」


 とうとう王様は決断した。やはりネルを見捨てることなど出来ないようだ。

 やっと目が見えるようになったのに、こんなところでネルを死なせたくは無いだろう。もちろん、僕も同じだ。

 僕は細心の注意を払って、この駆け引きを見守る。



「そらっ!」


 王様が秘薬を投げる。しかし、やはりヴォルクはネルを離そうとしない。

 受け取る時に、どうか隙を見せてくれ!


「ふははは、ようやく手に入れたぞ! これでもうオレに敵は無い!」


 受け取ったヴォルクはすぐさま小ビンを握りつぶし、中に入っていた粉のような物を飲み込んだ。

 その間、ネルの首に手を掛けたままで、一切隙を見せようとはしない。


「卑怯だぞ、ヴォルク! 早くネルを離せっ!」

「そうよっ、もう目的は果たしたんでしょっ!?」

「目的を果たしただと……? オレの本当の目的はこれからだ!」


 ヴォルクの薄黒い体毛が銀色へと変わる。身体はさらに一回り大きくなり、筋肉や爪が硬質なモノへと変わっていく……。

 これはもう別の生物だ。あのセクエストロから感じたような、異界の存在となっている。

 これが人狼の真の姿……!



「クハハ、神への昇格は終わった。あとはお前ら下等生物を殲滅するだけだ!」


 まずい、やはりヴォルクは最初から約束なんて守る気は無かった!

 僕は能力解放(リベレーション)をする。だがこの距離では、ネルを救うことは到底出来ない!

 頼む、ネルを離してくれ……!


「まずはこのネルから殺してやる。役に立ってくれて礼を言うぞ」

「待てっ! せめてネルだけには手を出すなっ!」


 僕は慌ててヴォルクの元に駆け寄る。しかし、とても間に合わない。

 ネルの首を掴むヴォルクの手が握り潰される…………その瞬間!



 周りの全てがスローになり、まるで時間が止まったような感覚に襲われる。

 そしてあの声が僕の頭に響き渡る。



「サーヴァント候補確認、リンク致しますか?」



 これは……?

 リンク? ネルのことなのか?

 どうしてネルが……?


 いや、迷う必要なんて無い。この力はいつも僕たちを救ってくれた。

 僕はサーヴァントの承認をする。そして間髪を入れず、ネルに『勝利への騎行(アポストルグローリー)』を掛ける。

 間に合ってくれ……!


勝利への騎行(アポストルグローリー)転身(チェンジ)獣女神(ヴァルトラウテ)!」




「な、なんだコレはっ!?」


 ネルの変化にヴォルクが驚愕する。

 首を握り潰そうとしたネルが突然光り出し、そしてなんと大きくなり始めたのだ。

 12歳程度の身体付きだったネルが、20歳くらいの容姿へと変わっていく。


「気味の悪いヤツめっ、死ねっ!」


 恐らく、ヴォルクは一気に首を潰そうとしたのだろうが、そのヴォルクが激しく吹き飛ばされた。

 ネルの放った肘鉄がその原因だが、僕でもほとんど見えなかったほどだ。


「馬鹿なっ! 虎人がこんな変化をするなど聞いたこと無いぞ!? それにこの力……一体何が起こっている!?」


 攻撃を喰らった腹を押さえながら、ヴォルクが苦しげに言葉を吐く。


「ヒロ、これって……!?」

「もしかして私たちと同じ力?」

「ネルさんも仲間になったということ?」


 リン達が驚くのも無理は無い。

 今までこの力は、リン達以外には発動しなかったのだから。

 何かの条件をネルは満たしたんだと思う。



「もう許さないですよ!」


 大人の身体へと変化したネルが、光り輝く神の装備を纏って、ヴォルクへと向かっていく。


「小娘が! 神へと昇格したこのオレに勝てると思っているのか!」


 体勢を立て直したヴォルクが応戦する。

 僕もネルに加勢しようと、駆け出す姿勢を取ったのだけど、その戦闘に思わず見入ってしまった。



 強い……!

 銀狼の怪物となったヴォルクを、なんとネルが圧倒している!



 ヴォルクは弱くは無い。それどころか、凄いスピードだ。

 速さだけなら、あの怪物セクエストロ以上かも知れない。

 その神速を持ってネルに襲い掛かるが、しかし、ネルには一切当たらない。


 まるで『超越者の目(デウスプレディクト)』と『思考加速(スロービジョン)』を持っているかのように、ネルの動きは神業的だ。

 ヴォルクの重厚で、そして目に留まらぬ攻撃を軽々と躱し、ネルはヴォルクを殴り続ける。

 その速さたるや、僕以上と言っていいかも知れない。


「おおネル……? これは一体どういうことだ?」


 王様も驚いている。

 そしてヴォルクも、この状況を一切信じられないようだ。

 何せ、長い間念願としていた真の力を手に入れて、いざ自分が無敵になったと思ったところに、このネルの変貌だ。

 とても思考が付いていかないだろう。



「ちょっ、あの、ネルが強いのはいいんだけど、少し納得出来ないところが……」

「ですよね、私もコレはちょっと気になります」


 ん? リンと友美が変な顔してネルのことを睨んでる。

 確かに大人になってビックリしたけど、何が納得出来ないんだろう?




「なんでおっぱいあんなに大きくなってるの!?」×2




 え~……そこでしたか。

 2人ともこの緊迫した状況で、なんとも悠長なコト言ってますね。


 ……まあ確かに、ネルの胸が凄いことになってるんですけどね。

 あまりに胸が揺れて、見ているこっちがちょっと恥ずかしいほどなんですけどね。

 麗子以上ですね、アレは……あーリン達が変なこと言うから、僕まで気になってきたじゃないか!


 こんな事を考える余裕があるくらい、ネルとヴォルクの戦いは一方的で、もうヴォルクは立っているのがやっとの状態だ。

 もしネルが短剣でも持っていたら、とっくに決着は付いていたと思う。



「これでとどめですーっ!!」



 ネルの強烈なパンチが決まりヴォルクが倒れた。

 見たところ、ダメージで倒れたというよりも、もはや戦意喪失と言った感じだ。

 ヴォルクの変身が解け、通常の姿へと戻っていく。


「……殺せ。このオレの願い求めた力が、こんなに脆弱なモノだったとはな……」


 ヴォルクが大の字に倒れたままに、力無く呟いた。

 自分が心から追い求めていた力に絶望したのかも知れない。



 しかし、ヴォルクはちょっと勘違いしている。

 ヴォルクが得た力は、間違いなく世界最強クラスのモノだ。僕が戦っても、きっと楽には勝てないだろう。


 これは相性の問題だ。

 恐らく、その速さが真価となるヴォルクにとって、それ以上の速さを持つネルに対抗する手段が無かったのだ。

 ネルは速いが、攻撃は軽い。セクエストロと戦ったら、ネルではロクにダメージを与えられないだろう。



 ヴォルクは衛兵達に連れて行かれた。

 この場での処刑はされず、正式な場で裁かれるようだ。


 ネルは元の姿に戻り、王様へと抱きついた。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「ヒロ殿、このご恩は一生忘れないぞ」


 あのヴォルクの事件から三日。

 僕らは無事全てが終わったことを確認し、この獣人国を出発することになった。

 王様が僕の手を握り、感謝の言葉を述べながら送迎をしてくれる。


「ネル、気を付けて行くんだぞ。皆さんに、あまり迷惑を掛けないようにな。……ヒロ殿、ネルのことを宜しく頼みます」



 あの時のネルの変化のことは、王様にもネルにも説明した。

 するとネルが、僕たちと一緒に行きたいと言い出したのだ。

 王様は少し心配したけど、ネルが自分で決めたことを尊重したいみたいで、喜んで送り出すことにしたようだ。


「ネルをお預かりします。絶対にまた連れて戻りますので、王様もどうかお元気で……」


 僕らは獣人国をあとにした。



◇◇◇



「ねえ、そういえば気になってたんだけど、なんで変身モードでネルだけ胸が大きくなるの?」

「そうですよ、私とリンさんは小さいままなのに」

「小さいってのは余計よ、友美!」

「ひょっとして、ヒロ君の願望が変身モードに出るんじゃないの?」

「願望って、麗子ってばナニ言ってるのよ!」

「あ、勇木君の願望が小さい胸なら、別に私小さいままでもいいんですけど」

「えっ、そうなのヒロ!?」

「ぼ、僕? 僕は別に気にしたこと無いけど……」


 なんだこの話題?


「ま、まあ、ヒロがこのままでイイって言うなら、あたし別に大きくならなくても……ごにょごにょ」

「私も、勇木君の好みに合わせますよ」

「ということは、ヒロ君は私とネルには巨乳でいて欲しいってことなのね?」

「えっ、そうなの!? なんか納得行かない……どういうコトなのヒロ!」

「私たちは貧乳枠ということなのでは無いでしょうか。色んな大きさの胸を楽しみたいという、勇木君の心の奥の願望が出たとか」


 え~っ、そんな願望、僕持って無いよ! ……多分。



「あの~、ネルの身体のことでしたら、いつでも大きくなれるですよ」

「えっ?」

「えっ?」

「どういうこと?」


 突然のネルの発言にリン達が驚く。


野獣化(ビーストモード)ですう!」

「えええええええええっ!?」


 ネルの身体がムクムクと大きくなり、あのセクシー獣娘になった!

 ネルも野獣化(ビーストモード)が使えたのか!

 要するにあの時大きくなったのは、『勝利への騎行(アポストルグローリー)』の影響では無く、力を解放した時のネルの姿なのか!


 そういえば、改めて思い返してみると、王様もネルの身体については特に驚いていなかった。

 あの輝く装備と、ネルの凄い力に面食らっていただけで……。



「ま、待ってネル! こんな……いつでもこんな凄い身体になれるの?」

「改めて見ると、これは凶器ね……とんでもない肉体だわ」

「12歳でコレなんて、犯罪ですよ!?」

「えっ、ネルは12歳じゃ無いですよ?」

「ああ、12歳くらいなのかなと思ってたから……」

「え~、ネルは16歳ですよ?」



「16歳~っ!?」



 なんと、ネルは僕たちと同じ歳だった?

 さすがにこれは僕も驚いた。だって、どう見ても中学1年生以下という感じだったし。


 野獣化(ビーストモード)になったネルは、緩やかにウェーブした薄茶色の髪が腰まで伸び、友美よりも低かった身長は僕と同じくらいになっている。

 少女だった顔は美しい大人の表情へと変わり、そして胸は大きく、身体付きにも丸みが出て、今までに見た誰よりもセクシーな女性となっていた。


「えへん、ネルは16歳だから、これくらいセクシーなのは当然なのです」

「ま、待って待って、あたし今パニックになってる!」

「大変よ……この身体で裏忍法なんて使われたら、ヒロ君だってイチコロ……」

「勇木君の心の願望とか関係なく、ネルさんがこんなエロエロボディを持ってたなんて……!」


 まあこれで、ネルの変身の謎が解けたわけだ。



「ヒロ様、ネルの野獣化(ビーストモード)褒めて欲しいのです~っ!」


 うひゃっ、ネルがいきなり抱きついてきた!

 む、胸がっ、ちょっ、コレ凄い……!


「待ってネル! もうヒロとくっついちゃだめーっ!」

「そ、そうね、これはちょっと見過ごせないわ」

「子供だと思ってたから許してましたが、もはや甘い顔は出来ませんね!」

「えー、なんでですかー?」


 リン達が無理矢理ネルを離してくれた。

 いやー凄いクッションでした。



「改めて、これからも宜しく、ネル」

「はい、よろしくなのですー!」



 余談だけど、5人以上のパーティーになると、『四者の強固な結束ユニオンスクエア・セレモニー』の効果が切れて経験値の取得が少なくなるはずなんだけど、今回ネルが加わってもその効果は切れなかった。

 以前ネルと一緒にモンスターを倒したら、『四者の強固な結束ユニオンスクエア・セレモニー』の効果が発揮されずに経験値は少なかったんで、恐らく『サーヴァント』になったのが影響しているのだろう。


『サーヴァント』は誰でもリンク出来るわけじゃ無いので、ネルが選ばれた理由があると思うんだけど、今は気にせずにみんなで戦っていこうと思う。



 さあ、次はエルフの里に行こう!


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