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異世界で第二の人生を歩みます!  作者: 尾木 愛結
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 領都アスカムにある大神殿にて、豪華な結婚式が執り行われてから三年の月日が流れた。


 私は二十二歳になり、ブラッドは三十六歳。

 長男アーネストは五歳の誕生日を迎え、次男クリフォードは二歳、そして長女クローディアは生後三か月である。


 娘クローディアが誕生した事により、この世界の不思議が増えた。


 アーネストとクリフォードは、ブラッドの青銀色の髪と紫紺色の瞳を受け継いで生まれたのに、娘のクローディアは私の髪色と瞳で生まれたのである。

 それと同様にブラッドの弟アーチボルドと、その妻スカーレットの間に生まれた娘も同様だった。

 クリフォードと同じ年に生まれたマーガレットは、父親と同じ青銀色の髪だが、瞳の色は母親が持つ群青色の瞳で生まれたのである。


 ――もしかして男児しか受け継がれない色?


 おそらく髪色よりも瞳の色が、血統を示す重要度が高いのかもしれない。


 どの世界でも、娘は他家へ嫁ぐのが一般的な考えである。

 他家へ嫁ぐという事は、その嫁ぎ先の家名を名乗るという意味だ。


 しかし、息子は家名を継ぐ存在。

 他家から嫁いで来た相手と子を成し、次代へ引き継がなければならない。


 この世界では髪と目の色が代々引き継がれてきたもの――という事だろう。


 貴族家が嫁と妻に男児を望んでいる理由が、ここにきてようやく理解した。

 男系でなければ受け継がれない瞳の色。


 かつて青銀色の髪に紫紺の瞳を持った娘が、十数代前に一度だけ誕生した記録がある。


 ――そういえば、ブランシェは十数代前に誕生した、悲劇の末娘の事を奇跡と言っていたよね。


 女の子の場合、当主家の色で誕生するのは奇跡という事だ。


 性別によって持つ色が変わるというのも面白い発見である。

 ただ――性別による魔力に差はないけれど、スキルに関しては性別によって左右されるらしい。


 ブラッドと結婚する前に、公爵夫人としての教育を受けていた時に学んだ事の一つ。

 やはり独学には限りがあるのだと痛感したものだ。きちんとした専門の教師に学ぶと、要所要所を的確に教えてくれるので、とても分かりやすい。


 ――めっちゃスパルタだったけどね!


 一年という婚約期間を設け、その間に足りない部分を補うべく教育が実地された。


 私が特に泣きたくなったのは、淑女としての立ち居振るまいとダンス――それに言葉使い。

 敬語なら使い慣れているが、お嬢様口調というものは言い回しが難しいのだ。


 ――まるで京都弁みたいな?


 相手へストレートに言葉を伝えるのではなく、遠回しな表現で言葉の裏にある端々に意味合いを乗せるといったもの。


 勿論、私も相手から告げられた言葉の裏を読まなければならない。

 これが難しくて理解するのに時間がかかる。

 しかも手紙も同様なのだ。


 ――幼い頃から当たり前に育てば、私でも言葉の意味を読み解くのは簡単だったのだろうけど。


 十八歳で始めるには、淑女教育のハードルは高い。


 本当に幼い頃から少しずつ学ぶ事って大切だと思う。

 ある程度の年齢からだと覚えきれない部分も出て来る。


 やはり――全てにおいて基礎は大事なんだと、改めて痛感したのだった。


 つか、貴族って怖い。

 マジで理解するのが難しい。


 ブラッドと結婚した事で、ようやく淑女教育が終了した。

 結果は――まあ、敢えて言わなくても良いだろう。


 現状も大公夫人と義理母に言葉を言い直される事はあっても、そこまで問題発言をしていないので大丈夫らしい。

 あくまで家族間では許容範囲という事だ。


 これが社交界でやらかした場合、公爵家の尊厳に関わる大事に発展する事も有り得るらしい。


 ――やっぱり貴族って怖い!!


 私は病弱設定なので社交界への参加は、必要最低限という免罪符が保たれている。


 万が一、私が茶会や夜会へ参加する事態に陥った時、一言も口を開くなと指示を受けた。

 夫婦同伴の場合だと、全てブラッドに会話を任せて、私は彼の隣に寄り添うだけで良いらしい。何なら少しフラついたりといった、小芝居があれば十分だと言われている。


 実際は病弱ではなく、この世界の常識不足なので!


 そして今日は朝から公爵夫人としての執務と、子供三人の相手をさせられて、まだ午後を過ぎた時間だというのに既にぐったりだ。

 公爵夫人としての仕事というのは、主に三人で行う執務作業がメイン。


 三人というのは、義理母エスメラルダ夫人、義理妹スカーレットと私。

 分かりやすく表現するなら、エスメラルダ夫人が作業の進行を取りまとめる指揮者だ。

 私は帳簿の整理や使用人の給金を計算する実務担当、スカーレットは資料をまとめたり私の補佐をする役回り。


 ここで作業したものは全て当主の執務室へ流れる仕組み。

 最終判断をするのは全権を握る当主の役目らしい。


 要は当主に負担をかけない為に、嫁いできた妻たちが夫の秘書や事務員みたいな作業を行う。


 今は三人で執務を行っているが、近い将来――次男のフレドリックが結婚した場合、彼の妻となる女性もこの場に加わる。

 補足として追記するなら――城の管理は筆頭執事のアレックスが担い、使用人の教育は家政婦長アガサの担当のようだ。


「今日は何もしたくない」


 五歳児と二歳児の子供を相手にするには、体力がなければ無理な話だ。


 私は三か月前にクローディアを産み、まだ体が万全ではない状態である。

 さすがにワンオペな育児ではないが、私は出来る限り子供と接して一緒に過ごしたいと思っているのだ。


 アーネストに関しては、ブランシェに一任しているという自覚はある。

 現在二歳のクリフォードは、母親に甘えたいお年頃。


 まだ父親のブラッドより、私の傍の方が良いらしい。

 五歳になったアーネストは、私よりブラッドや彼の兄弟と一緒にいる方が刺激があって楽しいようだ。そして完全なブランシェっ子に育っている。


 生まれた時からブランシェが傍にいるのと、時には人型になって母親のように接しているから、余計にアーネストはブランシェに懐いているのだ。


 何はともあれ――私は現時点で二人の男児を産み、娘を産んだのだから公爵夫人としての責務は果たしたと言える。

 公爵家の後継者問題は解決しているだろう。


 ブランシェは三人の子供たちに囲まれて、とてもご満悦な様子だ。

 三人の子供というのは、アーネストとクリフォード、そしてマーガレットを意味する。

 クローディアは寝たきりの時間の方が長い。


 この時期は本当に手がからない。

 ミルクを飲んでお腹が満たされたら、すぐに寝落ち。

 まだ起きている時間の方が短い。


 私は起きている時間だけ子供の面倒を見る程度で、ほとんどの世話は家政婦長やメイド長がメイン。

 子供の見守り定点カメラっぽい魔道具を作り、子供の傍を離れていても様子が分かる仕様なのだ。


 公爵家に勤めている使用人を信用していないわけじゃない。

 子供というのは予測不可能な生き物なのだ。


 だからこそ子供部屋の様子は、アスクウィス冒険者都市の家でも分かるようになっている。見守り定点カメラは各部屋に十個ずつ設置。そして映像を映すモニタもどきは公爵家の私室と寝室、そして執務室。


 アスクウィス冒険者都市の家には、店内とリビング、そして寝室の三か所に設置済みだ。

 いつでも子供部屋の様子が確認できるので安心感もある。


『アンジェリア、後もう一人くらい産みなさい』


 ブランシェは相変わらずアーネストにべったりだが、マーガレットの魔力も負けないようだ。

 当然だが、クリフォードとクローディアの魔力も好みらしい。


「聖獣様のご要望だ。いつでも協力しよう、奥様?」


 ブラッドがブランシェの言葉を聞きつけ、私を引き寄せて抱きしめる。


「父上、母上を独り占めにしないで下さい」


 五歳になったアーネストの口調は、しっかりお兄さんになった。


 ――舌足らずな口調も可愛かったけれど、これはこれでアリかも。


 幼い子供のボーイソプラノは耳に心地が良い。


 私の中ではブラッドの声が理想そのものだけど、自分の子供の声はまた別である。


「アーネストは聖獣様を独り占めにしているだろう? それにお母様は、俺の愛する大切な人だ。たとえ自分の息子でも、お母様を譲る気はゼロに等しいな」


 人前でも気にせず唇を奪う行動は、さすがに大人気ないと思う。


 現在は昼下がりの時刻。

 午後のお茶を楽しむ為に、家族団欒で過ごしている最中だった。


 アシュベリー家の人間が勢ぞろいである。


 祖父母の大公夫妻、義理の両親となった公爵夫妻――まだ公の場では、義両親は公爵のまま。

 大公夫妻が健在なので、義両親の呼び方が「ややこしくて面倒だから」という理由らしい。

 当分は公にするのを先延ばしにしている状態である。


 お茶を給仕をしてくれるメイドや侍従、そして執事が待機しているのは当たり前の光景となった。

 彼らをいない者として振舞うのも貴族だが、お茶を入れ替えたり焼き菓子を皿に盛りつける時に、彼らの存在を認識して用を言いつけるのも貴族の立ち位置である。


 ――これだけは慣れないなぁ。


 それと家族の前で平気で行う過剰なスキンシップ!


 海外でよくある頬や額、それと手にキスする行為は甘んじて受けても良い。


 だが、しかし!

 唇へのちゅーは如何なものか?


「母上は父上よりも、僕と一緒にいる方が、お顔がとても穏やかです」


 私の感情がアーネストにバレている!?


「それから、クリフといる時も笑顔でいます」


 ――ちょっと待って! え? 何? 私って、そんなに分かりやすいの?


 それは別にブラッドを避けているのではなく、夜の営みへ流れないように阻止しているというか。

 私はブラッドのように体力があるわけではない。


 魔法で身体強化をすれば解決するのだろうけど。

 寝る時に身体強化をするのは躊躇われる。


 ――こっちがノリノリで、彼を受け入れているように見えるのがイヤなだけ。


 まだ五歳の息子だけど、私の複雑な女心を分かって欲しい。


「それは――お前たちが、まだ幼いからだ」


 彼の口調から伺えるのは、私の複雑な気持ちをブラッドは理解しているのだ。


 もしかして――私の反応を見て楽しんでいる!?

 中身は私の方が彼よりも年上なのに、男女間のアレコレに関しては経験値が低い。

 おそらくソレが敗因となっている。


「母上は父上だけのものじゃないです。僕とクリフに母上はひつようなんです」


「ママはクリフのそばに、いてくりぇりゅの?」


「お父様は私の夫だけど、貴方たちは私の可愛い息子。ずっと一緒よ」


「ほら、母上だって言ってるじゃないですか。父上はおうぼうです」


 ――なんだろう、こういう父子の言い争いも萌えるなぁ。


 アーネストは五歳になって少し顔が整ってきたが、改めて見てもアンジェリア似だ。

 女の子の恰好をさせたら、完全に性別を間違えられるだろう。


 ――いやいやいや!! 駄目! 絶対に駄目!


 アーネストの女装姿は一度でも拝んでみたい気持ちはある。

 あああああ――だけど!!! 


 確実に犯罪の匂いが濃くなる行いになるのは、私の勘違いではない。

 この世界にも幼児趣味な変態が存在するので、見目の良い子供を持つとそういった心配が付きまとうのだ。


「ブラッド、貴方は父親の自覚があるのかしら? 幼い息子に大人気なくてよ」


 祖母のマーセイディズ大公夫人が、溜息交じりに言葉を漏らす。


 彼の母エスメラルダ夫人は、微笑まし気にブラッドとアーネストの二人を見つめている。

 おそらく過去の記憶と重なって見えるのだろう。


 このサロンの壁には、代々の当主一家の肖像画が飾られている。

 その中の一つに、小さい頃のブラッドが描かれたものがあり、幼い頃の彼は可愛かった。彼らは四歳ずつ年が離れているので、その絵に描かれているブラッドは八歳くらい。


 私が目にした家族の肖像画は、三男のアーチボルドの誕生を記念してのもの。

 それで当時のブラッドの年齢が八歳だと推測し、次男のフレドリックが四歳だろうという事だ。


『その男が傍にいる限り、アンジェリアの子が増えそうね』


 ブランシェは生後三か月のクローディアに寄り添いながら、毛づくろいをしていた。


 些細な言葉でブラッドがその気になったら大変である。

 クローディアを産んで三か月は過ぎているが、まだ体は本調子ではない。


 私が産後という口実で、ブラッドとレスの関係を続行しているのだ。


「ブランシェ、何を言っているのかな?」


 ――お願いだから、ブラッドをその気にさせないで!


 私は誰にも聞かれないように、ブランシェに念話を送る。


 ブランシェは私の念話を聞いているのに、どこ吹く風だ。

 この際だから、はっきり言わせて貰う。


 その気になったブラッドは、性欲魔人といっても過言ではない!


『あら、ふふふふ。アンジェリアは面白い事を言うのね』


 ブランシェは面白がって、私にブラッドを焚きつけている可能性が高い。


「アンジェ、言葉使いが違うよ。もう一度、淑女教育を受けるかい?」


 ブラッドに言葉使いを指摘され、ぐっと言葉に詰まる。


 彼に続いてマーセイディズ大公夫人、そしてエスメラルダ夫人が加勢する。


「そうね、アンジェリアは気を抜くと、言葉使いが元に戻ってしまうのよね」


「次に言葉使いを注意されたら、アンジェリアに罰を与えるのも悪くないわよ。ブラッド、貴方はそういうのが得意だったわね」


 二人の思いがけない加勢に、ブラッドは満面な笑みを浮かべた。


「ええ、勿論です。祖母上、母上」


 不意にブランシェの視線が、スカーレットの方へ注がれている。


 じっと彼女を見つめた後、ブランシェの視線が僅かに下がっていく。

 スカーレットの腹部あたりに視線を止めているのを見て、ブランシェが何かを感じているのだろうと推測する。


 おそらく私の勘は当たっているだろう。

 ブランシェが何も告げないなら、私も黙っていた方が良い。


 ――ます先に、今夜のブラッドへの攻防を考えなければ!


 私が心の中でそんな事を考えていると、ブランシェがこの場にいる全員に届くような念話を発した。


『次もクローディアとマーガレットに負けないくらいの、素晴らしい魔力を持った娘が良いわ。わたくしの希望は女の子ですけれど、男の子でも構わなくてよ?』


 これは面白がっているという比ではない。

 本気で炊きつけているのだ。


 ――ブランシェって、そんなに子供好きだったの!?


「アンジェ、聖獣様の許可が出たよ」


 ほら!


 ブラッドがその気になってしまったじゃないか!

 どうしてくれるんだ!?


 明日の朝は絶対に起きれない。


「まあ、ふふふふ。夫婦仲が良いのは素晴らしい事だわ」


 大公夫人が、私とブラッドを微笑ましい表情で見つめている。


『スカーレット、貴方は二人目ね! 次は男の子のようだわ』


 更にブランシェが爆弾発言を投下した。


 やっぱり、スカーレットが懐妊しているという推測は間違っていなかったのである。

 いきなりブランシェに指摘されたスカーレットは、驚きのあまりパニックに陥ってしまった。


 アンジェリアは彼女と同じ年齢だが、中身がアラフォーの私なので年相応のスカーレットが可愛く見える。


「え? え? わたくしが二人目?」


「まあ! スカーレット、第二子よ。男の子の名前を考えなくてはね」


 新たな命の誕生に、私たちは喜びを隠せなかった。

 家族の団欒を優先する家庭に嫁げた私は、本当に幸せ者だと言える。


 自分を大切にしてくれる夫、そして可愛い子供たち。

 何より一家総勢で守ってくれる家族がいる事、それだけで心が温かくなるのだ。





 私の生活は概ね変わらない。


 アスクウィス冒険者都市にあるサンドイッチ店「ブランシェ」も、週二日の営業日だが続けている。

 営業の方向性だけは変えておいた。


 テイクアウト専門店なのは同じだが、完全予約制にシフトをチェンジ。


 冒険者ギルドのギルド長と魔道具店の店主は、この店の売り上げを占める上客だ。

 四人パーティを組んでいる冒険者ギルドの受付嬢アーリンも、店の売り上げに貢献してくれる大切な顧客である。


 今年に入ってから、アバネシー区とボートン区の二つのエリア代官だったバーレイ子爵が、不正と横領の罪で代官の任務から解雇された。

 

 バーレイ子爵家の罪はそれだけではない。

 長男アルフィーは実力でC級冒険者になったわけじゃなく、他人が狩った魔獣を横取りして得た経験値という。まさに冒険者精神を冒涜する行いをしていた。

 この地の代官を務めている子爵家という立場を利用し、女性冒険者や一般人に対して無理やり体の関係を強いるといった事を、彼はずっと繰り返していたのである。


 ――平民の立場だと拒めないよね。


 長女ブリジットは社交の場で虚言の噂を流し、挙句の果てに私を陥れようとした罪が暴かれた。


 私に実害はなかったけれど、義母とスカーレットが茶会へ出席する度に、ブリジットが広めた不愉快な話を聞かされてウンザリしていたらしい。

 ブリジットは女遊びが大好きな弟アルフィーを唆し、私をブラッドから引き離す為に良からぬ事を計画していたのである。


 その計画が実行されていたとしても、無事に遂行されず頓挫していた可能性は非常に高い。

 私の冒険者ランクはA級ではあるけれど、実力ならSS級に匹敵するのだ。他人の獲物を奪ってC級に上がっただけの能無しに、私に危害を与えられるはずがないだろう。


 それよりも、その情報って何処から仕入れたものなのか。


 ――つか、未然に防ぐのって凄くない!?


 バーレイ子爵は当主と子供二人が仕出かした罪により、代官職を解雇されたのち爵位剥奪で平民落ち。そのまま三人は仲良く永久強制労働者へと身を落としたようだ。


 それに関与していなかった妻と次男の二人は、当主が横領していたお金で生活を送っていたのだから、本人が知らないとはいえ状況は変わらない。

 ただし情状酌量で妻は修道院へ、次男は神殿に身を置く事が決まった。


 新たな代官となったのは、三男のアーチボルドである。

 領主一家の三男坊が新しい代官になった事を、その地にいる全員が喜びに溢れていた。


 次男のフレドリックは騎士団に身を置いているが、元々は代官といった職業に向いていなかったらしい。アーチボルドの方が、書類仕事や代官といった職業に向いているそうだ。


 アーチボルドが新しい代官になって、この地の風通しが良くなった気がする。


 私がアンジェリアとして目覚めてから、もうじき六年が過ぎていく。

 日本人だった久保田杏珠としての生は潰えてしまったけれど、アラフォーから十五歳の少女に生まれ変わって、毎日とても充実した日々が送れている。

 以前の記憶を持ったままなので微妙な所でもあるが、この世界は私の第二の人生とも言えるだろう。


 温かく広い心で見守ってくれる家族――私をこよなく愛してくれる夫、それに可愛い三人の子供たち。

 私は大好きなこの地で、大好きな人たちに囲まれて元気に生きて行きます!

 






―――  END  ―――


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