現天界の貴公子 VS 元天界の貴公子
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(*˘︶˘*).。.:*
真白は咄嗟に駆け寄り、
紡の傍へ膝をつく。
真白
「しっかりしてください、紡!」
返事はない。
血の気の引いた顔。
浅く、か細い呼吸。
真白の胸が強く締めつけられる。
真白
(そんな……紡……)
震える手で紡の身体を抱き起こそうとした、
その瞬間――。
澪斗
「真白様!今は動かしては駄目です!」
側にいた澪斗が真白の腕をそっと掴んだ。
澪斗
「僕が治療します。
ですから落ち着いてください。
僕は龍神一の治癒師ですから。」
そう言う澪斗の声は落ち着いていたが、
その胸の内には、激しい焦りが渦巻いていた。
澪斗
(……駄目だ、落ち着け。
脈はある。
だけど傷が深い……。
急がないと。
焦っても紡を救えない。
まずは治療に集中できる状況を作る。)
澪斗は静かに息を整えると、
震えそうになる手を押さえながら紡の脈へ指を添えた。
傷の深さ、呼吸、脈拍。
一つひとつを瞬時に見極めると、
澪斗は紡の脈を確認したまま一瞬だけ視線を上げる。
周囲では激しい戦闘が続き、
一瞬たりとも気を抜ける状況ではない。
澪斗は迷うことなく指示を飛ばした。
澪斗
「蒼!紡を治療している間守りを頼む!」
蒼は紡の横顔を見つめる。
苦しげな呼吸。
血の気を失った顔。
胸の奥から、
怒りが込み上げる。
蒼
(……紡、
澪斗が治療終えるまで、
誰も指一本触れさせない。)
蒼は拳を強く握り締め、
その瞳に揺るぎない決意を宿した。
蒼
「……任せて!
澪斗と紡は蒼が絶対に守る。
だから安心して治療に集中して!」
蒼は力強く頷くと、
澪斗たちの前へ躍り出る。
燃え盛る蒼焔が、
蒼の決意に応えるように激しく揺らめいた。
澪斗は続けて真白へ視線を向ける。
澪斗
「真白様は結界をお願いします!」
真白は一瞬だけ目を伏せた。
先程取り乱した自分を思い返す。
真白
(戦いの最中に、
冷静さを失ってしまったなんて……)
真白
「……すみません。
澪斗さん、ありがとうございます。」
そう小さく頭を下げると、
真白の瞳に再び静かな光が宿る。
真白
「僕の結界は、
簡単には破られません。
だから安心して、
紡の治療に集中してください。
……紡を、よろしくお願いします。」
澪斗は静かに頷いた。
澪斗
「……必ず助けます。」
真白は胸の前で両手を重ね、
深く息を吸う。
震えていた指先が、
紡を守るという決意とともに静かに落ち着いていく。
真白
「守護の理――結界展開」
眩い光が澪斗と紡を包み込み、
強固な結界がその場に展開された。
蒼も真白も力強く頷く。
その背中へ、
炎の粒子を纏った火の童子が威勢よく声を張り上げた。
火の童子
「蒼!
こっちはアタイに任せて、
真白達のこと頼むで!」
蒼
「うん!
絶対に誰も近づけさせない!」
その喧噪のただ中で、
琥珀は静かに目を細め、
前線の一角を見つめていた。
その瞳がとらえたのは、
琥珀
(……あれが噂の白い狐の真白……成る程、
確かに今まで生まれた同族たちとは違う)
著莪
「……貴方の顔など、
二度と見ることはないと思っていたが……
考え事とは随分余裕ですねっ!
雷鳴の理――雷」
琥珀が真白へ意識を向けた、
その一瞬を逃さず、
著莪が鋭く踏み込んだ。
著莪の手から放たれた護符が、
青白く発光したかと思うと、鼓膜を裂くような重低音とともに猛烈な稲光が走り、一直線に琥珀の体へと襲い掛かる!
眩い雷光が視界を染めるなか、琥珀は顔色ひとつ変えず、優雅とさえ思える身のこなしでそれをかわす。
焦げ付く空気の向こう、
その口元に酷薄な笑みが浮かぶ。
琥珀
「これは、随分懐かしい。
天界の貴公子様と現世で再会するとは、
私はまた、
昔のように茶でも勧められるかと思いました
天界の皆様はお変わりなくお元気ですか?」
著莪
「奇遇だね、
私も元天界の貴公子に会えるとは、
思ってもいなかったよ……
お茶は誘えないけどね。
まさか禁忌に落ちた後に災禍の神と
共にしていとは……
どこまで豊穣神様を、悲しませたら気が済むの?」
琥珀
「……著莪、
その言い方には語弊がありますね。
……貴方達は何も知らないでしょう。
あの日、
神々は一柱として、
私の声を聞こうとはしなかった。
悲しませているのは、
むしろ豊穣神のほうです。
先に私を失望させたのは、
豊穣神や神々の方で――」
琥珀が言い終える前に著莪の剣が琥珀に振るわれる。
ガキンッ!!
すんでの所で受け太刀した琥珀は刃越しに著莪と睨み合う。
著莪
「豊穣神様だ……様をつけろ!!
むしろ、禁忌に落ちた者が気安く呼ぶな!
この愚かものが!」
ガキィィン!!
著莪の剣が鋭く振り抜かれる。
しかし琥珀は腰の剣を静かに抜き放ち、
火花を散らしながらその一撃を受け止めた。
キィンッ!
互いの刃が激しく擦れ合い、
甲高い金属音が森に響き渡る。
琥珀
「貴方は昔から変わりませんね。
護符と剣技が得意で、何でもそつなくこなす。
ですが……肝心の実力の方は……
うーん、どうでしたかね?」
カンッ!
キィン!
カンッ!
キィィン!
著莪は返す刃で連続して斬り込み、
琥珀は剣一本で次々と受け流す。
火花が散り、
甲高い金属音が絶え間なく響き渡った。
著莪
「安心してください。
今日、嫌でも思い出させてあげますよ。」
最後までお付き合いいただき、
ほんとうにありがとうございます!
次回もお付き合いいただけたら幸いです。
(人´∀`).☆.。.:*・゜




