~過去から今へ~
ケイトは泣いた、今まで堪えていたものを吐き出す様に泣いた。
「ふふっ、ごめんね。ここ濡れちゃったね笑」
ダニエルの胸元がしっかりと濡れてた。
「良いよ、落ち着いたか?」
「うん。」
「あのさ、俺、本当はケイトも俺と同じ気持ちだったら、ケイトを連れて逃げても良いと思ってたんだ。捕まるかもしれないけど、、、」
「ダニエル、、、」
「だけどさ、ケイト、かっこよかったよ」
「えっ?」
「真摯にガーディアンとして守護膜の補強をしているケイトはかっこよかった。こんなに格好良く頑張ってるケイトに追われる生活させたらダメだと思った」
「ダニエル」
ケイトは自分が頑張ってきた事がダニエルに認められて嬉しかった。
「だからさ、ケイト、俺待ってるよ。ケイトがガーディアンとしての役割が終わって村に帰ってこれるまで。
10年でも、20年でも笑」
「えっ?そんな、そんな事したら、、、ダニエル、家庭が、ダニエルの負担が大きいよ!そんな事、、、」
「負担じゃない、ケイト、負担なんかじゃないよ。
今回、ケイトに会って、改めて思ったんだよ、ケイトに傍にいて欲しいって」
「傍にって、私は傍に居られないじゃない」
ケイトは首を横に振った。
「ケイトが傍に居れる様になるまでは、俺が王都に居る。なるべく傍に行く。だから、ケイト、ガーディアンとしての役目を終えたら、俺の傍に帰ってきて?」
ケイトは、首を横に振ることしか出来なかった…
「その後、私はダニエルの意思が硬いことを説得されて、とりあえず了承したんです」
ケイトは懐かしそうに目を細めて笑った。
「ダニエルの人生を犠牲にする様でとても嫌でした。
それからの私は今まで以上にガーディアンの依頼を積極的に受けました、なるべく辺鄙な村の依頼を。」
「えっ?早く村に帰りたくてガーディアンの仕事にやる気がなくなったのではなくて?ですか?」
「ダニエルがかっこいいって、言ってくれたんですよ?待ってるって、言ってくれたんです。かっこ悪いところは見せれません。」
「それに、塔から堂々と出ていけるのは転移陣の無い場所に行く時だから、塔から出る時には、私も馬車の中からダニエルを探しました笑」
「私は単純だから、ガーディアンの魔力にも保有量があって、こなせばこなす程減っていってくれるのでは?って、たぶんそう思いたかったんですね笑」
少しケイトは顔を伏せて
「でも現実はなかなかそうはならなくて、2年、3年と経ちました、、、途中、何度もいつまで、いつまで?と思う気持ちも年々強くなりました。
でも、ダニエルが変わらずに見送る人達の中に居てくれるんです、、、嬉しかった、、、
でも、たぶん私の心もギリギリだったんだと思います」
ケイトは伏せていた顔を上げて
「ある日、夢を見たんです。」
「夢を?」
「はい。夢の中で話しかけられたんです。」
『ケイト、ガーディアンとしての力は貴方を苦しめてますか?』
暖かく優しい声にケイトは話しかけられた。周囲は何もないが暖かな光に満ちていた。声のする方を振り返ると、眩い光の中に人の輪郭が見えた。
ケイトは瞬時に膝をつき、手を胸の前で組み、頭を下げた。
『ケイト、顔を上げて。ガーディアンの力は貴方を苦しめるものでしたか?』
「違います。誇りある、護りたい人を護れるとても素晴らしい力です、力ですが、、、」
『そうですか、ケイト、そう言ってくれてありがとう。
ケイト、今まで良く頑張ってくれました。多くの人々が貴方に助けられた事でしょう。』
『頑張ったケイトの願いを叶えましょう。その力を私に返して下さいね』
光の主が優しくも暖かく威厳のある声でケイトにそう言った。
「!!!」
ケイトは目から膨大な涙が出てきた。
「ありがとうございます。ありがとうございます。すみません、すみません、本当にありがとうございます」
『ふふふっ、そんなに喜ばれると複雑ですね笑』
『ケイト、今まで良く頑張りました。これからは待ってる人と力を合わせて前に進んで生きなさい。幸せになるのですよ。』
そう仰り、辺りから光が消えた。
ケイトが目を開けると、窓から明るい陽射しが入ってきていた。
「朝、、、夢、だったのね」
夢でも、ケイトは心が暖かく満ちていた。
「頑張らないと!ね、」
ケイトは誰に言うでもなく呟いた。
ケイトはずいぶんスッキリした気持ちでいた。
その後、ガーディアンの依頼があり、今回は第2副都市の位置にある少し大きめの街という事で、今依頼受けていなく、出動出来るガーディアンほぼ全員参加する事になった。
塔から出て王都の門に向かう馬車の中から、ケイトはダニエルを見つけ心の中で(いってきます)そう呟いた。
今回はゴールドランクが指揮を取り、街を8地点に分け各地点にガーディアンを5人ずつ配置した。
街の真ん中にある鐘楼に指示役のカーディガンが登り、全体の様子を見る役目だった。
合図で一斉に補強に入った。
ケイトもその中の1人だ。
だがいつまで経ってもケイトから魔力が立ち上る様子がない。
5人の内のリーダー格に声をかけられる
「ケイト、どうしたの?始まったわよ?」
「ありません」
「えっ?」
「魔力がありません。何も感じないのです。」
「なんですって?」
(ケイトは驚いていた、いつもの様に胸の前に魔力を集めようとしたが身体の中から何の反応もないのだ。まるで最初からそこには何もなかったかの様に何の反応もない)
「何も?」
「はい、何も、、、です。」
リーダー格のマロンは驚いた様な信じられない様な顔をしたが、瞬時に
「いいわ、ここわ4人でします。貴方は鐘楼に居る、アーミー様に報告して」
「はい。かしこまりました。申し訳ありません、よろしくお願いします」
ケイトはそう言い残し、鐘楼に向かった。
心臓は信じられない位バクバクしてた。
(まさか、あの夢は正夢?本当に光の主様が現れてくださった???想いを聴いてくれたの?)
ケイトは急ぎ馬車で鐘楼に向かった。各地で補強を始めた仲間の魔力が立ち上るのが見えた。
「綺麗ね」
ポツリとケイトは呟いた。
願いが叶ったのかもしれないという想いと、これで私の役目は終わったのね…という何とも形容しがたい想いが胸に広がってきていた。
鐘楼に登ると、アーミー様がケイトが来た方角を真剣な顔つきで見つめていた。
ケイトはスグに声をかけれずに、同じ様に見つめていた。
(何とか4人でも大丈夫そうだわ。補強が始まってる。少しマロン様の負担が大きいかもしれない)
「大丈夫そうですね」
アーミー様はいつの間にか、ケイトに視線を移しそう呟いた。
「はい。マロン様の負担が少し大きいかもしれませんが」
「そうですね。まぁ大丈夫でしょう」
アーミー様はその紅玉の瞳でケイトをじっと見つめると
「魔力がなくなりましたか?」
そう仰った。
ケイトは全てを見透かさせれている様な気持ちになったが、正直に答えた。
「はい。」
「何も?」
「はい、何も感じれません」
「ではその件は戻ってから教会の検査も含めて確認しましょう。今は貴方も一緒に進捗を確認しましょう。何かあれば私が出ます。その際には貴方が皆の進捗を確認して下さい。」
「はい。かしこまりました。」
それからしばらく無言が続く。
そして、じっと皆の進捗を見守っているアーミー様が仰った。
「ケイト、最近夢を見ましたか?」
「はっ、はい、、、」
「光の主様が現れましたか?」
いつも読んで頂いてありがとうございます!感謝(ㅅ´ ˘ `)




