2カラス拾いました。
多分、カラス?
でも、こんなにメタリックな輝きだったか。
爪とかもこんなに鋭くないはずって、観察してる場合じゃねぇや。
とりあえず、上着を脱いでカラスを包んで抱き上げる。
さすがにほっとけないよな。
不吉だとか言われるけど、神様の使いって側面もあるし、なによりここで見捨てたら後味が悪い。
怪我をしてるみたいだし、まずは川探しだな。
抱えて歩くこと数分。
無事に川にたどり着いた。
川の流れは穏やかで、水は透き通っていて綺麗そうだ。
一口だけ水を飲んでみる。
おかしな味はしないから問題ないだろう。硬水っぽいから気持ち飲みにくいけど。
「汚れ落とすから、しみても我慢しろよ」
言葉は通じてない気もするが、一応声はかけておく。
カラスの怪我をしている部分に水をかけて、汚れを落としていく。
大きな怪我はしてないみたいだけど、擦り傷とかかすり傷が目立つ。
馬車にでも巻き込まれたのか?
「ガララ、ガララ」
水がしみるのか、冷たすぎるのか堪えるような声を出す。
あまり思うように動けないらしいカラスは、ピョンピョンとスズメみたく移動する。時折、どこかが痛むのかじっとしている。
そうこうしているうちに、あたりがオレンジ色に染まり始める。
夏仕様の服じゃ、この時間は寒くなってくる。
ちなみに、カラスは飛んでく様子もなく、自分が包まれていたオレの上着の上で丸まっている。
「さすがに寒い。どっか暖のとれる場所ありゃいいけど」
寒さに右手で左肩近くをさする。
「ガララ」
カラスが鳴いて振り向けば、小枝を咥えてオレの前に置く。
近くにあった小枝をカラスは少しだけ集めて、同じところに置いてわずかに山ができる。
その行動を見ていると、カラスは俺に向かって鳴いた。
「ガラ、ガララ」
「え〜と、集めろってことか」
困惑しつつ呟けば、カラスはそうだとでも言いたげに一鳴きして、オレの上着の上で丸まった。明らかに巣の扱いだよ。
返してもらおうと手を伸ばせば、威嚇された。ちくしょー。
「枝、えだ。こんなもんかな」
カラスに言われるがままに、あたりから枝をかき集める。
集めたいいけど、道具も魔法もないし火なんて起こせないんだが。
「ガァ」
「へ⁈」
カラスが火の玉を吐いて、小枝の山に火をつける。
もしかして、こいつモンスター?
いや、この際ありがたいと思うべきだ。
これがただの鳥だったら、寒さに凍えるしかなかった。
カラスに感謝だな。
ありがとうございました。




