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狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子  作者: 雛仲 まひる
ちょっと? 九尾3人娘イラストそろい踏み感謝際! ちょっと? 九尾な女の子 番外編&短編
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狼の御奉公っ ちょっと? 腐った女の子 (ちょっと? 九尾な女の子) その5

 えっ、えっ? なに? どうしたの急に知くんてば……。


「未美、俺な? お前のことが――」


「ちょっ! ちょっと待ってよ。……もしかして知くん?」


 知くんの口から発せられようとしている言葉を慌てて遮っちゃった。


 だってまだあたし、心の準備とか出来て――きゃっ! 待って、待っててっば……知くん。


 知くんがあたしの上着をズリ上げようとしている手を掴んで、慌ててそれ以上の動きを制した。


「知くん? あのね。もしかして知くんってば――」


「も、ももも、紅葉ちゃんっ……そんな……そんなところ舐めちゃヤダっ! ウチ、汗かいちゃってるし、そんでもってお風呂もまだだし……」


「そうね、だがそれがいい」


「ダメっ! そ、そこは……と、知泰にだってまだ舐めさせたげてないんだからっ。……それよりね? キ、キス、しれ?」


 あたしの知くんへの言葉を遮るように、部屋の外からは大神 紅葉と狐の怪しげな声が聞こえてくる。


 あ、あの2人ってば……なにしてんのかしら? 大神 紅葉の奴、ついに狐の貞操にまで触手を伸ばしたの?


「んん、……んっ、……らめっだってば……そんなところ……舐めないでっ」


「御姉様は、ここが弱いのね」


「……んっ、そこは……舐めちゃ、らめってゆったのに……」


 大神 紅葉さんっ! あんたいったいなにしてんの? もしかしてあんたってば、この物語を18禁投稿サイトの某所に移すつもりなのっ!


「も、紅葉ちゃん……キ、キス、キスしれってゆったもん。なのに腋を舐めるなんて酷いっもん。くすぐったいもん……」


 まさかの腋舐めっ!? フェチかフェチなのかっ! 腋フェチだったのあんたっ!


「大丈夫。ここなら御主人様もお許しになる」


「ら、らめぇーーーーっ! もう腋を舐めないでぇーーーーっ!」


 あの狐が本気で泣き叫ぶなんて……。大神 紅葉、恐ろしい子。



 大神 紅葉の恐るべきフェチズムを知って、油断していた隙に、知くんの手があたしのおっぱいに迫っていた。


「ちょっと? 知くん、ダメだってば、こういうことはね? もっときちんとお付き合いをしてから順序を追って進んでくれないと、あたしだって……」


 あたしは知くんが求めてくれるなら、なんだって応えてあげる覚悟は出来ている。だけれども、それは知くんが知くんであるときであって、こんな知くんのときじゃない。


「もしかして知くん? あたしの惚れ――」


「なあ未美? 向こうは向こうで盛り上がってるみたいだし、俺たちも……な?」


 だからっ! 「な?」じゃねぇーよっ! あたしの話を聞けって言ってんの!


 嫌だ、いくら知くんのことが好きでも、大好きでもこんな形で求められるのは嫌だ。


「ちょっちょっちょーーーーっと! 知くん? どこ触ろうとしてんのっ!」


 知くんの手はおっぱいへの侵略を諦めたのか方向を一遍し、今度はお尻の方へと向かってきた。


「んん? どこって未美。尾骨に決まってんだろ? この人間には無意味としか言いようのない、退化した尻尾の名残であるところの尾骨って最高だよな? この無意味さがたまらん」


 いや、それは人間のであって、あたしは人間の姿をしてはいるけど妖だし、それも現在進行形で尻尾付の妖、妖猫猫又だよ? 尻尾も現役なんだよーーーーっ!


「未美が尾骨が二つもあるんだな? そうか二尾の猫又だもんな?」


……知くん? もしかして尾骨フェチだったの?


「だったら美九音の奴は九尾だから九つの尾骨があるのか? それはまた剛毅だよな?」


 ……っ


「今度は美九音の尾骨も堪能して――」


 ダメっ! 今は……今はあたしが……あたしだけが目の前にいるんだから、他の子のことは考えないでっ! あたしだけを見てっ!


「――みたいもん……っん、んん?」


 あたしは知くんの言葉を封じるべく、首に手を回して知くんを引き寄せ、夢中で唇を重ねた。


 ほんとは、こんな形でキスしたくなかったな……。


 そのまま知くんの手があたしの背中に回って来て、ぎゅっと抱き締めてくれる。


 ああ、なんて幸せなんだろう……、もしこれが知くんの本当の意思ならどれだけ幸せなんだろうね?


「……み、未美。お前……やっとその気になってくれたのか?」


「知くん? もしかしてあたしが持って来た茸、食べた?」


「いいや、あんな怪しげな茸なんて口にするかっつーの!」


 えっ? だったら、だったら今のは正真正銘、知くんの気持ち? なの?


「茸は食ってないが未美が作り掛けていたクリーム煮を俺が引き継いで作ったから、味見はしたけどな」


 惚れさせ茸? 恐るべし! エキスだけでもこんなになっちゃうの? じゃあ狐は……。


「俺な? 未美、お前のことが好きだぞ。だからいいよな? 未美も俺のこと好きなんだろ?」


 そうだけど……。


 知くんに抱き締められたまま、心の何処かでは現状を拒否している。こんな形で大好きな知くんと結ばれたくはない。


 惚れさせ茸? を食べさせようとしたのは、あたしだけど、ほんの少しだけ知くんの優しさと愛情を独り占めしたかっただけ……。


 それが例え、偽りでも短い時間でなら優しく抱き締めて欲しかった。


 昔みたいに、膝の上に抱っこして欲しかった、喉元や背中、頭を撫でて欲しかっただけ。


 知くんの手があたしの上着を剥ぎ取ろうとしている。


「いやぁーーーーっ!」


 バシッ☆


 妖の力を解放し渾身の力で思わず知くんを跳ねのけて、頬に思いっきりビンタした。


「痛ってーーーーっ! なにも本気でビンタすることはねぇーだろっ!」


「なっ! なによっこの強姦魔っ! 女の子に手を出すなら、本気の気持ちで出してよねっ! 惚れさせ茸? の効力のままに操られて、あたしに手を出さないでっ」


「……ねぇーよ。 味見なんかしてねぇーよ」


 えっ?


「未美や紅葉が持って来た茸のことは俺、知ってたんだよ、実は。昔に姉さんに無理やり食わされたことがあったからな」


 ……飛鳥さん、弟になんてもん食べさせてるの!


「ついでに言うとな? あの茸、人間にはまったく効果ないぞ。多分妖にもな」


「えっ? でも狐は?」


 知くんが起き上がると、あたしの手を取って起こしてくれた。


 あたしは乱れたスカートの裾を直して、そのままとんび座りで唖然としていた。


「ちょっと来、未美」


 そういって知くんがあたしの手を引いて部屋を出てリビングの方へと向かった。


「お~い、美九音、紅葉、用意は整ってるか?」


「御主人様、もう少し」


「もうすぐ準備が整うから、あんたらは部屋でイチャイチャしてなさい。言って置くけどね猫? 少しだけ知泰を貸してあたげるだけなんだかんねっ!」


「そうよ猫。今日は特別」


 えっ? なに? なにがどうなって……」


 キャッキャウフフしていた大神 紅葉と狐が何時もの2人に戻っている?


「だそうだぞ、未美。部屋でもう少し待っていようか?」


「えっ? あっ、うん……」


 


 知くんと繋いでいるままの手を引かれて部屋に戻った


「未美、猫の姿に変化してくれないか? もう少し時間が掛るみたいだから、少しの間だけ昔みたいに、お前と転寝がしてぇーな」


 昔みたいに……かぁ~。


 別に変化しなくても添い寝くらいはしてあげるのに……。


 あたしは黒猫の姿に変化した。


 着ていた服の中から、もそもそと這い出てベッドに横になっている知くんの顔の傍で体を丸めて目を閉じた。


 知くんが丸めたあたしの背中を撫でてくれる。昔みたいに……。




 暫くして目が覚めた。どうやらあのまま本当に寝てしまったらしい。ふと周りを見渡すと隣で寝ていたはずの知くんの姿はない。


 あたしは変化を解いて人間の姿に戻った。


 勿論、この瞬間は素っ裸。もしここで知くんが入って来たら、悲鳴でも上げてやろうかと、きちんと折りたたまれているあたしの服に手を伸ばして袖を通した。



 残念というかホッとしたというか、知くんは来なかった。


 着替えを終えて部屋を出ると、盛大なクラッカーの発破音で出迎えられた。


 部屋には手作りの装飾が飾られ、天井から吊るされた久寿玉が割れる。


「ハッピーバースデー猫っ! 今日は10月23日、あんたが17年前の今日、人間界に生まれた日よ、まあ手続き上のことだけど一応、祝ってあげるから感謝しなさいっ」


 狐……あんた。


「まあこれは狼が言い出したことなんだけどね……」


 顔を真っ赤にしてプイッとそっぽを向いて狐が言った。


「ほんとは知泰を一日だけ貸したげようかとも思ったけど、あんたがその凶悪なおっぱいで知泰を誘惑しそうだったから、狼を一緒にいさせたわ。でも狼も知泰を誘惑しそうだし、ウチも急いで帰って来たげたの感謝してよねっ」


 そこは感謝しないわよっ! どうせなら最初のプランにして欲しかったわっ!


「そう、私グッジョブね。御姉様に奉公が出来た」


 ……あたしはきっと今、狐に摘ままれたみたいな顔をしてるよね? 猫なのに……。


 あっ! いいんだこれで正真正銘狐に摘ままれたんだから。それに……狼にも。 


「来いよ未美。今日はお前が主役だ。好きな席に座ってもいいぞ」


 知くんが手招きをしてくれ、あたしは知くんに近付いていく。


「ちょ、ちょっと未美さんっ!」


 何の躊躇も無く、あたしの一番の特等席である知くんの膝の上に座った。


「どこでも好きなところに座ってもいいんでしょ?」


「……」


 狐と狼が怖い顔をして睨んでるけど気にしない。


「あ、ありがと、……みんな」


 あたしは照れくさくて俯いたまま、お礼の言葉を述べた。


「おい未美」


「な~に知くん?」


「俺の膝の上に座るのはいいけどさ」


「いいけど?」


「刺さっても知らんぞ」


「なにが? ……きゃっ! お尻に固い物が当たってるっ! これってまさか……」


「んん? 知泰の何があたってるの猫? 面白そうね? ウチも刺さってみたいかも」


 狐……初心って何気に罪よ。


「御姉様、猫が言っているのは御主人様の〔ぱきゅ~ん〕よ」


「てへぺろ。いやこれは違うんだって! 男なんだから仕方ねぇーんだよ。未美っていい匂いがするし、柔らかいし……言って置くが万が一、刺さっても事故だからなっ!」


「いいよ、刺さっても……でもそのときは事故の責任とってくれるよね? 知くん?」




 もうすぐ冬が訪れる。


 炬燵こたつが恋しい季節の少し前のとある日に起きた、あたしの大切な想い出の日のことだ。



 終わり。

ご拝読アリガタウ。


次回もお楽しみにっ!

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