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狐の嫁入りっ ちょっと? 九尾な女の子  作者: 雛仲 まひる
season2 第二章 なんてこったっ! 嫁と姉ちゃんが修羅場ってるんですけどっ
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なんてこった! 嫁と姉ちゃんが修羅場ってるんですけどっ 1

こんばんは。

雛仲 まひるです。

お待たせしましたっ!

ちょっと? 九尾S2 第二章です。


亀更新になりますがご容赦くだされっ!><

面目ないっ ORZ


ではでは楽しんでくださいねっ!><b

 新学期をまじかに控えた昼間の太陽は幾分優しく、暑さも気持ち程度やわらいだ気がする。夕方にはひぐらしが心地良い清涼感を運んでくる夏休みの終わり。


 そう今日は8月31日。ひと夏の甘酸っぱい体験もなにもくそもなかったまま長い休みが終わる日である。


 いやまあ、クソくらいはあったけどなっ! 思えば夏休みが始まって間も無く右腕に鬼を宿したもう1人の幼馴染みと鬼の襲撃を受け我が家が崩壊したもん……。


 嫌な思い出が強烈に印象深い夏休みを振り返りながら、それから暫くお世話になった久遠寺家が俺に用意してもらった部屋で荷物を纏めている。


 ――と。


「ねぇ?」


 眉を吊り上げ口をへの字にして、ご機嫌がとっても麗しくなさそうな美九音がとっても不機嫌な口調で尋ねてきた。


 本日の早朝、他人の迷惑も顧みず俺の姉であるところの七霧ななきり 飛鳥あすかが突如久遠寺家を訪れた。


 ほんとなんで俺の周りには、こうも早起きさんが多いんだ? 夏休みが始まった頃には5時半に人ん家に押し掛けてきた奴らがいた記憶があるんだが……。


 まぁそいつらは人というかあやかしなのだけれども……。


 嗚呼っ! 今思えば騒がしくて迷惑極まりなかったあの頃が懐かしいっ。><


 だがしかし過ぎた時を懐かしんでいても時が戻るはずもなく、長かった夏休みは終わりを告げようとしている。そんな朝に突如姉が訪れ九音寺家に居候中の俺を引き取りに来たと言った。


 そして姉の飛鳥が美九音の両親であるところの久遠寺くおんじ たまきさんと小五音ここねさんに挨拶とお礼を言いに行っている間に俺は半ば強制的に荷物を纏めさせられることになったんだ。


「知泰? こ、これどういうことっ!」


 俺が久遠寺家を出て行くことに納得いかないながらも、姉さんに破魔の護符で脅された美九音が渋々といった様子で荷造りを手伝ってくれている。


 ――のだけれども……。


 お決まりというかなんというか美九音が、その際に見付けた俺の愛読書を目の前にズラリと並べて、更にご機嫌を損ねた様子で口を尖らせ睨み付けて来た。


「ど、どうって? なにが……」


 今回、めでたく不幸にも美九音に発見され発掘された愛読書は俺の18禁秘蔵コレクションではない、ということだけいっておくとしよう。


 無論、そっちの愛読書も見つかってしまったのだが、美九音は18禁的秘蔵コレクションを見つけるや否や何時もの如く一通り、ど~んと落ち込んだあと気を持ち直して問答無用と言わんばかりに破り捨ててしまった。


 なんの悪夢だよこれ?


 特におっぱいの大きな女の子が載っている雑誌は、親の敵を前にしたような恨みを孕んだ鬼の形相になって破いていた。


 破られた雑誌に罪はないのに……。


 無論、思春期の俺にも罪はない。よな?


 そしてこれについては怒られるわれはないのだけれども、理不尽にもライトノベルの表紙と中身を読んだ美九音がこうのたまったのだ。


「な、ななな、なんでっ! あ、あああ、あんたが読んでいるノベルに登場している金髪ヒロインはみんな、おっぱいが大きいなわけ?」


 物語に登場する金髪ヒロインといえば乳が大きいと相場は決まとる。言わば黄金比ではないか、なにを今更言っとるんだお前は。


「ウチも金髪だよね?」


「そ、そうだったかな?」


 確か表現的には“蜂蜜色の髪の毛”ってなっているけれども、これってまあ金髪だよな? そうかお前って金髪ヒロインだったのか。


「ねぇ?」


「んん? な、なんだよ。ところでその金髪ヒロインであるところのお前がなんだって?」


「どうしてウチは金髪ヒロインなのにおっぱいが小さいわけ?」


 知るかっそんなもんっ! 


 言えば、言ってしまえば、お前は成長期におっぱいの成長に失敗してちっぱいなんだよっ。


 或いはこの物語を書いているエロ作者の好みなのかも知れんがなっ!


「ウザっ。なにまた「ぱい」の転置法? それマジウザイんですけどっ」


 そんなこんなで荷物を纏めていても、美九音の奴は不機嫌面でいちいち騒がしい。


 しかし、この騒がしい環境からいざ決別となると、それはそれで寂しさも感じでしまうもんなんだな? 美九音とは住む場所が少し離れるだけで、うんざりするほど毎日のように学校で顔を合わすというのに、顔を合わせば悪態を吐かれ理不尽や罵詈荘厳を浴びせられ喧嘩もなるというに……。


 だけど長年、家が隣同士で記憶を辿ればいつも美九音が傍にいた。なにも変わらないなにも変わってない隣同士で良く知る幼馴染みの女の子だと思っていた美九音は、いつのまにか異性の女の子へと知らない間に変化していた。


 俺の中で。


 もしかすると短い間の久遠寺家で居候生活で見た美九音のデレっデレぷりと見た目は派手で今時の等身大の高校生、だけど18禁的なことにはネンネの美九音とのおままごとみたいだった新婚生活をこんなにも名残惜しく感じている。


 不思議なもんだよ。


「ねぇ? ちょっと、なんでって聞いてんのっ」


 だから知らねぇーよっ! お前の乳の発育不良の原因なんてっ。


「そうねぇ~? ……ウチのおっぱいが小さいのは、あんたのせいね」


 なんでだっ! お前の脳内でなんでそんな答えが導き出されたっ。


「あんたのためにウチが、こんな代償を――」


「んん? お前が代償? なんのこっちゃ」


「そ、それは……別にいいじゃないっ! そもそも知泰がウチの成長期のときに頼んでも、ウチのおっぱいを揉まなかったからでしょ?」


 何度も言うけど、それ都市伝説だからなっ! それ。


「なら今から揉んでやろうか?」


「なっ! い、いいい、今からって……そ、それはダメ……かも」


 急激に顔を赤らめてとっさに胸元を両腕でガードする美九音。


 どうして以前は良くて、今はダメなの?


「ダメな理由を聞こうか」


「そ、それは……それは……。それはウ、ウチも、その……恥らうお年頃になったから……。それにママもパパもいるし……い、今はダメなの。そんなことしているところを見つかったらママに怒られちゃう……」


 と美九音は真っ赤になった顔をして上目遣いに見上げてくる。


 ダメだ。普段と違いすぎるこのところの美九音は反則的なまでに可愛い。俺の理性がもう持ちそうない。


「美、美九音っ! 俺……俺もう――」


 言葉より先に本能的に身体が動いた、その時――。


「ぐぇっ」


 シャツの襟首を背後から掴まれた。


「知? こんな昼間っからなに発情しているのかしら?」


「げっ! 姉さん……」


「ほら用意出来たら行きますよ。通学には遠くなりますが、隣町の建っている七霧の家が経営するマンションを手配しておいてあげましたから当面はそこで暮らしながら学校に通うと良いですよ。あと私も当面の間はともと一緒に住むことにしましたから、じっくり今後について話しましょうね」


「えっ? マジでっ! 姉さんも暮らすのっ」


「はい♡ 久しぶりに姉弟きょうだい水入らずでの生活ですね、知。嬉しいですか?」


 なんの冗談だよ? 俺の自由気ままな独り暮らしを返してっ。


「嬉しいですか知? お姉ちゃんと同棲です。表札も同姓ですね。新婚さんみたいですね」


 姉弟きょうだいで暮らすことを同棲とか言ってるんじゃねぇーーよっ! 


 姉さんが柔和な微笑をたたえている。俺といえば人知れず新婚さんになってしまっているのだが……。


「あっ! そのことなんで言っておかなければならないことがあります。知と美九音ちゃんの件なのですが、久遠寺のおじ様やおば様には言っていないようですね? そもそも言えるわけもないでしょうけど」


 そらそうだ言えるはずがない。


 人間界では結婚は成立していないし、そもそもそんなことを話したら美九音の正体がバレてしまうかも知れない。


 俺には美九音の正体を上手く隠しながら、きちんと経緯を説明する自信はない。


 もし美九音の両親が自分たちの愛娘が妖だと、九尾の狐だと知ったら、どんな思いをするのだろうか? 小さい頃から良く知っているたまきさんと小五音ここねさんに辛い想いをさせたくはない。


「それともうひとつ。ふたりの結婚は妖界の方でも成立はしていませんよ。あなたたちGEOが管理している妖住基に婚姻届を出していませんね? 人間界で人間の生活に溶け込んでいる妖たちはGEOで戸籍を発行して人間界に居ます。人間の法律の全てがそのまま当てはまっているわけではありませんが、基本的に夫婦になるにも同じく届けが必要なのですよ。届け出ていない以上、知と美九音ちゃんの婚姻は認められていません。ただし知と美九音ちゃんの挙げてしまった祝言が妖界で噂が広がり、波紋を呼んでいますが……」


 そうなの? まあ祝言や結婚云々については美九音が強引に強行しただけだから、別に驚きはしないけどな。


 しかし妖界で波紋を呼んでいるとなれば銀狐衆が言っていたことも気になってくる。妖狐の現当主が美九音を嫁にするとかなんとかのたまわっているそうじゃねぇーか? べ、別に妖同士だし同じ種属の妖同士だし、俺には関係が無いことだ。


 それに……美九音もその方が幸せなんじゃねぇーの?




 このときはちょっとだけ、本当にちょっとだけ不安を感じていたのだが、このあと俺の想像を遥かに上回るとんでもないバトルになろうとは思いもしていなかったんだ。


 To Be Continued

ご拝読アリガタウ。


次回もお待たせすることになると思いますが、お楽しみにっ!

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