C田さんの話 2
なぁ、この前俺が話しただろ?内側に金網のある家。
そこで事故があったんだよ!
帰宅中に近くを通ったら……たぶんまだ学生だと思うけど、身体のでっかい坊主頭の男の子とぶつかりかけたんだ。
危ねーな!って腹立ってたら、あの金網の家の方から「みきこちゃん?みきこちゃんなの?」って女の声がして、それから硬いものが激突する大きな音がした。
慌てて音の方へ走ったら、トラックが電柱に突っ込んで、そのすぐ側で女の人が倒れてたんだよ。
急いで救急車と警察を呼んでると、誰かがゆっくり女の人に近づいて来たんだ。
「お母さん」って言ってたから、娘さんなんだろうな。
娘さん、白いブラウスが汚れるのも構わず、母親の身体を抱きしめて「お母さん、私はここにいるよ」とか言うんだよ。
もう、俺、泣きそうで……
頼むからこの母親の命をなんとか助けてやってくれ!娘の前で死なせないでやってくれ!って、祈りながら救急隊に連絡するしかなかった。
母親は娘さんを見た途端、ガタガタ震え出して……そりゃ、怖いよな。
娘を残して死ぬかもしれないんだもん。
すぐに救急車が到着したけど、娘さんは開けっぱなしの玄関から家の中に入って、そのまま戻ってこなかった。
娘さんも、母親が死にかけてる姿は辛くて見てられなかったんだろうな。
大丈夫かなぁ。俺はとにかく母親の無事を祈ってる。
あんな優しくて清くて白い娘さん、悲しませないでほしいよ。




