恐怖(1)
ーリリーラ王国宮殿 汚れ払い会場
『アルティアの名の下に、汝に幸福が訪れることを……』
(アルティアとは、エルティアルより階級が上とされている女神である。女神の階級は下から順に、エルティアル<アルティア<メルティアとなっている)
私、ルーナ・ベルナットは、そう呪文を唱え20歳くらいの男性の汚れを払った。その男性は、慣れない仕事を始めたばかりで汚れが貯まってしまったと考えられた。
「あまり無理をなさらないでください。無理をなさりすぎると、体も悪くなってしまいますので、気をつけてくださいね」
と、私が言うと、
「そうですね。ルーナ様の言う通りだ。これからは無理しない程度に頑張ります」
「分かってくれたなら、良かったです。これからは、無理のない程度に頑張ってください。応援していますよ」
「ありがとうございます。ルーナ様に応援してもらっていると思うと、とってもやる気が出てきました。本当にありがとうございます」
「いえいえ。これから先、今よりも大変な事があるかもしれませんが、何かあればここに来ていただければ汚れを払いますので、是非来てくださいね」
「では、お言葉に甘えて、今度からはそうさせてもらいます」
そう男性は言うと、
「そろそろ仕事が再開するので、失礼します」
と言って、一礼して、汚れ払いの部屋から出ていった。
だんだん汚れ払いの仕事にも慣れてきたから、お母様のようにリリーラ王国に住んでいる民一人一人に目を向けられるように頑張ろう。と私は男性が部屋を出ていく姿を見て思ったのであった。
ー午後1時
「今日は人が多いわね」
「そうですね。今の時期は、若い人達が働き始める時期ですのでいつもより多いですね。ルーナ様も、魔力がなくならないように気をつけてください」
「そうね。午前中だけで沢山の魔力を使ってしまったから、午後は魔力がなくならないように気をつけなくちゃ」
「そうしてください」
今日は、いつもより汚れ払いに来ている人が多い。普段午前中だけであれば、汚れを払っている時間よりも、休憩している時間の方が多く、午後から沢山人が来始めるのだが、今日は休憩する時間が全くなくそれに加えて、午前中だけでいつも以上に魔力を使ってしまったので、午後に来る人の汚れを払うことが出来るか、不安になってしまうくらいだ。それに魔力が少なくなると、体が重くなってきたりするので、午後の汚れ払いは、しっかりと集中出来るように魔力の配分を考えなくてはならない。
「今日はいつもより人が多いから、休憩なしで頑張りましょう」
「承知しました。では、次の方をお呼びしますね」
このような形で私とユーリヤは、汚れ払いの仕事に励むのであった。
ー午後17時50分
「今日汚れ払いに来る人は、もういないかしら」
「いつも通りであれば、もう来る人はいませんが、仕事ですので最後まで頑張ってくださいね」
「そうね。今日もあと少しだから、お互い気を抜かずに頑張りましょう」
「そうですね」
私とユーリヤがそんな話をしていると、汚れ払いの会場の扉が2回、コンコン、とノックされた。私達は、こんな時間に汚れ払いに来る人なんて珍しいと思ったが、待合室で待っている人は誰もいなかったので、扉をノックした人を汚れ払いの部屋に通すのであった。
今回もリリーラ王国物語を読んで頂きありがとうございます。これからもリリーラ王国物語を見守っていただけると幸いです。




