ハジマリ
お久しぶりです。
男は目を覚ました。
何もなく、真っ暗で、すこし飾り付けられた椅子がある空間で。
男の名前は、田中正人と言った。
田「ここは…どこだ?」
田中は困惑した様子であたりを見渡す。
奥の方から1人の老人がやってきた。
?「目を覚ましたか。」
田「貴方は?」
?「私はメネラウス。君のいた世界ともう一つの世界の管理者…いわば君のいうところの神様だ。」
田「神様が俺みたいな奴になんのようですか?」
メ「君は残念ながら死んでしまったのだ。死因は…あまりにも酷かったから伏せておくがその時の記憶が飛んでしまうぐらいのものだった」
田「そうか…俺…死んじまったんだ」
メ「いささか信じられないかも知れないがな」
田「…でわざわざ神様と向かい合わせられてるってことはなんか話があるってことですよね?」
少し期待した様子で田中は視線を向ける
メ「まぁ話はある君が期待してる物とは程遠いと思うがな…」
田「それで話って?一体なんなんですか?」
メ「君には…とある作業の手伝いをしてもらう」
田「作業…ですか」
メ「簡単に言えば私の管理してるもう一つの世界に転生してもらいとあるものを集めてもらう。」
メ「(紋章)という代物なんだが…こいつをとある事情でもう一つの世界にばらまいてしまってかなりその世界がまずいことになってしまってな」
田「そいつは一体どんな感じのものなんですか?」
メ「人間にくっつきその者に世界をひっくり返すほどのパワーを与えてしまう。」
田「待ってください。まさか俺はそれを回収するためにそれを持った人間と戦ったりすることになるってことですか。」
メ「まぁそうなるな」
田「冗談も大概にしてください。俺普通の人間ですよ?そんな奴らと対峙したらすぐに消炭ですよ。」
メ「わかっとる。だから私が君にいくつかの贈り物をやる。一つ目はここにたった一つ残った紋章。二つ目は私がお前に取り憑いて加護をつける。具体的には魔力永久機関や武器召喚能力なのだな。おそらくこらだけあれば充分に紋章を持った連中とも渡り合えるはずだ」
田「まぁ…やるだけやってみますか。少し楽しそうですし」
メ「腹は決まったようだな。では転生するぞ。」
ーーーーー-------------------英雄。
それは誰もが望みなりたがる者。
けれども権利は平等ではない。なれる者は1人だけである。しかし、もし、全ての願望が叶ってしまったとしたら?皆がなれてしまったら?この物語はそんな世界のお話。
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田中は目をあけた。
目の前には、かつて自分が暮らしてたコンクリートの壁や道路がひしめき合うところからは想像しないほどの豊かな森が広がっていた。
田「もしもし?もしもし?メネラウスさん?聞こえてます?」
メ「バッチリ聞こえているぞ」
田「とりあえず…ここからどこへ向かえばいいんですか?」
メ「北西の方向から紋章の気配を感じる…おそらく君にも同一の機関を与えているからわかるはずだ」
田「あーなんか感じますね。かなりはっきり」
メ「とりあえず気配の感じる方に進んでくれ」
田「わかりました」
田中は森の中へ足を踏み入れた。
田「にしてもすごい森ですね。生まれてこの方見たことないぐらい立派ですよ。モンスターとかいるんですかね?」
メ「かつては様々なモンスターや人間が暮らしていたが…紋章を持った連中が好き勝手やったおかげで今はほとんどここに暮らしてるものはいない。」
しばらく歩みを進めていると目の前から物音がした。
?「ねーちゃんこっち!早く来て!」
?「わかってるわよ!」
緑色の皮膚を持ったゴブリンの姉弟らしき2人がこちらに向けて走ってきていた。
その後ろを人間の兵士らしき2人組が走ってくる。
兵1「待て!」
兵2「逃すな!」
田「ありゃ一体なんの騒ぎですか?」
メ「わからん。だがあまり穏やかではなさそうだな」
兵1「追い詰めたぞ!畜生どもめ!」
兵2「人間様に刃向かいやがって!大人しく働いてりゃいいものを!」
ゴ弟「しまった!追いつかれた!」
ゴ姉「あんただけでも行きなさい!」
兵1「感動のお別れか?残念だな、まとめて戻してやるよカスども!」
ゴブリンの姉弟は捕まってしまった。
田「あれって助けた方が良さげなんですか?」
メ「君に任せる。」
兵2「観念したか?ん?」
兵士は田中の方に目を向けた。
兵1「なんだ?お前も作業場から逃げたモンスターか?やれやれ…どうしてうちらの作業場はこうも脱走者が多いのかね?」
田「おいまて。俺はどう見たって人間だろ。そんなにひどい面してるか俺?」
兵2「おいおい冗談はそのハゲ頭だけにしとけよ。どう見たってお前の見た目はバケもんだろうが」
大笑いする様子で田中に話す。
田「はっハゲ頭?俺はまだ17のふさふさだぞ!人おちょくるのもいい加減にしろ!」
兵2「おちょくってるのはどっちだ。まぁいいこの森はミツザワ様のご領地だ。不法侵入の疑いで貴様も捕らえる。」
兵士は田中の腕に手をかけ、連れて行こうとした。
しかし田中は動かなかった。
兵1「お前反抗するつもりか?可哀想だな、大人しくしてりゃ怪我しねぇで済んだのになぁ!」
兵士の1人が田中に殴りかかってきた。
しかし田中は向かってきた兵士の鎧の上に蹴りをかました。
兵1「ぐはっ…思ったよりやるじゃねぇかハゲのくせによ」
兵士2人は剣を抜いて田中に向いて構える。
田「メネラウスさん。紋章?とやらの使い方を教えてくれませんか。あいつらぶっ飛ばしても構いませんよね?」
メ「紋章の使い方だか、基本的に相手をぶっ飛ばしたいと思ってイメージした通りに体を動かすといいぞ、あと奴らをシメる事に関してだが…まぁ多分大丈夫だろ」
田「なら…遠慮なく」
兵1「何をゴチャゴチャ言ってやがる!くたばれ!」
剣を向けてこちら側へ突っ走ってきた2人に対し田中は思いっきり手のひらを向けた。それと同時に地面から突如として巨大な手が出現し
2人をまとめてはるか彼方へ殴り飛ばした。
後々出てくる設定やらなんやらはここで解説していきます。