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童話についてアレコレ  作者: 七瀬みる


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39/39

写経:6

 あいかわらず修行がてら、あいまあいまにちょっとずつ、好きな童話の「写経」(書き写し&文字数確認)やってます。。

 今回も三本。



・安房直子「鶴の家」


 文字数的には、若干短めかもですが、アラウンドざっくり、個人的「節目」感の8000字の範疇かしら?


  文字数 7409 文字

  改行除く 7278 文字

  改行・空白除く 7189 文字

  原稿用紙 22 枚


 安房直子さん作品のマイフェバリットは、ながらく「きつねの窓」でしたが、それとタメをはる、いや、おしのける勢いで好きな一本。

 何度か読んでいますが、毎回、お皿が割れるシーンで鳥肌がたってしまいます。

 鶴はなにを考えていたのか。このお皿はけっきょくどういうつもりだったのか。復讐? 祝福? なんで? 解釈の余地が大きすぎて、わからないのですが……

 なぜだか意味不明なカタルシスが圧倒的なのですよねえ。


 フォークロアなどの場合、異類を殺すと倍返しのどえらいめにあうのが定番ですが、安房直子さんの場合、たとえば「エプロンをかけためんどり」など、多少の仕返し?はないでもないですが、倍返しというでもないですし、全体的には明るくコミカルで、最後もきちんとハッピーエンド。倍返しどころかある意味では(少なくとも子どもたちに対しては)さらなる恩恵をもたらしてくれるともいえるという……わりとパターンをはずしてくるケースもチラホラで。

 なので、本作の場合も、鶴を殺して、雰囲気的には、なにかフキツなことがおこりそうな気配をただよわせつつ――実際、解釈によってはあの皿に**されるというのは、こんなタイヘンなことなんだーといいはることもできるかもしれませんが、それはそれでどうもしっくりこない。

 最後はむしろ解放とか祝福とか……なんでしょうね、スゴイ。


 "めんどり"さんのほうの、「おひさまの国」は、異界・他界であり、つまり「あの世」といってもいいように思いますが、そのイメージ自体が、牧歌的なので……殺される=その牧歌的な他界におくられるだけ、ということなら、べつにウラメシくもなんともないというか……

 安房直子さんの作品って、いろいろな意味で「死」のハードルが低いのかなあ、と……最近、「死」の童話 https://ncode.syosetu.com/n7715ll/36/ とかもかんがえちゃってる当方としては、なおさら、興味深く思います。

 死との親和性が高い≒死のハードルが低い≒行き来がカンタン、ということであれば、身近に死が迫ってくるコワイ童話になることもあれば、他界とのこころあたたまる交流になることもあって……どちらにころぶか、その時しだい、なのかもしれません?


 本作の場合は、どちらなのか?


 とにかく、安易に決めてしまえない、わからない。そのぶん、よりいっそう、異界・他界の感触を濃厚に感じさせてくれる傑作。

 こんなもん、どーやったら書けるんだと、ただただボーゼンとするばかりなのであります。



・佐藤さとる「そこなし森の話」


 同じく個人的に「節目」を感じる5000文字。

 おなじ「節目」でも8000文字にくらべると、かなりコンパクトな印象になりますね。


  文字数 5035 文字

  改行除く 4941 文字

  改行・空白除く 4870 文字

  原稿用紙 15 枚


 佐藤さんには近代以前を舞台にした、創作昔話といったおもむきの作品(本人曰く「ちょんまげもの」)もいくつかありますが、そのうちのひとつ。

 現代を舞台にした作品に比べて、フシギ現象が起こしやすくはあるかもしれませんが、それだって、佐藤さんの定義でいうところの、あくまで「ファンタジー」であって「メルヘン」ではない――のではあるでしょうか?(境界はアイマイかもですが)


 本作の場合、森の存在そのものがファンタジー。ドラマ的な展開よりは、そのフシギの描写自体が眼目。その森で何をするか、というより、こういう森があるんだぜ、という……それだけといえばそれだけなのかしら?

 ある意味、設定の絵解きみたいなもので。一歩間違えば、説明的になってしまいそうなところを、退屈させない手際はさすが。なんで、これでちゃんとおもしろく、印象にのこる作品になるのでしょう? 佐藤マジック。ふしぎふしぎ。


 それにしても、佐藤さんって、わりとこういう魅力的な設定を考える名手ですよねえ。フシギ現象の紹介そのものが主眼みたいになっている作品は、以前、写経した「この先ゆきどまり」https://ncode.syosetu.com/n7715ll/33/とか、あるいは「水のトンネル」https://ncode.syosetu.com/n7715ll/31/、「魔法の町の裏通り」「角ン童子」https://ncode.syosetu.com/n7715ll/35/などなど、佐藤さんの短編のかなりの部分を占めているようにも思います。


 その設定を背景に、登場人物たちのボーケンを……と、当方などはすぐにセコいことを考えてしまいそうですが(笑) 佐藤さんの場合、そりゃあ、短編から長編が生まれることなども、たまにはあるのでしょうが、しかし、わりと短編一本それっきりにおわる場合も多く。後者の場合、物語的な展開よりも、フシギ現象のインパクト、ある意味、センス・オブ・ワンダー?が優先されているようにも感じられ、それはそれで好きというか。モッタイナイというよりは、ゼータクというべきなのかもしれません?



・あまんきみこ「ままごとのすきな女の子」


  文字数 1968 文字

  改行除く 1900 文字

  改行・空白除く 1854 文字

  原稿用紙 7 枚


 樹木の精みたいなのが、病気を治してくれる話、というと、僭越ながら当方も「さくらのてまりうた」https://ncode.syosetu.com/n8007ll/なんてものを書いたことがありますが、それがだらだらと10,558文字も費やしているのにくらべて、本作はわずか2000文字弱、てぎわのいいことおびただしいというか……どうやったらこんな短くうまくまとめられるのでしょうか。すごいなあ……などというのもおこがましいレベルで、かないませんな(泣


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