外周りの保全もお仕事の内
望まれるのであれば臨むだけ
VR遠隔アルバイト先でのお仕事の内容は一つとは限らずに、
利用者の移動支援等の身の回りのお世話ばかりだけではなく
施設のお手入れの補佐もまた視野に入れた物となっています。
まぁ中身は毎回違うだろうにしてもガワはロボットですもんね。
生活防水仕様なんぞはもはや当たり前で、メンテナンスも
ブロック感覚でパーツ交換も気軽に行える様にはなってるし。
衛生上の問題があるから外出用のパーツはその都度
とっかえではあるものの、少ないパーツ交換で
あっという間に園丁仕様のロボットに衣替え完了です。
むろんそこはあくまでもなんちゃってなので、本式の園丁用の
ロボットには敵わないんだけれども、草取り位ならば問題ない訳で。
頭部ユニットに差し入れな麦わら帽子を被っての出撃です。
業者さんに施設周りのお仕事全部お任せしてしまえば
楽そうなものなのですが、その分お金を嵩んでしまいますしね。
園丁用の道具だって人間用の物の流用でお安く済ませます。
チョキチョキサクサクと施設の庭いじりをしていれば
暇な利用者の方の目を牽く事もあれば、近隣の方の目にも留まり
宣伝効果もあるのだとか。流石に空間投影な広告は出ませんけれど。
そしてこの園丁中の動作がまた中々難しいんですよねー。
地面だって常にフラットじゃないしただ単に毟れば良い訳でもない。
一応雛形みたいのがあってそれに添う様に剪定とかしていくんですが。
いつか見本市で見たVR対応のシステムキッチンじゃありませんが
ここはこうやるというガイドが出ますのでそれをなぞってやるだけで
労力としてはそれ程苦になる訳ではないのは有り難いんですけどね。
ただやっぱり動作に個性が出るのか真面目にやってるかどうかは
傍目で見てて結構バレバレらしいです。査定には余り響きませんけどね。
たまーに失敗はしてもそこは遠隔操作ならではのご愛嬌という事で。
ふと斜め下から目線を感じてそちらを見たら、良く施設のお庭で
日向ぼっこに来ている何処かの家の飼い猫な雄の虎猫さんでした。
ちょこんと座って尾っぽをユラユラとこっちを見つつご機嫌そうですね。
彼らのお目当ては園丁中に飛び出してくるバッタやカエル等です。
狩りをやるのは彼らの性分なので仕方ないんでしょうが、まれに
獲物を捧げ物か何かの様に持ちこんでこられるので油断は禁物です。
ごろんごろんと転がってお腹を見せて来たり、なでれ。と
すり寄ってくる猫を適当にモフった後、作業が一区切り付いたら
次の剪定場所へと移動しては別な作業をしていきます。
しばらく作業をしたら「ピコン。ピコーン。」とお知らせポップが
眼の前に立ち上がって来ました。どうやら撤収のお時間みたいですね。
猫さんにバイバイしてパーツ交換場へといそいそと移動します。
刈り取ったり集めた草花の残骸はゴミ袋に纏めてゴミ置き場へ置いて
消毒とパーツ交換を済ませて施設内へのお仕事へと移行すれば後はOKです。
窓の外を見やればいつもの定位置で猫さんが寝入ってました。
使える機材は何でも使わないとね。道具が道具を使うのは非効率的なのかも知れないけれど、こういう使い方もあるのでは?って事で。




