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『神官』、苦笑

 全面戦争から一週間が経った本日。

 目の前で呆れたように溜息をつくそいつから、俺は静かに目を逸らした。


「何で戦う気のなかった三崎の方が僕より重傷なわけ?」

「の、ノリというか……瘴気にあてられたというか……」


 現在地、病院。

 全身を包帯でぐるぐる巻きにされた俺は、頬や額などにガーゼを当てた上川架月に、呆れたような目を向けられている。


「いや、三崎も言い出しっぺとして頑張ったんだろう。それはわかる」

「お、おう、どうも」

「言い出しっぺたち自身も予期しなかったことが起きたんだろう。それも何とかわかる」

「おぉう」

「だがしかし」


 だがしかし。

 そう言って、架月は俺の足元……散々泣きわめいて眠った弟三人を見て、もう一度溜息をついた。


「子供にトラウマを植え付けるのはどうかと思う」

「いや、俺だってそんな大怪我をするつもりはなかったぜ!?」

「……」


 じとり、疑いの目で俺を見る架月。


「ほ、本音を言う!」

「どうぞ」

「戦いは全部永峰さんに任せて俺は陰から見守るつもりでした!」

「参謀気取りか」


 ものすごく重いツッコミが来た。めげそうだ。


「僕もそうだろうと思ってたから、てっきり来ないと思ってたのに」

「いや、なんか全面戦争に関するチェーンメールが出回っててよ」

「へえ」

「これは言い出しっぺとしてじっとしてはいられまいと駆けつけた次第!」


 言い出した本人がのうのうと休んでいたら、それこそ恥ずかしい。

 俺は言ったことに責任を持つ男でありたい。


「やっぱり三崎って真面目だよね」

「不良のくせにとか言うんだろ」

「真面目なくせに不良だよね」

「逆説!?」


 不良のくせに真面目とはよく言われるが、逆は言われたことがない。

 架月はため息をつくと、呆れたように笑った。


「まあでも、今回は頑張ってたみたいだから許す」


 架月は俺の足元……眠っている弟たちの頭を軽く撫でてから、俺に背中を向けた。


「おい、架月」

「次にそういう戦いの予定ができたらさ」


 俺の言葉にかぶせるようにそう言ってから、俺の方を振り向いた架月は。


「今度は一緒に戦おうよ」

「へ」

「目の届かないところで大怪我されるより幾分かマシだ」


 じゃあね。

 ひらり、軽く手を振って、架月は病室を出ていく。


 どうやらこの全面戦争を通して、俺より架月の方が上という勢力図が完成したようだ。

 ……何てことだ。



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