↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
92/108

『審判』、起床

「……あれ」



 意識を取り戻して最初に見えたのは、見たことのない天井だった。

 記憶が多少、混濁している。

 俺はどこにいるんだっけ。


「よぉ、会長。お目覚めかいな」

「皇牙」


 視界を巡らせると、どうやら病院のよう。

 すぐそばの椅子に座っていた皇牙は、俺の顔を見るや、楽しそうに笑った。


「えらい目に遭ったなぁ」

「何があったんだっけ」

「三高で『極神』と戦って、最終的にはお互い貧血でぶっ倒れてんで」

「……あー……思い出した」


 そう。『極神』だ。

 屋上で戦っている間に、お互い血を流しすぎて。

 『極神』が倒れたところは見ていないから、俺が先に倒れたのか。


「『極神』は?」

「入院まではいかんかったみたいやな。さっき帰っていくの見えたで」

「マジかぁ」


 どうやら、完全に俺が負けたらしい。

 『最強』がいない中で、まさか後輩女子にそんな負け方をするとは、思いもしなかった。


「会長が『極神』と戦ってた辺りでな」

「ん」

「見たやろうと思うけど、そのまま三高で完全に全面戦争始まったもんでな」

「ああ……人がいっぱい来たなとは、思った」


 『極神』と戦っているさなかだ。

 視界の端で、見るたびに人が増えていくのを見た。

 思わず、笑ってしまうほどに。


「まあ、そんなこと、気にしてる場合でもなかったけど」


 そう言って、首を動かして窓の方を見る。

 いい天気だ。今日も、奇襲日和だったことだろう。


「強かった?」

「ん?」

「『極神』」

「……ああ」


 思い出す。

 意識を失う前に相対した、『極神』という存在を。

 どんなに血を流しても、どんなに疲弊しても、膝をつかない強さを。


「人を超えた存在。神の領域を、恐れ多くも極めた存在」

「……何、それ」

「『極神』の由来や。えらい大仰なもんやろ」

「確かに。……まあ、でも」


 確かに俺の前に『立ちはだかっていた』、あの姿。

 そうか。

 あれが、『極神』か。 


「彼女には、そのくらいの大仰さがちょうどいいんじゃないかな」

「ほんまかいな。ただの小柄な女子やったやんけ」

「それを言ったら和樹ちゃんだってただの小柄な女子だよ」

「あの子はおもろいからええねん」


 けらけらと笑う皇牙の声につられて、俺も笑う。


「で、どやった?」

「んー?」

「楽しかったんか?」

「……うん」


 楽しかった。

 非常に楽しかった。

 敗因が貧血であることが惜しくてたまらないくらい、楽しかった。


「今までで一番、楽しかった」


 機会があれば、また彼女と戦ってみたい。

 次の機会にはぜひ、槍を使っていただいて、あと自我を保っていただいて。


 もっと、話をしてみたいな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。