『審判』、迷う
「マジパネーっスよ。もうあいつにはケンカ売りません。二度と。誓って」
「同感、同感。本当、あの子にはケンカを売らないことをオススメする。うん」
「まあ、こういう感じで」
現在地、病院。
飛鳥に連れられて病室を訪ねた芹沢は、呆然とした顔で病室内を見回した。
『鏡像』・斉谷五咲、『踊子』・海原彩加。コンビならば二高で最強、と言っても過言ではない二人が、ズタボロの状態でベッドに横たわっている。
「マジっすか……ずいぶん手ひどくやられてますね」
「あ、芹沢じゃーん。いや、マジやべーよ、あいつ。ガチで」
「本当それ。ヤバいよ、もう何がヤバいかって言うと、超ヤバい」
「通訳してください」
助けを求めて飛鳥の方を見る芹沢。
飛鳥はと言えば、困ったように笑っている。
「どうやらこの二人、ちょっとした小競り合いで一高の子にやられたらしくて」
「一高の、子!? え、『最強』じゃなく?」
「『最強』なんて相手にするわけないじゃん、見つけた時点で逃げるわ」
「弱そうに見えたから油断した。反省はしている」
頬を膨らませ、不満そうな顔をする五咲。
無表情で、小さく溜息をつく彩加。
「誰にやられた?」
芹沢の問いかけに、五咲と彩加は目を見合わせ、同時に口を開いた。
「「一高の『極神』」」
その名前に、芹沢は眉根を寄せる。ちらり、東條の方を向けば、東條は小さく首を振る。
「俺も初耳だったんだよね。一高で強いやつなんて、『最強』以外いないと思ってたからさ」
「俺もそう思ってました」
「まあでも、あれから二年も経ってるし。一年坊主だった俺が三年になってるんだし。当然のように新入生も入学してるわけだけど」
苦笑を漏らしながら、飛鳥は困ったように頬を掻く。
「だから正直、俺はあんまり勝てる気がしてないんだよね」




