『審判』、思索
「なるほどね……全面戦争か」
「はい」
「まさか君がそんな話を持ってくるとは……予想外すぎてジュースこぼした」
「す、すみません」
「全面戦争ねー……楽しそうで素敵じゃん。一高に『最強』が現れてから、あまり派手に暴れられなかったからね。俺としては嬉しいよ。ありがとう」
そう言って楽しそうに笑いながら、くしゃり、男は缶を握りつぶした。
『審判』・東條飛鳥。
かつて『最強』が生まれた乱闘騒ぎにも参加した、二高最強と謳われる男。
「ちなみにだけど、君」
「あ、芹沢悠馬です」
「ああ、うん。芹沢くん」
「何でしょう!」
「当然その全面戦争は、勝つ自信があって受けたんだよね?」
飛鳥の問いかけに、芹沢は小さく首をかしげる。
「ええ、まあ、一応」
「じゃあ、君の思う二高最強メンバーって、どんな感じ?」
「最強メンバーっすか? いやいや、東條さんさえいれば楽勝でしょう!」
「いやいや、そんなわけない」
へらへらと笑いながら、飛鳥はひらひらと手を振る。
「正直な話、俺は『最強』に勝てない。二年前もあっさり負けちゃったからね」
「いや、でも東條さん、あれからめっちゃ強くなったじゃないですか!」
「頑張ったからね。でも、それはきっと向こうも同じことだよ」
自分が強くなった分、相手も強くなっているはず。
そんなことを考えながら、しかしなおも笑顔のまま、飛鳥は問いかける。
「だから聞きたいんだ。君が思う、『最強』にすら勝てる二高最強メンバーって、どんな感じかな」
二高最強。
芹沢は腕を組み、考えを巡らせる。
「あ!」
やがて何か思い至った芹沢は、笑顔で飛鳥の方を向いて、言った。
「『踊子』と『鏡像』のコンビなんてどうでしょう!?」
その提案に、飛鳥はしばらく目をしばたいた後、困ったように笑った。
「その二人、今、入院中なんだよね」




