表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/108

『極神』と『英雄』

 それは、昔々のこと。

 私自身がそれを覚えているわけではなく、後から聞いた話ではあるが。

 どうやら私は一度、心臓が止まったことがあるそうだ。


 親戚たちが語るのは、ふんわりとした、所謂あらすじみたいなことだけ。

 だから、私は私の身にいったい何が起きたのかを、厳密に知っているわけではない。


「あの時は大変だったのよ。救急車もなかなか来なくて」


 そう語るのは、私を育ててくれた伯母。

 ちなみに言うと、私の両親もその際に亡くなったそうだ。

 ただし私は記憶が飛んでおり、両親の顔すらよく覚えていないのだけど。


「帆風ちゃんがまだ幼稚園生だったころでね。酷い事故だったのよ」

「酷いってどのくらい?」

「思い出したくもない有様だったわよ」


 ぞわぞわっ、という感じで、伯母は身を震わせた。


「その時に、帆風ちゃんを助けてくれた子がいてね」

「子?」

「帆風ちゃんより三つ上くらいだったかしら。能力持ちの子で、すごかったのよ」

「ふうん」

「その子、その時だけじゃなくそのあとも、帆風ちゃんを助けてくれたのよ」

「そのあと?」


 首を傾げれば、伯母は困ったように笑いながら肩をすくめた。


「能力の発現が中途半端だったせいで、帆風ちゃん、昏睡状態になっちゃって」

「伯母さんはずいぶんな修羅場を軽いタッチで語るなぁ」

「今だから言えることよ。その時もね、その男の子が助けてくれて」

「男の子」


 私を助けてくれたのは、三つ上の男の子らしい。

 つまりそれは、当時小学二年生だった私から計算すると、小学五年生。

 怪我をした当時というのが今から三年前だと言うので、その男の子は当時小学二年生。


「ありえん」

「伯母さんだってビックリしたわよ。だけどその子、外科手術に特化した能力の持ち主だったみたいで」

「いや、かといって無理があるでしょ」

「素晴らしい手さばきだったわよ。将来は外科医になるんですって」

「ふうん」

「で、その男の子と今度会えることになったから、帆風ちゃん、ちゃんとお礼を言うのよ」

「あ、そういう話だったんだ」


 急に昔の話をし始めたから何かと思えば、そう言うことだったらしい。


「その人の名前は?」

「真垣陽色くんよ」

「ひいろ。……ヒーロー?」

「ふふ、そうね。帆風ちゃんにとってはヒーローみたいなものよね」


 伯母さんがくすくすと笑う。

 ヒーロー。ヒーローか。確かに、私は二度も命を救われているのだから、そうかもしれない。


「ヒーローくん。陽色くん」


 今、決めた。

 私は今後一生、この陽色くんという存在を、何よりも優先して生きよう。


 つまるところ、それが『極神』である私と、『英雄』である彼の、出会いの物語である。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ