『機巧』と『機巧』
「君たちは双子みたいね」
いつから、そういうふうに言われるようになったのだったか。
俺たちはそれを言われるたびに、顔を見合わせ、笑ったものだ。
最初に隣になったのは、分娩室だったと聞く。
それから、新生児室でもずっと隣。
家こそ隣ではなかったが、親同士は仲が良く、いつも一緒にいたと思う。
幼稚園でも、小学校でも、当たり前のように一緒にいた。
「威空ー」
「明良ー」
「「はーい」」
あまりに一緒にいすぎたせいで、大体の行動が重なるようになった。
俺が飲み物を飲もうとコップを持った時、明良も同時にコップを持つ。
俺がクッキーを食べようと手を伸ばす時、明良も同時に手を伸ばす。
「君たちは双子みたいね」
最初にそれを言ったのは、どちらかの母親ではなかったか。
俺は明良と顔を見合わせて、同時に笑った。
「「双子みたいなもんだよなぁ」」
そのセリフも、一言一句違わずに、タイミングも違わずに、重なった。
母親たちも、俺たちも、ますます笑ったものだ。
「威空がそこに立つなら、俺はここに立つ」
「明良がそこに立つなら、俺はここに立つ」
なぜかしら、そうしていつも、当たり前のように隣に立つ。
俺の右側にはいつも、明良がいる。
能力が発現してからも……というか、能力が発現した時も、俺の隣には明良がいた。
何故なら、二人そろって一緒に事故に遭ったものだから。
ちなみに言うと、当時小学三年。
「で、こうなるんだな」
「そうなるんだな」
当然のように、入院先でもベッドが隣。
俺の右側には、相変わらず明良がいたわけだ。
「本当、双子みてえ」
「本当、それな」
ちらり、明良の方を見たら、明良も同時に俺の方を見たようで、目が合った。
何故か笑いが込み上げて来て、二人そろって大爆笑。
そして、二人そろって肋骨の痛みにうずくまった。
「じゃあ、提案」
痛みが引いた頃に、明良がプルプルと手を挙げながら、言った。
「俺たちは、後天性双生児ってことで」
「……ははは、何だそれ」
「面白くね?」
「面白い。無駄に面白い。あっやべ、また肋骨が……!」
腹を押さえてうずくまれば、明良もその様子を見て笑って、同じようにうずくまった。
「後天性双生児」
「そう、後天性双生児」
「無駄に語呂がいいな」
「だろ。思いついた俺、天才」
そう言い合って、また笑い合って。
「で、どっちが兄貴?」
「え、いる? 兄貴と弟の区別いる?」
「……いらないか」
「いらないだろ」
明良はへらりと表情を崩しながら、口を開いた。
「どっちも兄貴で弟だ」
この後、俺たちは発現した能力の類似にまたそろって笑うことになる。




