表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/108

『機巧』と『機巧』

「君たちは双子みたいね」


 いつから、そういうふうに言われるようになったのだったか。

 俺たちはそれを言われるたびに、顔を見合わせ、笑ったものだ。


 最初に隣になったのは、分娩室だったと聞く。

 それから、新生児室でもずっと隣。

 家こそ隣ではなかったが、親同士は仲が良く、いつも一緒にいたと思う。

 幼稚園でも、小学校でも、当たり前のように一緒にいた。


「威空ー」

「明良ー」

「「はーい」」


 あまりに一緒にいすぎたせいで、大体の行動が重なるようになった。

 俺が飲み物を飲もうとコップを持った時、明良も同時にコップを持つ。

 俺がクッキーを食べようと手を伸ばす時、明良も同時に手を伸ばす。


「君たちは双子みたいね」


 最初にそれを言ったのは、どちらかの母親ではなかったか。

 俺は明良と顔を見合わせて、同時に笑った。


「「双子みたいなもんだよなぁ」」


 そのセリフも、一言一句違わずに、タイミングも違わずに、重なった。

 母親たちも、俺たちも、ますます笑ったものだ。


「威空がそこに立つなら、俺はここに立つ」

「明良がそこに立つなら、俺はここに立つ」


 なぜかしら、そうしていつも、当たり前のように隣に立つ。

 俺の右側にはいつも、明良がいる。


 能力が発現してからも……というか、能力が発現した時も、俺の隣には明良がいた。

 何故なら、二人そろって一緒に事故に遭ったものだから。

 ちなみに言うと、当時小学三年。


「で、こうなるんだな」

「そうなるんだな」


 当然のように、入院先でもベッドが隣。

 俺の右側には、相変わらず明良がいたわけだ。


「本当、双子みてえ」

「本当、それな」


 ちらり、明良の方を見たら、明良も同時に俺の方を見たようで、目が合った。

 何故か笑いが込み上げて来て、二人そろって大爆笑。

 そして、二人そろって肋骨の痛みにうずくまった。


「じゃあ、提案」


 痛みが引いた頃に、明良がプルプルと手を挙げながら、言った。


「俺たちは、後天性双生児ってことで」

「……ははは、何だそれ」

「面白くね?」

「面白い。無駄に面白い。あっやべ、また肋骨が……!」


 腹を押さえてうずくまれば、明良もその様子を見て笑って、同じようにうずくまった。


「後天性双生児」

「そう、後天性双生児」

「無駄に語呂がいいな」

「だろ。思いついた俺、天才」


 そう言い合って、また笑い合って。


「で、どっちが兄貴?」

「え、いる? 兄貴と弟の区別いる?」

「……いらないか」

「いらないだろ」


 明良はへらりと表情を崩しながら、口を開いた。


「どっちも兄貴で弟だ」


 この後、俺たちは発現した能力の類似にまたそろって笑うことになる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ