その三人、『起因』
昔、昔。
あるところに、一ノ宮くん、二階堂くん、三座川くんという三人の子供たちがおりました。
三人は、小さなことから大きなことまで、何かにつけて競い合う仲でした。
幼稚園の頃は『誰が一番速く走れるか』、『誰が一番高く積み木を積めるか』など。
小学校の頃は『誰が一番多くセミの抜け殻を集められるか』、『誰が音楽のテストで一番うまく演奏できるか』など。
中学校の頃は『誰がテストで一番いい成績をとれるか』、『誰がバレンタインに一番多くチョコを受け取るか』、『誰が卒業式で一番ボタンを取られるか』など。
当たり前のように同じ高校に進学した三人は、当たり前のように競い合いを続けました。
『誰が一番モテるか』、『誰が学年順位で一番上位になるか』。
そして当たり前のように同じ大学に入り、同じ会社に入り、当たり前のように競い合いを続けました。
『誰の卒研が一番評価されるか』、『誰が一番多くボーナスをもらえるか』、『誰が一番いいマイホームを建てるか』。
唯一、『誰が一番いい奥さんをもらうか』という勝負だけは、各々が惚気すぎて主観的にしか判断できなかったため、勝敗は決しませんでしたが。
そうして人生を送り、競い合う内容もネタが尽きてきたころ。
「そろそろ競い合うネタもなくなってきたな」
「あっ、お前! 今自分が勝ち越してるからってずるいぞ」
「そうだそうだー! なんなら今、『誰が一番飲めるか』勝負してもいいんだぞー!」
「酔いつぶれたら女房に叱られるだろ。……なんかあるかなぁ」
「学校教育とか」
それが誰の発言だったか、飲み会の場であったため、正確に覚えている人はいませんでした。
ですが、それはいい案だと全員が納得し、承諾し、それぞれが学校を作ることになりました。
それが、一ノ宮高校、二階堂高校、三座川高校それぞれの設立のきっかけであり、三校の対立が今なお続いている原因でもあるのです。
ちなみに現在、その三人は理事長を務めつつ、ゴルフの成績などで今なお競い合っているとのことです。




