そしてこれからも対立は続く
全面戦争から数日後。
「で、最終的に救急車が渋滞起こすみたいな事態になった。私は自力で病院行った」
「つまり、帆風としてはちょっと不完全燃焼なわけだ」
「そうー。まさか『審判』と戦ってて体力尽きると思わなんだ。もっと昼寝しとくべきだった」
現在地、駅そばの喫茶店。
事の顛末を語り終えた帆風は、深く溜息をつく。
その向かいで、その男は無表情にコーヒーを飲んだ。
「残念。俺も高校生だったら参加したのに」
「本当、残念。なんで陽色くん大学生なの」
「留年しなかったからだろ」
「正解来たコレ」
カプチーノを一口飲んで、帆風は向かいに座る男を見る。
真垣陽色。
一ノ宮高校の卒業生。現在は大学一回生。
「私、とりあえずまず精鋭を集めようってなった時、陽色くんも思いついたんだよ。よく考えたら大学生だったから声かけなかったけど」
「声かけられて参加してもばれただろうけど」
「確かに。陽色くんは意外と有名人でした」
かつての通り名は『英雄』。
『最強』が生まれる以前、坂凪一帯で最強を誇った人物。
「しかし俺はことごとく乱闘に縁がないな」
「あれ、二年前の大乱闘の時は?」
「ちょうど盲腸で入院してた」
「あらー」
「残念」
「残念だ」
そんな話をしながら、ちらり、帆風は別の席に視線を向ける。
テーブル席に、見知った顔。
「頼むから次は器物破損しねえ勝負にしよう、頼むから」
「まだ勝負すんのかよ、一高が最強ってことでまとまったじゃねーか」
「ああ!? あんな終わり方で納得できるかっつの!」
『発端』、桧山颯太、三崎拓史、芹沢悠馬。
彼ら三人は例の全面戦争ののち、連絡先を交換したらしいと聞いた。
そちらから視線をそらし、今度は別の席。
「あー……最悪、もう戦わないつもりだったのに」
「まあまあいいじゃん。処分なかったどころか、乱闘止めたってことで警察から感謝状もらったんでしょ」
「それもそうだけどよ。……不完全燃焼極まりない」
わなわなと手を震わせる永峰一斗と、へらへらと笑う浦谷千里。
その他にも、この喫茶店には全面戦争に参加した何人かの生徒がいる。
全員が至るところに包帯を巻き、その様子はまるで野戦病院だ。
しかも、他校生とすれ違うたびに、不穏な空気がその場に渦巻く。
「全面戦争がきっかけで仲良く……とは、いかないみたいだな」
「そうだね。また大きい乱闘しないかな」
「また戦いたいのか」
「うん」
陽色の言葉にうなずいてから、帆風は小さく笑った。
「『次』は、負けないよ」
こうして、三校対抗の全面戦争は幕を閉じたわけであるが。
……どうやら、三校間の諍いは、当分終わりそうにない。
本編はここで完結です。
ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました。
ここから番外編など書いていけたらと思っています。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。




